今宵の曲、ボッサの名曲から、「プレリュードのサンバ/Samba em prelúdio」。かの「バーデン・パウエル/Baden Powell」と「ヴィニシウス・ヂ・モライス/Vinícius de Moraes」の手になる甘美でとても美しい曲。ギターによるインスツルメンツもあるが、男女のデュエットも多い曲である。
まず、私がこの曲を知った、「セバスチャン・タパジョス/Sebastião Tapajós」のギター演奏から。1944年生まれ、ブラジル出身のギタリストで作曲家。「バーデン・パウエル」の陰に隠れて目立たなかった感があるが、速弾きのギターの名手である。いまから40数年前LPレコードでよく聴いていたが、その当時は、「バーデン・パウエル」を凌ぐ技量の持ち主と思っていた。いつしかそのLPは私の手元から離れたため、その後ずっと長い間CDを探していた。諦めかけた頃、偶然、復刻版CDを見つけたといういわくつきのアルバム、「Brasil-El Arte de la Guitarra(ブラジル-ギターの芸術)」(2004)から。
【 Samba em prelúdio 】 by Baden Powell , Vinícius de Moraes
「♪ Eu sem você não tenho porque, 君がいないと僕は生きている意味がない porque sem você não sei nem chorar 君がいないから泣くこともできない Sou chama sem luz jardim sem luar, 僕は輝きをなくした炎、月の光のない庭 luar sem amor, amor sem se dar 愛をなくした月の光、報われない愛
Eu sem você sou só desamor 君がいない私はただの愛を失った存在 um barco sem mar um campo sem flor 海のない舟、花の咲かない庭 Tristeza que vai tristeza que vem 悲しみは去っても、またやって来る Sem você meu amor eu não sou ninguém 君を失い愛を失い、何者でもなくなった
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まずは、デンマーク出身の女性ヴォーカリスト、「クララ・ヴースト/Clara Vuust」のデビュー・アルバム、「Here's to Love」(2013)から。ピアノの「フランチェスコ・カリ/Francesco Calì」との相性も抜群、ベース、クラリネットを加えたドラムレスという変則トリオをバックに、ゆったりと、優しく聴く人を包み込む。