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大屋地爵士のJAZZYな生活

かくも偉大なる音楽家を失った ~ クインシー・ジョーンズ逝く ~

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 米音楽界が誇る多才な巨匠、「クインシー・ジョーンズ/Quincy Jones」が、2024年11月3日に、カリフォルニア州ベルエアにある自宅で、91歳で逝去した。ジャズ・トランペッターにしてバンドリーダー、作曲家にして編曲家、そして音楽プロデューサーとして、傑出したキャリアを誇り、ジャズ、ポップ、ソウル、R&Bといった音楽分野だけでなく、映画やテレビの世界においても、多くのアーティストのキャリアを豊かなものにした功績は計り知れない。彼は、ロックの殿堂入りを果たし、グラミー賞 特別功労賞伝説賞、国民芸術勲章、ジョン・F・ケネディ・センター名誉賞など、数多くの栄誉を受けた偉大な人物。特にグラミー賞だけで27回受賞したという凄さ、まさに「生ける伝説」。

 「クインシー・ジョーンズ」は、「レイ・チャールズ」や「エラ・フィッツジェラルド」、「ダイナ・ワシントン」、「サラ・ヴォーン」、「フランク・シナトラ」、「マイルス・ディビス」、「マイケル・ジャクソン」といった多くの偉大なアーティストたちと仕事を共にし、数多くのアーティストのキャリアにも影響を与えた。そして、彼がプロデュースを手掛けた、マイケル・ジャクソンの「スリラー/Thriller」は、今なお史上最も売れたアルバムであるという。先日紹介した朝日新聞の「海外ジャズミュージシャンランキング」の9位にも選ばれている。

 私が彼のアルバムに接したのは、「ボディー・ヒート/Body Heat)」(1974)であった。そこに「Everything must change」が収録されていた。この曲は、作曲家としても知られている、米国ヒューストン出身のソウル・シンガー、「ベナード・アイナー/Benarad Ighner」が1974年に作詞作曲した曲で、「Body Heat」には、「ベナード・アイナー」自身による歌唱が収録されている。

【 Everything must change 】 作詞・作曲 Benarad Ighner

「♪ Everything must change 全ては移ろいゆく
   Nothing stays the same 一つところに留まるものは何一つとしてない
   Everyone must change 全ての人も変わりゆく
   No one stays the same 変わらない人など誰一人いない

   The young become the old 若き人もやがては老い
   And mysteries do unfold  不思議はやがて不思議ではなくなる
   Cause that's the way of time 時というものはそういうもの
   Nothing and no one goes unchanged 移ろわないものなど何一つないのだ

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  
      
   And music makes me cry そして、音楽は僕を泣かせる  ♪」


 この曲について「クインシー・ジョーンズ」はこんなふうに語っている。『この美しい歌は、神様から送られたメロディーの見本のようなものです。大変幸運なことにソング・ライターである「ベナード・アイナー」自身に歌わせることができました。・・・・ 彼に言ったのです。 「君こそ歌うべき人だ」ってね。・・・・ メロディーを書くのに、熟練やテクニックは必要ありません。それは神様からまっすぐに遣わされたメッセージなのです。』


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 ボディ・ヒート (SHM-CD)
 クインシー・ジョーンズ
 Universal Music







「Quincy Jones Feat. Benard Ighner - Everything Must Change」

     


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 また、あの「Fly Me To The Moon」をスウィングに編曲して大ヒットさせたのもした「クインシー・ジョーンズ」だと知った。この曲、ご存じ「フランク・シナトラ/Frank Sinatra」のキャリア後期の大ヒット曲であり、多くの歌手に歌われているスタンダードであるが、元々は、ゆったりとスローな3/4拍子のワルツだった。これがテンポアップして4/4の、4ビートのスウィング・ナンバーになったのは「クインシー・ジョーンズ」のアレンジによるもの。「カウント・ベイシー」とアルバムを制作していた「クインシー・ジョーンズ」が、この4ビート・ヴァージョンに編曲したところ、「シナトラ」が気に入って、そしてベイシーと組んだ彼のアルバム「イット・マイト・アズ・ウェル・ビー・スウィング」(1964)に収録されることになったという。今ではほとんどの歌唱が、この4ビート・ヴァージョンであろう。「シナトラ、ザ・ベスト!」(2008)から。


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 シナトラ、ザ・ベスト!
 フランク・シナトラ
 Warner Music Japan







「Fly Me To The Moon (2008 Remastered) - Frank Sinatra · Count Basie And His Orchestra」
  
  
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 彼の指揮者&バンドマスターとしての真価が発揮されたのが、「マイルス・デイヴィス/Miles Davis」の遺作となったライヴ・アルバム「Miles & Quincy Live At Montreux」(1993)だった。マイルスは、とにかく「旧作は振り返らない」「自分の古い音楽を演奏しない」人だった。そんな彼に、50年代の彼のナンバーを再演させたのが、「クインシー・ジョーンズ」。多くのジャズ・ファンを驚かせた。クインシーの指揮によるオーケストラにバックアップされたマイルスは、1991年7月8日の「モントルー・ジャズ・フェスティヴァル」に登場。数年前に他界した「ビル・エヴァンス/Bill Evans」へのトリビュートという意味も込めて、病を押して「古い音楽」を見事にプレイした。そしてこれが、3ヶ月後に他界するデイヴィスにとって、最後の録音となった。アルバムは1993年に発売され、ビルボード・ジャズ・アルバム・チャートのトップに立った。(参照;追悼クインシー・ジョーンズ、米音楽界の最大巨星にして、日本のお茶の間も席巻した「すごさ」6つ;川崎大助)
  

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 ライヴ・アット・モントルー<紙ジャケット仕様>
 マイルス・デイヴィス,クインシー・ジョーンズ
 WARNER MUSIC JAPAN







「The Duke (Live) - Miles Davis & Quincy Jones」


 かくも偉大なる音楽家を失った ・・・。 合掌。
  



by knakano0311 | 2024-11-11 00:00 | 訃報を聞いて | Comments(3)
Commented by ShiroYuki_Mot at 2024-11-12 20:33 x
Quincy Jones もか ... 、の印象でした。
合掌。
Commented by ShiroYuki_Mot at 2024-11-12 20:40 x
再度で すんません。
今、Count Basie の 1958年 "Basie One More Time (the Pen of Quincy Jones)" から "Quince" を聴いてます。
作曲編曲が彼。
Commented by knakano0311 at 2024-11-12 21:54
> ShiroYuki_Motさん   
そうですか。フルバンドなどをあまり聞かないので、ベイシーの作編曲を多く手掛けていたと教えていただきました。それにしても、ランキング中、ご存命はジャレットとハンコックだけですが、ジャレットは新譜と言っていますが、過去の未発表曲で、回復も難しいようだし、ハンコックも80歳を超えるお歳。時間の問題でしょうか。
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