「thrill」。「ぞくぞくすること,わくわくすること,身震い,感動,ときめき,スリル」などの意味。今宵の曲、まず「Just for a Thrill」。「ただワクワクしたかっただけなのね」、そんな意味でしょうか。1936年「ドン・レイ/Don Raye」作詞、「リリアン・アームストロング/Lillian Armstrong」作曲になる古い曲ですが、「レイ・チャールズ/Ray Charles」、「アレサ・フランクリン/Aretha Franklin」などの歌唱でヒットしました。
【 Just for a Thrill 】 by Lillian Armstrong. Don Raye
「♪ Just for a thrill ただワクワクしたかっただけなのね You changed the sunshine to rain あなたは太陽の光を雨に変えた Just for a thrill ただワクワクしたかったために You filled my heart with pain 私の心を痛みで満たした
To me, you were my pride and joy 私にとってあなたは誇りで喜びだった But to you, I was merely a toy でもあなたにとって、私はただのオモチャ A plaything that you could toss around at will 好きな時に捨てられる遊び道具
Just for a thrill ただのスリルのために You made my life one sad song あなたは私の人生を悲しい歌に変えた Just for a thrill ただのスリルのために You just led me along 私をただ誘っただけ
Although you're free and havin' your fun あなたは自由で楽しんでいるけど To me, you're still the only one 私にとっては、あなたが唯一の存在 'Cause you made my heart stand still あなたは私の心を止めてしまったから Just for a thrill (Just for a thrill) ただスリルのために(ただスリルのために)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」
味のある熟練の女性シンガー二人の歌唱。まずカナダ出身のジャズ・ヴォーカリスト、「シャンタル・シャンベラン/Chantal Chamberland」から。アルバムは、「The Other Woman」(2008)。
「ビリー・ホリデイ/Billie Holiday」の歌唱で知られる曲、「You're My Thrill」。「シドニィ・クレア/Sidney Clare」と「ジェイ・ゴーニィ/ay Gorney」が、1933年の映画「Jimmy and Sally」のために作った渋い味わいの曲。
【 You're My Thrill 】by Sidney Clare , Jay Gorney
「♪ You're my thrill あなたは私のときめき You do something to me 私に何かを起こすの You send chills right through me 体中に寒気が走る When I look at you あなたを見つめると 'Cause you're my thrill だって、あなたは私のときめきだから
You're my thrill あなたは私のときめき How my pulse increases 鼓動がどんどん早くなる I just go to pieces 心がバラバラになる When I look at you あなたを見つめると 'Cause you're my thrill だって、あなたは私のときめきだから
Mmm-mmm うーん Nothing seems to matter 何もかもがどうでもよくなる Mmm-mmm うーん Here's my heart on a silver platter 心を銀のお皿に乗せて捧げるみたい
Where's my will? どこへ行ったの、私の意思は? Why this strange desire どうしてこんな奇妙な欲望が That keeps morning higher? どんどん燃え上がるの? When I look at you あなたを見つめると I can't keep still じっとしていられない You're my thrill あなたは私のときめき
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」
この曲も、味のある熟練の女性シンガー二人の歌唱。まず「メリー・スターリングス/Mary Stallings」。1939年、サンフランシスコ生まれというから、熟年というより、もうご長寿女性ボーカルと言った方がいい。「カウント・ベイシー/Count Basie」のバントにも在籍していたこともあるという。もう「レジェンド」。アルバムは、「Live at the Village Vanguard」(2016)。
もう一人のレジェンドは、ご贔屓、「シャーリー・ホーン/Shirley Horn」。ピアノ弾き語りスタイルの女性ジャズ・シンガーの元祖として、50年代半ばから活躍したアーティスト。しかし晩年は、乳がんと糖尿病と関節炎と闘い、脚も切断し、満身創痍の日々を送っていたが、2005年に脳卒中で倒れ、亡くなった。71歳だった。アルバムは、「You're My Thrill」(2001)。