さて、春を感じさせる歌、月並みな定番曲、「It might as well be Spring」。「春の如く」という邦題もついているが、歌詞を読むと「春の歌」と言えるかどうか、はなはだ疑問ですが ・・・。1945年、映画「State Fair」のために、「オスカー・ハマースタイン2世/Oscar HammersteinⅡ」が作詞、「リチャード・ロジャース/Richard Rodgers」が作曲した有名なスタンダード・ナンバー。歌詞を見ると、「春の歌」というよりは、不定愁訴というか、春の訪れに浮かれたような落ち着かない乙女心を歌った歌。
【 It might as well be Spring 】 by Oscar Hammerstein II, Richard Rodgers
「♪ I'm as restless as a willow in a windstorm 強風に揺れる柳のように落着かないし I'm as jumpy as a puppet on a string 操り人形のように飛び跳ねたりして I'd say that I had spring fever 春風邪にでも罹ってしまったのかしら But I know it isn't spring 今は春ではないってことは分かっているけれど
I am starry eyed and vaguely discontented, 物思いに耽ったりしてイマイチの気分 Like a nightingale without a song to sing まるで歌を忘れたナイチンゲールのよう Oh why should I have spring fever どうして春風邪なんかに罹ったのかしら When it isn't even spring... まだ、春ではないっていうのに
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I'm as busy as a spider 白昼夢という糸を紡いでいる spinning daydreams 蜘蛛のようにせかせかして I'm as giddy as a baby on a swing ブランコの上の赤ん坊のように目がくらみそう I haven't seen a crocus or a rosebud, クロッカスの花も、バラの蕾も or a robin on the wing 飛ぶコマドリだって見たことがないの But I feel so gay in a melancholy way 憂うつなんだけれど浮き浮きしたな気分 that it might as well be spring まるで春のようね It might as well be spring... そう、まるで春みたいだわ ・・・ ♪」
熟女らしくハスキーでセクシー・ヴォイスの持ち主、「ローラ・フィジー/Laura Fygi」の歌唱。1955年アムステルダム生まれの美形シンガー。父親はオランダ人、母親は元ベリー・ダンサーのエジプト人というから、あのエキゾチックな美形にも合点がいく。彼女がボサノバに入れ込んで選曲したアルバムが、「マイケル・フランクス/Michael Franks」の曲をタイトルにした「The Lady Wants to Know」(1994)。そのなかに彼女の歌う「春の如く」が収録されている。