人気ブログランキング | 話題のタグを見る

大屋地爵士のJAZZYな生活

大西順子をソロで聴く

大西順子をソロで聴く_b0102572_23003103.jpg


 平地でも雪が降るかもしれないという今季一番の寒波、大荒れの天気の予報。そんな中、聴きに行ったのは、「HYOGOクリスマス・ジャズ・フェスティバル2021」のプログラムのうち、「大西順子ソロ/JUNNKO ONISHI SOLO "My Favorite SONGS"」。兵庫県立芸術文化センターの神戸女学院小ホールでのライブである。去年、今年とコロナ禍で開国人アーティストの来日がままならず、「アトリエ澤野スペシャル」が中止となり、その影響によるラインアップ。
  
 かってご贔屓のピアニストで、何枚かアルバムは持っていたが、たしか活動を引退したとのニュースもあり、実は、もう過去のアーティストとずっと思っていた。それがコロナ禍のおかげか、まさかのライブ、本人も「ほとんどやらないソロピアノ」というコンサート。「復帰していたのか」、これは聴かねばと思い出かけた。

大西順子をソロで聴く_b0102572_11270383.jpg


 いや、驚きましたね。自由奔放、変幻自在とはこのこと。黒のドレスに身を包んだ小柄な彼女のどこに、こんなパワーとイマジネーションがあるのかと驚いた。MCも殆ど入れず、一気に弾き切った。私の席は第2列だったが、第1列は観客を入れていないので、実質第1列。しかも彼女の顔と対向する位置。スタインウェイの鍵盤上を踊る彼女の指の動きは見えなかったが、譜面と鍵盤を見る彼女の眼差しはよく見えた。怖いくらいにキリっとしたその眼差し、会心の演奏ができたのか、時折目の端に浮かぶ微笑み。やはりライブですね。私にとっての時のブランクを感じさせない、いや、円熟味が加わって、もっと存在感が増したようなコンサートだった。
   
 カルテットでの、初アルバム「Grand Voyage」12月29日発売予定だという。楽しみである。
  
大西順子をソロで聴く_b0102572_15060762.png
  
 「大西順子」。1967年、京都生まれ。1989年、ボストン、バークリー音楽大学を卒業、ニューヨークを中心にプロとしての活動を開始。1993年 デビュー・アルバム、「ワウ/WOW」を発表。大ベストセラーとなり、同年の「スイングジャーナル誌ジャズ・ディスク大賞日本ジャズ賞」を受賞という華々しいデビュー。1994年5月には、NY の名門ジャズ・クラブ、「ビレッジ・バンガード/Village Vanguard」に日本人として初めて出演し、1 週間公演を行う。その後、いくつもの賞を受賞し、人気実力ともに日本ジャズ・シーンのトップに昇りつめた。しかし、2000年3月の大阪公演を最後に突然の長期休養宣言。
   
 そして 2007年、活動再開。2009年7月、実に11年ぶりのアルバム、「楽興の時/Musical Moments」、2010年3月には、ユニバーサル移籍第一弾となる「バロック/Baroque」をが大きな話題と高い評価を呼んだ。が、2012年夏、突然の引退宣言。私が知っているのはこの辺まで。
   
 しかし、2013年9月、毎年故郷、信州松本で行われるクラシックの祭典「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」へ出演。「小澤征爾」氏の猛烈な誘いに負け、一夜限りの復活とし出演を決め、「大西順子トリオ」として、「小澤征爾」率いる「サイトウ・ キネン・オーケストラ」と、「ジョージ・ガーシュウィン/George Gershwin」の「ラプソディ・イン・ブルー/Rhapsody in Blue」を共演した。この共演は、その夏の大きな話題となった。この時の演奏を、私はTV番組で見ている。
  
 私は知らなかったので引退したままと思い込んでいたのだが、2015年9月、「東京JAZZ」へ出演。「日野皓正&ラリー・カールトン SUPER BAND」のサポー ト・メンバーとして出演し、復帰を飾ったという。

「高校生のとき、モンクが奥さんのために書いた『ネリーと共にいる黄昏/Crepuscull With Nelly』という曲に出会って打ちのめされたんです」というジャズ・ピアニストになったきっかけの曲を始め、スタンダードを中心に、独創的なソロ・ライブを聴かせてくれた。

【 演奏曲目 】
*1st set
 ① Mamma's babies
 ② メドレー;I Cover The Waterfront ~ ブルースを歌おう/Singing The Blues ~ Ill Wind
 ③ タイガー・ラグ/Tiger Rag
 ④ メドレー;ラウンドミッドナイト/'Round Midnight ~ Bemsha Swing ~ Crepuscull With Nelly
 ⑤ Home Grown

*2nd set
 ⑦ When Kabuya Dances
 ⑧ メモリーズ・オブ・ユー/Memories Of You
 ⑨ スターダスト/Stardust
 ⑩ メドレー;パリのアメリカ人ジャキー's Europian Episode ~ Lush Life ~
   Single Petal Of Rose~ In A Sentimental Mood ~ Take The A Train ~
   パリのアメリカ人/An American in Paris
 ⑪ メンフィス・ストンプ/Memphis Stomp

【アンコール】
   クリスマス・ソング/The Christmas Song

 私が彼女を聴きだしたアルバム、「楽興の時/Musical Moments」(2009)からタイトル曲と「Ill Wind」を。

大西順子をソロで聴く_b0102572_16462806.jpg  
   
 楽興の時
 大西順子
 EMIミュージックジャパン







「Musical Moments - Junko Onishi」
   
     


「Ill Wind · Junko Onishi」




by knakano0311 | 2021-12-19 00:00 | 音楽的生活 | Comments(2)
Commented by kurihara1954 at 2021-12-19 21:46
90年代に何度か聞きに行きました
繊細さと男勝りの大胆な音がミックスされたものですね
CDだと綺麗すぎてJAZZの本来の音は出にくいかと
レコードはまだ手に入ります 生くさい音もレコードの醍醐味
Commented by knakano0311 at 2021-12-19 22:38
> kurihara1954さん   
コメントありがとうございます。もうレコードも再生装置も持っていないので、レコードを聴くこともないのですが、やっぱり生で聞くJAZZは興奮しますね。
<< 80歳になってもなお ・・・ クヌギの伐採と窯木作りを終える >>