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大屋地爵士のJAZZYな生活

We begin at the end

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 図書館に予約をしていて、やっと順番が回って来た本を一気に読んだ。「我ら闇より天を見る/原題:We begin at the end」(早川書房、クリス・ウィタカー/Chris Whitaker著、 鈴木 恵 訳)。評判に違わず、傑作ミステリーであった。最近読んだ海外ミステリーでは、2021年に本屋大賞 翻訳小説部門 第1位を獲得した「ザリガニの鳴くところ/原題:Where the Crawdads Sing」(早川書房、ディーリア・オーエンズ著、 友廣 純 訳)と双璧をなすといっていい。


 物語の主な舞台は、カリフォルニア州にある海沿いの町、ケープ・ヘイヴンと、モンタナ州にある個人農場を中心とした広大な土地である。「あたしは無法者なの」と公言する自称無法者の13歳の少女、ダッチェスがヒロインで、ケープ・ヘイヴンの警察署長、ウォークを軸に物語は展開していく。
  
 はじまりは過去に起きた悲劇だった。7歳の少女、シシーが行方不明となり、遺体となって発見された事件だ。それから30年後、そのシシーの姉、スターは、ふたりの子ども、ダッチェスと6歳のロビンと暮らしていたものの、いまだ事件から立ちなおれずアルコールに溺れる日々だった。かつてシシーの遺体を発見し、親友ヴィンセントの逮捕につながる証言をしたウォークは、現在、町の警察署長になっていた。そのヴィンセントが刑期をおえ、町に帰ってくることになった。そしてふたたび悲劇が彼らに襲いかかった ・・・。

 人生の闇の中に差す一条の光を描いた「英国推理作家協会賞最優秀長篇賞 ゴールド・ダガー賞」受賞作。「We begin at the end」という題名がこれほど意味を持つ物語に感動を覚える。


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 われら闇より天を見る(単行本)
 クリス・ウィタカー (著)
 鈴木 恵 (翻訳)
 早川書房











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 歌の上手い「ダッチェス」。保護施設のあるモンタナから、生まれ故郷のカリフォルニアを目指して帰る途中、旅費が無くなり、とあるバーで歌って旅費を稼いだ歌が、「サイモンとガーファンクル/Simon & Garfunkel」の「明日に架ける橋/Bridge Over Troubled Water」だった。このシーンを読んでいる時、頭を駆け巡ったのは、「エヴァ・キャシディ/Eva Cassidy」、1996年、1月3日、ワシントンDCの老舗クラブ、「ブルース・アレイ/the Blues Alley jazz club」での絶唱であった。この歌唱以外には考えられなかったのだ。アルバム、「Nightbird」(2015)から。

【 Bridge Over Troubled Water 】 by Paul Frederic Simon
  
「♪ When you’re weary  君が生きるのに疲れ
  Feeling small    自分がちっぽけな存在に思えたり
  When tears are in your eyes 涙がこぼれそうな時
  I will dry them all  僕が全部拭ってあげる
   
  I’m on your side   僕はいつだって君の味方さ
  When times get rough きつい時が来て
  And friends just can’t be found 友達がみつからない時も
   
  Like a bridge over troubled water 激流に架かる橋のように
  I will lay me down    君のために横たわるよ
  Like a bridge over troubled water 激流に架かる橋のように
  I will lay me down    君のために横たわるよ
  
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  ♪」


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 Nightbird
 Eva Cassidy
 Blix







「Eva Cassidy - Bridge Over Troubled Water」
  
     
  


  


by knakano0311 | 2023-03-07 00:00 | 読むJAZZ | Comments(0)
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