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大屋地爵士のJAZZYな生活

欧州JAZZY紀行(3)  ~ Schoner Wohnen ~ 

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外国の旅から帰ってくるといつも感ずることがある。日本の自然は四季の移ろいがあって、豊かで、本当に美しい。しかし、都市は醜悪である。とくにヨーロッパから帰ってくると強く感ずるのは、何故だろうか? 日本の都市、町がこんなに醜悪なのは、明治以後、特に第二次世界大戦後の近代化の中で、街づくり・都市づくりのコアになる「コンセプト」、「アイデンティティ」を喪失しまったからではないだろうか?言い換えれば、政治、教育、価値観などを含めた日本人、日本の在り方、価値観の変遷などと深く関係しているのではないだろうか。

ドイツ、北欧など北ヨーロッパの都市を訪問して、気がつく事がいくつかある。
第一に、都市・町のサイズがコンパクトである。人口100万を超える都市は稀で、ドイツでは、ベルリン、ミュンヘン、ハンブルグくらい。中部ヨーロッパでもパリ、ウイーン、プラハ それにロンドンくらいであろうか。ストックホルム、フランクフルト、コペンハーゲン、ヘルシンキ、オスロなど、その名前をよく知られた首都級の都市でも50~60万人くらいである。この「コンパクトである」ということが、町の機能、景観と大きく関係しているように思う。
具体的には、歩けるサイズ、自転車でいけるサイズ、路面電車でいけるサイズである。職住接近、街中に暮らすことが出来るサイズである。
東京を代表とする「大都市志向」と比べて考えれば、すぐに分かることである。現在も「行政の効率化」の名目で数多くの自治体が合併を目指しているが、本当にいいのであろうか?

第2に、その都市の個性を形作るコアになる歴史的建造物と、それとセットになった空間が、街の中心に、必ず存在している。城、教会、市場、広場などがそれである。それらが、その都市の存在感、 たたずまいを決定している。とくに休日の朝など、町の中心部の広場に市が立ち、人が集まってくる風景をみると、住まい・くらしと街とが一体になっていることがよく分かる。
郊外の大型スーパーなどの出現で「シャッター通り」化した中堅都市の商店街などとは無縁の光景である。
20世紀初頭に石油が発見され、モータリゼーションをコアコンセプトとして街づくりをすすめていった米国はその対極にあり、そういう米国流に近い暮らし方を選択した日本人の当然といえば当然の結果か。

第3に自分たちが住んでいる地域・街に誇りを持ち、その景観、暮らし方を大事に、守っていくという住民たちの意思と、それに基づく建築物、街づくりに対する規制、ある種の道徳というか共通の価値観がある。
木材が名産のドイツのある街では、建物を建築する場合、壁・床などに50%以上の木材を使わなくてはならないとか、隣家との境界との距離は4m以上とる(従って隣家とは8m以上はなれている)、建物のデザイン・看板などを規制する条例がある。また中心部では、電線・電柱の類が一切ないということも街の景観を美しく見せる大きな要因である。こんなことすら、この国では出来ない。

けちで、ものを捨てないドイツ人 ・北欧人気質のせい、石造り文化のせいもあるでしょうが、ただ古いものを大事にするだけでなく、また古い建物を遺産化するのではなく、修繕しながら、そのまま使っている。姫路城に姫路市役所が入っていると想像してもらったらいい。だから街が、建物が、現在形で生きている。
新幹線駅、高速道路、大型郊外ショッピングセンター、豪華役所とイベントホールづくりを優先する日本の街づくり。なにかおかしいと思うのは私ばかりでしょうか?あの中国でも「風水」が都市づくりの基本コンセプトなっていると聞く。

ヨーロッパでは、新築工事より、リニューアルの方が多く、フランスあたりでは新築比率は30%台?だった記憶がある。
フランス電気協会を訪問したときのこと。そのビルは築後300年で1Fには馬小屋を残してあることを誇らしげに自慢していた。勿論、ITとオフィス環境が最新・最高であることは言うまでもありませんが。
かっての部下の家族が借りていたスエーデンの一軒家。築後百年と聞いてびっくりしたことがある。全く古さを感じさせない石造りの1軒家。
街の中心部から歩いて15分、広い住人専用庭園付のクレッセント(弧状のマンション)に住む、エディンバラの友人、築後数百年と聞く。

勿論、種々の日本の条件、歴史は承知した上で、語っているのだが、ドイツの言葉に「Schoner Wohnen 美しい暮らし」がある。団塊の世代のさきがけの我々、自戒、反省を込めて、今この言葉を、噛みしめて見たい。国民一人一人の「美しい暮らし」が担保され、その「美しい暮らし」の延長上に、その総和に「美しい国」があるわけで、決してその逆ではありません。

今年最初の収穫は、ノルウェイ出身の女性シンガー、「インガー・マリエ/By Myself」。2004年のデビュー作は、大ヒットを記録したという。本アルバムは第2作であるが、ノラ・ジョーンズ、マデリン・ペルーなどの系譜に連なる癒し系。ミュンヘン近郊の定宿、木のぬくもりと手作りのホスピタリティを感じるホテルの部屋で、くつろいでいるような感じがする。レノン、マッカートニーのカバー「I Will」、こんなにも優しい曲だったかと感じさせるほどゆったりとしてしまう。

By Myself
インガー・マリエ / / コロムビアミュージックエンタテインメント
ISBN : B000J10B04
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「I Will - Inger Marie Gundersen」

          


北欧スエーデン生まれフランス育ちの美形。収録曲は、すべて彼女自身が作詞作曲したオリジナル曲。新人ながら、しっかりした力量の持ち主、JAZZYではあるが、ポップス調の非アメリカ的JAZZの世界にはまってしまう。

ア・フラクション・オブ・ユー
フレドリカ・スタール / / BMG JAPAN
ISBN : B000I2K7GW
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by knakano0311 | 2007-01-16 23:15 | JAZZY紀行 | Comments(0)
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