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大屋地爵士のJAZZYな生活

盂蘭盆に偲ぶ早逝のディーヴァたち

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 花屋で「ホウヅキ(鬼灯、鬼燈、酸漿)」を買って来た。妻は上手く鳴らせないという。さて、私はどうだったか・・・。
   
 大分前に、早逝のディーヴァたちを取り上げたことがある。お盆。再び取り上げようと思う。


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 まず、「べヴァリー・ケニー/Beverly Kenney」。そのチャーミングな歌声と美貌に参ってしまう男性諸氏も多いという美人女性歌手。たった6枚のLPを残して、1960年、28歳の若さで、寝たばこが原因のホテル火災で焼死したとされてきた悲劇の女性歌手。ジャケでお分かりのように「金髪、白人、美人」、かっての女性ジャズ・シンガーの人気の条件をすべて備えている。アルバムを聴くと、’50~60年代の懐かしい雰囲気が立ち上ってくる。
  
 「べヴァリー・ケニー」は、1932年ニュージャージー州生まれ。シンガーを志したのは、1950年頃だという。「アニタ・オデイ/Anita O'Day」、「クリス・コナー/Chris Connor」や「ジューン・クリスティ/June Christy」、「ジュリー・ロンドン/Julie London」らより少し遅れて登場した歌手。しかし、私が彼女を知ったのは、そのずっと後、日本で彼女の復刻盤が出始めたころである。その端正な美貌と、ちょっと舌足らずの甘い声に魅かれてファンとなった。死因も死亡年月日も永らく分らなかったらしいが、1960年4月13日の夜、離婚した両親それぞれと、彼女のマネージャーに遺書を残し、許容量以上の睡眠薬と酒を服用して死の床についたという。
 
 彼女の歌う夏の歌、まずは、「サマー・ロマンス/A Summer Romance」。 アルバムは、「Sings for Playboys」(1957)から。

【 A Summer Romance 】  by Raymond Taylor, Lester Judson

「♪ A summer romance         あのひと夏の恋
  Hasn't a ghost of a chance, I know  幻などではなかったわ
  But a summer romance        でもあの恋は
  Should have a chance to grow     実らなかったの

  September's nearly over        もうすぐ九月も終わる
  The winter will be here        そして冬がやってくる
  There won't be time         今年はもう時間が残されていないわ
  To live and laugh           生きて、笑い
  And love again this year        再び愛し合うための時間が

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ♪」

  
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 シングス・フォー・プレイボーイズ
 ビヴァリー・ケニー
 MCAビクター







「Beverly Kenney - A Summer Romance」

  
 「べヴァリー・ケニー」の2曲目は、夏の定番曲ですね。「過ぎし夏の想い出/The Things We Did Last Summer」。1946年の、「フランク・シナトラ/Frank Sinatra」のヒット曲。私は、「ビル・チャーラップ/Bill Charlap」率いる「ニューヨーク・トリオ/New York Trio」の同名のタイトルのアルバムが大のご贔屓。ビヴァリーの、「トニー・タンブレロ/Tony Tamburello」のピアノとのデュオで歌っているアルバム、「二人でお茶を/原題;Snuggled On Your Shoulder」(1954)から。彼女の初々しさが際立っている。


【 The Things We Did Last Summer 】 
      作詞: Sammy Cahn 作曲: Jule Styne

「♪ The boat rides we would take,  二人で乗ったボート
    the moonlight on the lake  月が輝く湖だったね
  The way we danced       踊りながら歩いた道
    and hummed our fav’rite song お気に入りの歌を口ずさんだね
  The things we did last summer   去年の夏のふたりの出来事
    I’ll remember all winter long  冬のあいだもずっと思い出すよ

  The midway and the fun,    楽しかった遊園地での出来事
    the kewpie dolls we won 君はキューピー人形をとったね
  The bell I rang to prove     力比べゲームのベルの音量が
    that I was strong     僕の腕力の強さを証明したし
  The things we did last summer   去年の夏のふたりの出来事
    I’ll remember all winter long 冬のあいだもずっと思い出すよ

  ・・・・・・・・・・・・・・   ・・・・・・・・・・・・・・・・  ♪」


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 二人でお茶を +1 (紙ジャケット仕様)
 ビヴァリー・ケニー
 SPACE SHOWER MUSIC







「Beverly Kenney - The Things We Did Last Summer」


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 「本当に惜しい歌手を亡くした、かなわぬがまだ歌い続けてくれたら」と思うのは、「エヴァ・キャシディ/Eva Cassidy」。1996年、11月、33歳という若さで、皮膚癌による急死。最初にこの歌手のCDを聞いたときは本当に驚いた。アン・バートン以来の衝撃。即、はまってしまった。まずそのレパートリーのひろさ。彼女のルーツはカントリーではないかと思うのだが、JAZZ、ブルース、POPS、カントリーとその守備範囲の広さには驚かざるを得ない。

