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大屋地爵士のJAZZYな生活

おがらとカンバ、お盆の記憶

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 お盆のこの時期、スーパーの店先に置かれるのが、お盆の風物詩でもある「迎え火」と「送り火」に使われる「おがら(麻ガラ)」。麻の茎の皮を剥いで、内部の木質部を乾燥させたものである。実は、関西地方に来るまで、この「おがら」を私は知りませんでした。私の育った信州・松本では「迎え火」に、「カンバ」と呼ばれる「白樺(しらかば)」の皮を干したものを使っていたからである。「カンバ」は主にお墓の前と家の玄関の前で燃やし、「カンバ」の灯りで、お墓から家までの道筋をご先祖様の魂に案内するためだと親から教えてもらった。(「カンバ」の写真はNETより拝借)

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 また、お盆に「天ぷらまんじゅう」を食べたり、「精霊馬(しょうりょううま)」と言うらしいが、野菜で動物を形どって、ご先祖さんの乗り物としてお供えにしたりするのも、信州・松本独特の風習であったように思う。

 さて、今宵の歌、「クルセーダーズ/The Crusaders」の代表曲の一つで、JAZZの先人たちの魂に捧げた「Soul Shadows(魂の影)」。JAZZに思いを馳せる男の脳裏に、「ファッツ・ウォーラー/Fats Waller」、「ジェリー・ロール/Jelly Roll」、「ルイ・アームストロング(サッチモ)/Louis Armstrong(Satchmo)」、「ジョン·コルトレーン/John Coltrane」など、JAZZ創生期の有名ミューシャンたちが浮かび、「魂の影」を残していったという歌詞の内容。1980年にリリースされ、大ヒットしたアルバム、「ラプソディ&ブルース/Rhapsody & Blues」の冒頭に収録されている曲である。「ウィル・ジェニングス/Will Jennings」の作詞、「ジョー・サンプル/Joe Sample」の作曲。そしてヴォーカルは、R&Bシンガーの「ビル・ウィザーズ/Bill Withers」であった。
      
  
【 Soul Shadows 】  by Will Jennings , Joe Sample
    
「♪ San Francisco morning coming clear and cold 
            サンフランシスコの澄んで冷たい朝の中で
  Don't know if I'm waking or I'm dreaming  
            目覚めているのか、夢を見ているのか分からない
  Riding with Fats Waller on the Super Chief 
            ファッツ・ウォーラーとスーパーチーフ号に乗ると
  He said, music's real, the rest is seeming 
            彼は、音楽はリアルだ 他はみせかけに過ぎないと言った
   
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  Standing by the window as the fog rolls in
            霧が流れる窓辺に立ち
  I swear I can hear a far-off music  
            俺は思った、遠い過去からの音楽が聞こえてくると
  Jelly Roll is playing down in Storyville 
            ジェリー・ロールはストーリービルで演奏している
  Satchmo's wailing somewhere in Chicago  
            サッチモもシカゴのどこかでラッパを鳴らす
  Coltrane reaching for the noteshis mind can hear
            コルトレーンの心に響く音が聞こえる
  They remain a part of all that I know  
            彼らの残した全てのことが僕の心に残っている
   
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    
  He left those soul shadows       彼は魂の影を残した
  On my mind, on my mind, on my mind  私の心に、私の心に、私の心に ♪」


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 ラプソディー&ブルース
 クルセイダーズ
 ワーナーミュージック・ジャパン







「Soul Shadows - The Crusaders」


 「ジョーサンプル」がのちにセルフ・カバーしてます。アルバム、「Sample This」(1997)から。ボーカルは、「デニス・ローランド/Dennis Rowland」。

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 Sample This
 Joe Sample
 Warner Bros / Wea







「Soul Shadows - Joe Sample」
  
   
   
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 お気に入りのカバーは、「デニース・ドナテッリ/Denise Donatelli」。アルバム、「ソウル・シャドウズ/Soul Shadows」(2012)から。軽快なボッサの洒落たサウンドに乗って響く、ドナテッリのハスキーな歌声。軽快なボッサの洒落たサウンドが響く。このアルバムは、2013年、「グラミー賞・最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム」にノミネートされた。

 「デニース・ドナテッリ」。生まれはペンシルヴァニア州で、加工されているにせよ、写真を見ると、ちょっと信じられないが、1950年らしい。今年なんと73歳。家の周りにはポニーが遊ぶ牧場以外はなにもないという、相当な田舎で育ったという。幼い頃からピアノに親しんでいたが、その後、ジャズへの彼女の情熱が導いたのは、ピアノではなくボーカルであった。結婚後、いわゆるシングル・マザーとなり、苦労した子育ても終えてから、ジャズ歌手になる夢をあきらめられず、2005年に遅咲きのデビューを果たしたという。

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 セレブ然とした風情からは、そんな苦労人だったとは、少しも感じ取ることができないが、そんな彼女、結構実力派で、CNN, Hyundai, Lexus, Mercedes-Benz といった有名ブランドのコマーシャル・ソングにも起用されているという。
   
  
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 SOUL SHADOWS
 デニース・ドナテッリ/Denise Donatelli
 Savant





         
   
「Denise Donatelli - Soul Shadows」

     
    





by knakano0311 | 2023-08-11 00:00 | ふるさとは遠くにありて・・・ | Comments(2)
Commented by photofloyd at 2023-08-12 17:34
欧米では最近はCDアルバムは殆ど売れずというところで・・・オーディオ好きはLP(vinyl盤)に向いていますし、若者はストリーミングによる一曲勝負の世界ですね。
従って若者の世界ではなかなかDenise Donatelliのようなタイプは難しいでしょうね。お母さんの歌になってしまいそう・・・そんなことから彼女のようなタイプのアルバムのリリースはホントに少なくなりました。(私にとっては寂しいところです)
そうゆう私もこのところはHiResストリーミングが多くなり、CDは特に気に入ったものしか買わなくなってしまってます。それでもDenise Donatelliのような世界は是非ほしいなぁーーと思っているのです。
Commented by knakano0311 at 2023-08-12 21:51
> photofloydさん   
ありがとうございます。同感です。私も食指の動くアルバムがめっきり少なくなりました。なにかコロナとウクライナが見えざる影を落としているような気がします。
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