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大屋地爵士のJAZZYな生活

夜に歩く

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 ナイトウォーキング。車は走っているが、歩く人影は殆どなく、商店の灯りも消えている。そんな中で煌々と灯がつき、車や人が集まっている場所がある。24時間営業のコンビニ・ストアである。こんな光景を見ながら、「エドワード・ホッパー/Edward Hopper」の「夜鷹/ナイトホークス/Nighthawks」を思い出していた。

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(Nighthawks 1942)


 「エドワード・ホッパー/Edward Hopper」の絵が好きである。20世紀アメリカの具象絵画を代表する画家の1人。「ホッパー」の絵から着想し、物語を紡いだ短編集、「短編画廊/原題:In Sunlight Or In Shadow」(ハーパーコリンズ・ジャパン、2019年刊)の編者で作家の「ローレンス・ブロック/Lawrence Block」は、「ホッパーの作品のすべてには、物語があり、その物語は語られるのを待っている」と語っている。
 
 「ナイトホークス/Nighthawks」は、深夜、NYと思われる下町の小食堂にいる人々を描いた1942年の油彩の作品で、「夜の散歩者」、「夜ふかしする人々」とも呼ばれている。深夜、街を歩いていてふと見かけた食堂。「こんな時間にここで過ごしている人々にどんなストーリーがあるのだろうか」とみつめる目を感じさせる一枚の絵。なにかNHKのドキュメンタリー番組、「ドキュメント72時間」にも通ずるような ・・・。


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 「エドワード・ホッパー」の絵をアルバム・ジャケットに使ったジャズ・アーティストがいる。クールでエレガントな北欧・ノルウェイの歌姫、「カーリン・クローグ/Karin Krog」と、ニューヨークの知性派ピアニスト、「スティーヴ・キューン/Steve Kuhn」とのデュオ・アルバムである。
    
 1974年、「カーリン・クローグ」、37歳。アメリカ的なジャズではなく、真に自由な表現としてのジャズを求め続けた彼女と、ピアノにおける耽美的表現を求め続けたピアニスト、「スティーヴ・キューン」との出会いがもたらした傑作が、アルバム「ウィー・クッド・ビー・フライイング/We Could Be Flying」(1975)。
  
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 そして、2002年、28年ぶりの運命の再開が再び傑作を生んだ。「ニューヨーク・モーメンツ/New York Moments」。このアルバムのジャケットに、「エドワード・ホッパー」の絵、「Hotel Room(1931)」が使われている。カーリンの想いなのか、プロデューサーの想いなのか、このアルバムには、ニューヨークを舞台にした11編の切ないラヴ・ストーリーが収録されている。さらに3年後の2005年、秋深いオスロでの再会から生まれたデュオ・アルバムが「トゥゲザー・アゲイン/Together Again」。ここにも再び「エドワード・ホッパー」の絵、「Automat(1927)」が使われていた。そして、10年後の2015年、二人はコラボ・アルバム、「ふたりの夜明け/Break Of Day」をリリースした。しかし、ホッパーの絵はなぜか使われていない。

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 ニューヨーク・モーメンツ/New York Moments
 カーリン・クローグ&スティーヴ・キューン/Karin Krog & Steve Kuhn
 MUZAK,Inc.





  
 「ウィー・クッド・ビー・フライイング/We Could Be Flying」で最初に収録され、アルバム「ニューヨーク・モーメンツ/New York Moments 」でも再び収録された「The Meaning of Love」を。元々は「スティーヴ・キューン」がボーカルで歌っていた曲だったという。

 「The Meaning of Love」、英語歌詞はこちら。
   
 こんな意味でしょうか。

「♪ やがて
   夢は静かに消え去るだろう
   いつなのかも なぜなのかも 分からないまま

   私はきっと学ばない
   決して、決して学ばない
   あの時どれほど幸せだったのか
   知るすべもなく

   ひとりきりで
   生き抜く勇気があるのかと問いながら
   星を数える
   涙さえ流せない

   私はきっと学ばない
   決して、決して学ばない
   愛の意味さえ
   触れることができずに

   今日の光は澄みわたり
   夜がそっと訪れる
   太陽の魔法は
   月とたわむれ
   胸の喜びは
   信じられぬほど 消えてしまった  ♪」

「Karin Krog - The Meaning of Love (featuring Steve Kuhn)」 

     



 「トゥゲザー・アゲイン/Together Again」からは「Time After Time」。「シンディ・ローパー/Cyndi Lauper」の曲ではなく、「フランク・シナトラ/Frank Sinatra」なども歌っている古いスタンダード。

 「Time After Time」、英語歌詞はこちら。

 こんな意味でしょうか。

「♪ (言葉にできない想い
   君に伝える言葉は
   なんて頼りないのだろう心のすべてを
   語ることはできない

   もし君が聴けるのなら
   私が言わずに残した
   あの想いを そのままに)

   幾度となく
   私は胸に言い聞かせる
   「君を愛せることがどれほど幸せか」と

   ・・・・・・・・・・・・・・・・

   だから 幾度となく
   君は耳にするだろう
   「君を愛せることがなんて幸せなんだろう」と  ♪」


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 トゥゲザー・アゲイン/Together Again
 カーリン・クローグ&スティーヴ・キューン
  /Karin Krog & Steve Kuhn
 MUZAK,Inc.






「Time After Time - Karin Krog & Steve Kuhn」


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 私が知っている限りでは、日本のシンガーで、ホッパーの絵をジャケットの使ったのは「南佳孝」。アルバム「Seventh Avenue South」(1982)で、あの「Nighthawks」が使われている。しかも驚いたことに、「カーリン・クローグ」がアルバムに使ったのが、2002年、2005年。それよりも20年も前である。
  
 プロデューサーは、「南佳孝」と「高久光雄」である。そして、「松本隆」は、全11曲中6曲を書いている。「田家秀樹」氏の「風街とデラシネ 作詞家・松本隆の50年}(KADOKAWA)には、「高久光雄」の言葉として、「松本君も僕も佳孝も『ニューヨーカー短編集』が好きだったんです。特にアーウィン・ショー」
  
 そんな「松本隆」がインスパイアされて書いた「アーウィン・ショー/Irwin Shaw」の代表作、「夏服を着た女たち/The Girls in Their Summer Dresses」と同名の曲などが収録されている。

 「南佳孝」&「松本隆」による、「Seventh Avenue South」をフルアルバムで ・・・。

  
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 SEVENTH AVENUE SOUTH
 Yoshitaka Minami/南佳孝
 Sony Music Direct







「南佳孝 (Yoshitaka Minami) - Seventh Avenue South [full album]」







by knakano0311 | 2025-08-21 00:00 | 音楽的生活 | Comments(0)
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