今宵の曲、「Burying My Troubles」。ご贔屓「メロディ・ガルドー/Melody Gardot」です。アルバムは、彼女の4作目のスタジオ・アルバム「Currency of Man [The Artist's Cut]」(2015)から。
タイトルの「Currency of Man」を直訳すると「人間の通貨」となるが、「人間性の価値」や「人々の存在の重要性」といったニュアンスを持っているようだ。「メロディ・ガルドー」は、物質主義や消費社会に偏りがちな現代において、人間の存在価値やつながりを見直す必要があると考え、このアルバムを通じて、貧困、差別、無視される人々の声などの社会的不平等や、他者への共感、愛といった人間らしさに焦点を当てているという。
【 Burying My Troubles 】 by Melody Gardot
「♪ Burying my troubles 埋めているの 私の悩みを In another glass of wine もう一杯のワインの中に Swallowing my worries away 飲み込んでいるの 私の心配事を
Bear in mind tomorrow 心に留めておいて Is another day of sorrow 明日はまた悲しみの日 That only makes me think of yesterday それはただ昨日を思い出させるだけ
So I'm burying my troubles だから埋めているの 私の悩みを In another cup of gin もう一杯のジンの中に Throwing down like water in the road 道端に流す水のように飲み干して Running over memories 記憶を押し流しながら Falling down upon my knees 膝をついて倒れ込んで
And begging him to lift this heavy load 彼にお願いするの この重荷を下ろしてと Oh still I know それでも分かっているの I will find いつかきっと My happiness at last 幸せを見つけると
Oh ああ Well きっとどこかに Somewhere in the bottom of a bottle ボトルの底か Or a stone cold glass 冷たいグラスの中に
Sleeping through the hours 眠りながら過ごしている Of a sunny summer day 陽射しの眩しい夏の日の時間を Hiding from the blinding shades of light 明るい光の影から隠れるようにして
Burying my eyes 目を閉じて Breathing deep and heavy sighs 深く重いため息をつく For all the things in life that ain't going right うまくいかない人生のすべてに Still I know それでも分かっているの I will find my いつかきっと Happiness at last 幸せを見つけると
Oh and ああ そしてきっと Somewhere in the bottom of a bottle ボトルの底か Or a stone cold glass 冷たいグラスの中に
もう一曲は、「The Trouble With Hello Is Goodbye」。「ダイアナ・パントン/Diana Panton」の歌唱。アルバム、「ブルー ~ さよならを云うために/Blue」(2022)に収録されている。よくもわるくも、あどけなさ、愛くるしさが「売り」であった「ダイアナ・パントン」が、まだ幾分のあどけなさを残しながらも、ここまで脱皮したかと思わせるような驚きのアルバムである。
この曲は、「アラン&マリリン・バーグマン/Alan & Marilyn Bergman」作詞、「デイヴ・グルーシン/Dave Grusin」作曲の曲で、「シャーリー・バッシー/Shirley Bassey」、「カーメン・マクレエ/Carmen McRae」なども歌っている。直訳すると『「こんにちは」は「さよなら」であるという問題」』だが、自然の移ろいと人との別れの切なさを、繊細に描いている美しい歌詞。「こんにちは」には「さようなら」がつきもの』なんて訳をつけてみた。アルバム・タイトルの邦題、「さよならを云うために」は多分この曲から発想したんでしょう。
【 The Trouble With Hello Is Goodbye 】 by Alan & Marilyn Bergman , Dave Grusin
「♪ We wandered through the summertime 私たちは夏の季節をさまよい And drifted into fall.... そして秋へと流れ込んでいった We never thought of winter... at all.... 冬のことなんて全く考えもせずに How foolishly....we tossed away... なんて愚かだったのだろう The buttercups....the time.... バターカップ(花)や時間を無駄にして Who'd have thought...We'd have no more 歌うべき歌も、登るべき丘も Songs to sing....hills to climb... もうなくなるなんて、誰が思っただろうか
We summered in each other's arms.... 私たちはお互いの腕の中で夏を過ごし And slumbered in the glow.... その輝きの中で眠りについた We never heard the whisper.. of snow.... 雪のささやきなんて聞こえなかった But summer's not forevermore... でも、夏は永遠ではない No matter how we try... どんなに願っても The trouble with hello is....goodbye こんにちはには、さようならがつきもの