いままで何をやって来たんだ　・・・ : 大屋地爵士のJAZZYな生活

いままで何をやって来たんだ　・・・

　総選挙を控えた4日前のこと。買い物にいったショッピング・センターに隣接した公園をウォーキングしていると、前方におびただしい数の警官と警察車両。何事かと思って近寄ってみると、選挙用の街宣車を取り囲むように、規制や持ち物チェックの準備を行っている。自民党候補の垂れ幕が街宣車には掲げてある。多分誰か自民党の大物が選挙応援に来るのだろうと推測はしたが、誰が来るのかは明らかにされていない。次の日、新聞を見たら、首相の日程に公園名が書いてあったので、「石破首相」が応援演説に来たのだと分かった。それにしてもこんな小さな町まで応援？、巷で伝えられるごとく相当苦戦を強いられているのだろうか。自業自得としか思えないのだが　・・・。そして、この厳戒。「安倍元首相」、「岸田元首相」と続いた事件に警察もよほど懲りたのだろう。ここ30年間、世界の中のあらゆる分野で沈む一方ばかりの感がある日本。今日もまた円安、物価高のニュース。与党は実績、実績と言うが、成果を見れば、「政治はいままで何をやって来たんだ　・・・」と言いたくなる。そして今日は総選挙。

　「厳戒態勢」のことを「ハイ・アラート／a state of high alert」などと表現するが、今宵の曲は、「ブルー・アラート／Blue Alert」、「Jazzy,Not Jazz」の旗頭、「マデリン・ペルー／Madeleine Peyroux」のアルバム、「Half The Perfect Worl」（2006）から。直訳すれば、「完璧な世界の半分」。なぜか意味不明「幸せになる12の方法」という日本語のタイトルがついている。「レナード・コーエン／Leonard Cohen」、「トム・ウエイツ／Tom Waits」、「フレッド・ニール／Fred Neil」などによって書かれた12曲にフォーカスを当てた、ちょっとこだわりのアルバム。コンテンポラリーな味付けがされているが、彼女のノスタルジックでレトロっぽい声に癒される人も多いと聞く。

　1974年、米国ジョージア州生まれ。幼少期をカリフォルニアやニューヨークで過ごすが、13歳のときに両親が離婚したのを機に、フランス人の母親とパリへ移住。ストリート・ミュージシャンとして活動した後、1996年に22歳でアルバム、「ドリームランド／Dreamland」でデビュー。主に1940年代以前の古いスタンダード・ナンバーを取り上げたこのアルバムは、20万枚という好セールスを記録するも、その後第一線から退く。そして、8年という長いブランクを経て、2004年秋に日本デビューともなる、セカンド・アルバム「ケアレス・ラヴ／Careless Love」をリリース、全世界で100万枚以上の大ヒットを記録し、一躍シーンの最前線に返り咲いた。フレッシュな彼女の歌声は、「Jazzy,Not Jazz」の旗頭として、「ノラ・ジョーンズ／Norah Jones」と肩を並べる人気を得た。

　今回取り上げたこの歌は詩人であり、小説家でもある「レナード・コーエン／Leonard Cohen」の曲のカバー。一筋縄ではいかないコーエンのこと、訳してみるとやはり難解で意味がよく分からないコーエンの世界が広がっていた。

【　Blue Alert　】　 by Anjani Thomas / Leonard Cohen

「♪　There's perfume burning in the air　空気に香水が漂い
　　Bits of beauty everywhere　美しさのかけらが至るところに散らばっている
　　Shrapnel flying, soldier hit the dirt　破片が飛び交い、兵士は地面に伏せる

　　She comes so close　彼女が近づいてきて
　　You feel her then　その存在を感じる瞬間
　　She tells you No and No again　彼女はまた「だめ」と言う
　　Your lip is cut on the edge of her pleated skirt　プリーツスカートの端で唇が切れる
　　Blue Alert　ブルーアラート

　　Visions of her drawing near　彼女が近づいてくる幻影が浮かび上がり
　　Arise, abide, and disappear　それが束の間留まり、そして消えていく
　　You try to slow it down　止めようとしても
　　It doesn't work　どうにもならない

　　It's just another night I guess　また一晩過ぎるだけ
　　All tangled up in nakedness　裸の絡み合いに溺れながら
　　You even touch yourself　自分に触れてみる
　　You're such a flirt　まるでナンパ男のように
　　Blue Alert　ブルーアラート

　　You know how nights like this begin　どのようにこの夜が始まるかは分かっている
　　The kind of knot your heart gets in　心が絡まるその感覚
　　Any way you turn is going to hurt　どちらに向いても傷つくことになる

　　There's perfume burning in the air　空気に香水が漂い
　　Bits of beauty everywhere　美しさのかけらが至るところに散らばっている
　　Shrapnel flying, soldier hit the dirt　破片が飛び交い、兵士は地面に伏せる
　　Blue Alert　ブルーアラート

　　She breaks the rules so you can see　彼女はルールを破ることを見せつける
　　She's wilder than you'll ever be　彼女の野生さは君が及ばないほどだ
　　You talk religion but she won't convert　君は信仰について語るが彼女は従わない

　　Her body's twenty stories high　彼女の体は二十階建ての高さで
　　You try to look away, you try　目を逸らそうとしても、絶対無理
　　But all you want to do is get there first　ただ彼女にたどり着きたいだけ
　　Blue Alert　　ブルーアラート

　　You know how nights like this begin　どのようにこの夜が始まるかは分かっている
　　The kind of knot your heart gets in　心が絡まるその感覚
　　Any way you turn is going to hurt　どちらに向いても傷つくことになる

　　There's perfume burning in the air　空気に香水が漂い
　　Bits of beauty everywhere　美しさのかけらが至るところに散らばっている
　　Shrapnel flying, soldier hit the dirt　破片が飛び交い、兵士は地面に伏せる
　　Blue Alert　　ブルーアラート
　　Blue Alert...　　ブルーアラート　　　　　　　　　　　♪」

　分からないので「ChatGPT」に聞いたらこんな答えが返ってきました。なるほど　・・・・。

　「Blue Alert」は、失恋や心の痛み、心に警告が鳴る瞬間を描写していると解釈できます。ここでの「Blue」は「憂鬱」や「哀愁」を意味し、特に相手に惹かれながらも思うようにいかない感情や、自らの弱さや葛藤と向き合う痛みを強調しているようです。「Alert」は、危険や緊張のサインであり、心が注意深く反応している状態を表現しているのでしょう。

　歌詞には、相手に惹かれながらも拒絶され、距離を保とうとしても引き寄せられてしまう心理的な葛藤が描かれています。相手に心を開いている分だけ深く傷つき、どちらに進んでも傷ついてしまうような、避けられない痛みを暗示しているようです。このように、「Blue Alert」は相手への激しい魅力とそれに伴う失望、痛みが交錯し、感情が壊れそうになる様子を象徴しています。

　　

　　　
　ハーフ・ザ・パーフェクト~幸せになる12の方法
　マデリン・ペルー／Madeleine Peyroux
　ユニバーサルミュージッククラシック

「Blue Alert - Madeleine Peyroux」

　　　　　

　　　

　オリジナルは、カナダのシンガーソングライターで詩人の「レナード・コーエン」のガール・フレンドであり、「コーエン」と共にアルバムのプロデュースと作詞も行った「アンジャニ／Anjani Thomas」のジャズ・アルバム、「Blue Alert」（2006）に収録されている。オリジナルも聴いてみましょうか。こっちの歌唱の方が伝わってくるものがあるようだ。