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大屋地爵士のJAZZYな生活

秋の空?冬の空?

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 今季一番の冷え込み。玄関から見上げると、目の覚めるような青空。放射冷却のためかクリア。この青空は、秋の空?それとも冬の空?。「青空」というより「蒼空」、「碧空」と表現した方が ・・・。

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 昨日は「谷川俊太郎」さんの逝去の報に接し、「HOPE」、「MI・YO・TA」などを聴いたが、それに触発されたのか、同じくジャンルを超えたシンガーに歌われる「武満徹」さんの曲も聴きたくなった。そこで今宵の曲は、「武満徹」作詞・作曲の「小さな空」。1962年に、連続ラジオ・ドラマ「ガン・キング」の主題歌として作曲された作品だという。その美しいメロディーは、弦楽器、独唱とピアノなど、様々なアレンジで演奏されている。詩的でシンプルな言葉が特徴で、彼の音楽における繊細な美意識が反映されている。

【 小さな空 】 作詞・作曲;武満徹

「♪ 青空みたら 綿のような雲が
   悲しみをのせて 飛んでいった

   いたずらが過ぎて
   叱られて泣いた
   こどもの頃を憶いだした

   夕空みたら 教会の窓の
   ステンドグラスが 眞赫(まっか)に燃えてた

   いたずらが過ぎて
   叱られて泣いた
   こどもの頃を憶いだした

   夜空をみたら 小さな星が
   涙のように 光っていた

   いたずらが過ぎて
   叱られて泣いた
   こどもの頃を憶いだした   ♪」


 この曲をアルバムで取り上げたアーティスト3人を聴いてみましょうか。

  
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 最初は、神戸出身のジャズ・ボーカリスト、「北浪良佳」。デビュー・アルバム「リトル・ガール・ブルー/Little Girl Blue」(20014)に収録されている。もともとはオペラ歌手を目指し、大阪音楽大学音楽学部声楽科で学んだので、基礎がしっかり出来た伸びやかな声の持ち主。2000年、アルバイトで歌ったジャズ・スタンダードの美しさと即興演奏の面白さに強く惹かれ、ジャズ・シンガーに転向、神戸・大阪でライヴ活動を始めたという。2004年には「第5回神戸ジャズ・ヴォ-カル・クイーン・コンテスト」優勝。「小さな空」は、彼女のしっとりとしたボーカルが際立つ楽曲で、静謐で深い感情が現れた歌唱が特徴的。

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 リトル・ガール・ブルー
 Yoshika Kitanami/北浪良佳
 ビデオアーツ・ミュージック






「小さな空 - 北浪良佳」

     


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 シャンソン歌手、「クミコ」。1954年、茨城県水戸市生まれ。演劇を志し、早稲田大学に入学するが、大学卒業前、友人に誘われ、バンドにピアニストとして参加。その後、ボーカルを担当する。その後、デビュー盤が没になるなど数々の挫折を味わう。レストランでピアノとシャンソンを中心とした弾き語りをしていた。27歳の時、銀座「銀巴里」のオーディションに合格、プロデビュー。
  
 作詞家「松本隆」が「クミコ」の歌に感動し、プロデュースに名乗りを上げ、アルバム「AURA」(2000)の全編の作詞を担当。彼の助言で、現在の「クミコ」に改名し、2002年、「avex io」移籍後初アルバム「愛の讃歌」に収録された、「わが麗しき恋物語」という楽曲が口コミで評判になり、一般に知られるようになったという。もう50歳近くになってた。「わたしは青空-2004コクーン・ライヴ」(2005)に収録。


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 わたしは青空-クミコ、コクーン・ライヴ
 Kumiko/クミコ
 avex io







「クミコ - 小さな空」



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 この「小さな空」を聴くと、日本人なら誰でも感じるであろう郷愁、懐かしさ、せつなさがこみあげてくる。それがポルトガル語でいう「サウダージ(郷愁)/Saudade」であるが、1989年結成された、日本の3人組からなるアコースティックバンド、「ショーロ・クラブ/Choro Club」が歌う。

 「ショーロ」とは、ブラジルの都市型伝統音楽であるが、それにとらわれず、彼らは、独自の雰囲気を持った新しい音楽を創造している。「武満徹」の楽曲をゲスト・ボーカル、「おおたか静流(しずる)」、「アン・サリー」、「沢 知恵」、「松田 美緒」などを招いて演奏したカバー・アルバム、「武満徹ソングブック」(2011/2020)に収録されている。この歌が、ファドやブラジル音楽と同一線上において少しも違和感がないことに感心した。パーソネルは、「笹子重治(アコースティック・ギター)」、「秋岡欧(バンドリン)」、「沢田穣治(コントラバス)」。


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 ショーロクラブ with ヴォーカリスタス
 武満徹ソングブック
 SONG X JAZZ Inc,







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 武満徹ソングブック -コンプリート-
 ショーロクラブ
 日本コロムビア






「小さな空 - Sizzle Ohtaka & Choro Club」
  


 注)2011年7月、「武満徹(1930-1996)」が遺した歌を、7人のヴォーカリスト(「アン・サリー」、「おおたか静流」、「おおはた雄一」、「沢知恵」、「tamamix」、「松田美緒」、「松平敬」)を迎え、「武満徹ソングブック」としてリリース。そして2020年、BETTER DAYSレーベルへと移り、ライヴ音源含む未収録音源を追加し、全曲を網羅した2枚組コンプリート盤としてリリースされた。ヴォーカリスタスとして新たに「畠山美由紀」、「優河」が加わり、ライブ音源では現代を代表する詩人であり、武満徹と共に作品を多く創り続けた谷川俊太郎が参加している。「小さな空」は、「武満徹ソングブック」では、インスツルメンタルとして、「武満徹ソングブック・コンプリート」では、DISC2にヴォ―カルVer.として収録されている。
[ DISC1 ] 2011年発売の「武満徹ソングブック」と同内容
[ DISC2 ] 初収録


  
  

by knakano0311 | 2024-11-22 00:00 | 音楽的生活 | Comments(0)
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