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大屋地爵士のJAZZYな生活

USA・JAZZY紀行 (6)  ~ 聖地ニューオリンズ ~

TVニュースの画面に釘付けになった。2005年8月30日のことである。ニューオリンズを襲った、ハリケーン「カトリーナ」が、壊滅的な被害をもたらしたのだ。水没した「フレンチ・クオーター」、「コンベンションセンター」の前で救助を求める人たち。私はこの2年前、2003年9月にニューオリンズを訪れたことがあり、そのときの思い出の場所が、悲劇的な情景として映し出されていた。このときも大型のハリケーンが接近し、上陸の前に予定を早めて、移動したことがあった。

JAZZの聖地、「ニューオリンズ」。1948年に州都は「バトン・ルージュ」に移ったが、依然として、ルイジアナ州の経済的、文化的中心。「ラ・ヌーブル・オルレアン」というフランス語の名称でも分かるとおり、18世紀当初は仏領であったため、街のあちこちにフランスの影響が残る。
ニューオリンズはメキシコ湾から、約100マイルほどさかのぼったミシシッピ川の堆積上に位置し、重要な港湾都市として発展してきたが、都市の総面積の約50%が水地域あり、かつ都市地域は海抜下にあるという特異な街で、「スープ皿」という異名があるそうだ。ハリケーン後の街の回復もなかなか捗らないようであるが、一日も早い復興を祈るばかり。

フランス風の建物が建並ぶ「フレンチ・クオーター」。そこが繁華街であり、そこのメインストリート「バーボン・ストリート」には、何十というJAZZのライブハウスが軒を連ねる。


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これらのJAZZライブハウスが観光の目玉であり、いくつかのライブハウスをはしごしてみたが、酔客相手のハウスであり、JAZZとしてのクオリティは言わずともと知れたものであった。
JAZZとしてのクオリティを求めるなら、ミシシッピ川近くのカジノ「オハラ??」のバーがオススメである。難を言えば、スロットルマシンのチンジャラ音がやや耳障り。1ボトル2ドルあまりのビールで質の高いJAZZが楽しめます。週日はご当地出身の「ウィントン・マルサリス」ばりの音を聞かせる若手のトランペッター、週末は野外ステージでギンギンのハードバップやブルースをノリノリで演奏していました。もちろん、ご当地出身の「サッチモ」こと「ルイ・アームストロング」を記念する「ルイ・アームストロング公園」にも訪問してきましたよ。

もうひとつの楽しみは、料理。「オイスター」とケイジャン料理である「Gumbo」「ジャンバラヤ」を食べさせる「Acme/アクメ」は開店と同時に、行列が出来るほどの人気店。機会があればぜひいかれてみることをオススメします。

注)ジャンバラヤ;肉や野菜などの具が入り、チリペッパーなど香辛料が効いた炊き込みご飯
  ガンボ(Gumbo);刻み野菜と魚介類、鶏肉、ソーセージ(特にアンドゥイユ、Andouilleな
  ど)を煮込み、フィレパウダー(filé powder、ササフラスの葉を粉にしたもの)またはオクラ
  でとろみをつけたもの

さらに2月には「リオ」のカーニバルとならぶ、世界三大カーニバルのひとつ、「マルディグラ」というカーニバルがひらかれる。色とりどりのフロートや妖しいマスクで仮装した人々が乗る巨大なフロート。これも観たいがいつかの機会に。

さて、ニューオリンズ、人口の70%超が、貧困層といっていい、黒人を中心とした「カラード」。市長は黒人であるが、町の経済的実権は、ほんの一握りの白人が持っているという。ニューオリンズの自力復興の難しさの原因のひとつは、ここあるといっていい。。  
一方、富裕層の白人が住む高級住宅街。マシンガンで武器装備されたガードマンによって24時間警備された、フランス風、ビクトリア風の邸宅が立ち並ぶ一角である。歴史的な建築物が多いため観光コースになっているが、ここに「ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)」邸を発見した。なるほど松江市と姉妹都市のわけである。そんな一角に住んでいるご夫婦を訪問したが、昼食のご招待をうけ、連れて行かれたのが、絶対といっていいほど「カラード」はメンバーになれないゴルフクラブのクラブハウスのレストラン。日曜日だったせいか、レストランは白人の家族で一杯。理由は想像できるでしょう。私は「名誉白人」扱いということだろうが、なにかしら割り切れない思いと、人種対立の現実の姿をみた思いであった。

誰もが耳にするだけでほほが緩む、あの嗄れ声の人気者、教祖「サッチモ」。もちろん「ルイ・アームストロング公園」の教祖像に詣でてきましたが、「What A Wonderful World/この素晴らしき世界」を含むベスト盤がオススメか。

ハロー・サッチモ!~ミレニアム・ベスト
ルイ・アームストロング / ユニバーサルクラシック
ISBN : B00005HU9T
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ご当地出身「ウィントン・マルサリス」のライブアルバム。

Live at Blues Alley
Wynton Marsalis Quartet / Sony Jazz
ISBN : B0000026AH
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癒し系の歌声で人気の「アン・サリー」。彼女は一時、ニューオーリンズに留学して、医療に携わっていたという。このアルバムは、2002年に一時帰国した際に録音した、久々のスタジオ盤で、彼女が日々暮らしていたニューオーリンズからの近況報告である。以前の彼女からは想像できない様なブルース系の曲も含まれているが、ちゃんと彼女なりの表現になっており、JAZZ聖地「ニューオリンズ」への讃歌が十分感じられる。アルバム最後の曲はサッチモへのオマージュ、「この素晴らしき世界」。

ブラン・ニュー・オリンズ
アン・サリー / ビデオアーツ・ミュージック
ISBN : B0007V5Z2U
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by knakano0311 | 2006-12-14 00:17 | JAZZY紀行 | Comments(0)
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