 他界する直前の、1996年1月3日、ワシントンDCにある老舗のジャズクラブ、「ブルース・アレイ/the Blues Alley」でのライブを収録した2枚組アルバム、「Nightbird」(2015)から、その圧巻の歌唱を。「虹の彼方に/Over The Rainbow」。


【 Over The Rainbow 】 by E.Y.Harburg,Harold Arlen

「♪ Somewhere over the rainbow 虹のずっと向こうの
  Way up high       空の彼方のどこかに
  There’s a land that I heard of そんな場所があるって
  Once in a lullaby.     むかし子守唄で聞いたの
  
  Somewhere over the rainbow 虹のずっと向こうその場所は
  Skies are blue,   空は青く
  And the dreams that you dare to dream 信じた夢は
  Really do come true.  本当に実現するって聞いた
   
  Someday I’ll wish upon a star いつかお星様にお願いするの
  And wake up where the clouds are far 雲よりか遥か高い所で
  Behind me.       目覚めるの
  
  Where troubles melt like lemon drops 悩みはレモンドロップのように溶ける
  Away above the chimney tops 煙突よりずっと高いところ
  That’s where you’ll find me.  そこなら私をみつけられるでしょ
    
  Somewhere over the rainbow  虹のずっと向こうその場所は
  Bluebirds fly.          青い鳥が飛んでいるの
  Birds fly over the rainbow.  虹を越えて飛んでいるの
  Why then, oh why can’t I?  なぜ、なぜ私にはできないの?
     
  If happy little bluebirds fly もし幸せの青い小鳥たちは
  Beyond the rainbow    虹を越えて飛んでいけるのに
  Why, oh why can’t I?   なぜ、なぜ私にはできないの? ♪」



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 Nightbird
 Eva Cassidy
 Blix






   
「Eva Cassidy - Over The Rainbow」

     
  
  
   
   
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 3人目は、「越智順子」。1965年生まれ、日本のゴスペル・ジャズシンガーである。抜群の歌唱力と日本人離れした声量を持ち、「オチジュン」の愛称で親しまれた。関西を中心にしたジャズ・シーンでは有名な存在であった。1999年、自主制作のデビューアルバム「EXPOSURE」を発表。2001年には東京に進出、アルバム「JESSE」でメジャー・デビュー。2007年頃から体調を崩し、2008年7月、子宮頸癌のため死去。43歳、たった7年間の短い活動だった。これからというときに惜しいミュージシャンをなくした。
  
 活動の証として4枚のCDを出している。メジャー・デビュー・アルバム「JESSE」(2001)から、心に刻まれる歌唱を。シンガー・ソングライターの「ジャニス・イアン/Janis Ian」が、1971年に書き上げ、「ロバータ・フラック/Roberta Flack」もカバーしている、「Jesse/邦題;わが心のジェシー」。ボーダーレスの大型実力派シンガーの誕生と期待していただけに残念であった。
  
【 Jesse 】 by Janis Ian

「♪ Jesse come home  ジェシー、帰ってきて
  There's a hole in the bed ベッドにぽっかりと穴があいているわ
  Where we slept  私たちが眠ったあのベッドに
  Now it's growing cold だんだん寒くなるわね
  Hey jesse, your face  ねえ、ジェシー 
  In the place where we lay 二人が寝ていた場所
  By the hearth, all apart  あの暖炉のそば 離れ離れになっても
  It hangs on my heart   私の心から消えないの
  And I'm leaving the light on the stairs 階段の灯りはつけたままよ
  No I'm not scared - I wait for you 怖いからじゃないの あなたを待っているから
  Hey jesse, I'm lonely, come home ジェシー、寂しいわ 帰ってきてちょうだい
  
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・・・ ♪」


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 JESSE
 JUNKO OCHI/越智順子
 ヴィレッジ・レコード







「JESSE (我が心のジェシー)  — 越智順子」


 これを聴いたら彼女の実力がわかります。「You'd be so nice to come home to」。まるでバラードのように超スロー・テンポで歌うバージョンが、アルバム、「What do you want for”LOVE”?」(2002)に収録されている。

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 What do you want for”LOVE”?
 JUNKO OCHI
 ヴィレッジ・レコード






  
「You'd be so nice to come home to — Junko Ochi/越智順子」
  


  

by knakano0311 | 2022-08-15 00:00 | 音楽的生活 | Comments(0)
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