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大屋地爵士のJAZZYな生活

【Reflection;反射、反映】  ~ 和魂洋才・ダンディズム ~ 

前々回、今年の音楽界の総括として、次のような一文を引用した。

中高年は「青春の音楽」に回帰した。3万5千人を集めた、吉田拓郎とかぐや姫による31年ぶりの「つま恋」コンサートは、社会現象に近いものだった。この年代のファンは、次々と復刻される旧作をまとめ買いするなど、CD購買意欲が旺盛で、若者と違った音楽市場を形作った。

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この記事を象徴するようなアルバムが発売された。「寺尾聰/リ・クール・リフレクションズ」。
1981年 バブルの初期、日本レコード大賞受賞を受賞したあの大ヒット曲「ルビーの指環」を含む、これまた確か165万枚LPが売れたという、大ヒットアルバム、「レフレクションズ」を同じ曲目、順番で新しく録音しなおしてのリリース。久しぶりにオリジナルの「リフレクションズ」と聞き比べてみた。全く別のアルバムといっていい。それほどアレンジの完成度が高い。

「寺尾聰」。1947年生まれ、59歳、まさに「団塊の世代」である。当時、「ほんとうにいい曲ばかり」とびっくりし、何回も、何回もそれこそ擦り切れるまでLPを聴いた。この新作、25年ぶりに、カリビアン、ボサノヴァ、ジャズなど心地よいアレンジで綴られているが、相変わらずの「寺尾わーるど」は健在。ひとつひとつの歌の歌詞も今聴いても粋で、せつなく、JAZZYおじさんには堪えられません。「渚のカンパリ・ソーダ」、「Shadow City」、「ダイヤルM」、「北ウィング」、「出航 SASURAI」・・・。25年前のあの気分が甦る。このCD、「企画力に勝負あった、脱帽!!」。
歌謡曲というには、お洒落で渋過ぎるし、ロックとよぶには派手なギンギンさはなく、J-POPSという軽いジャンルにも当てはめたくない。勿論、JAZZYではあるが、JAZZではない。「寺尾わーるど-ダンディズム」とよぶしかなさそう。

Reflection;【名詞】;反射、影、反映、反射光、反響、鏡映、映像、反転、対称移動、裏返し、よく似た人[物]

Reflections
寺尾聰 / / 東芝EMI
ISBN : B00005HQL3
スコア選択:


Re-Cool Reflections
寺尾聰 / / A&A
ISBN : B000K4X3B4
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「寺尾聰 - Re-Cool ルビーの指環」

          

ここ数年来のことであるが、政界、財界、金融界、産業界、教育界、問わずに「恥をしれ!!」という情けないTOPの不祥事、企業の不祥事の記事がおどる。最近は特に目に付く。今日は、士魂の人、同郷松代出身の「栗林忠道中将」を主人公に描いた、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」を観たからその感がつよいのだろう。
クラシック、JAZZの世界では言うまでもないが、寺尾聰をはじめとして、谷村新司、サザン・オールスターズ、ユーミン、中島みゆき、などPOPSの世界でも、「和魂洋才」を持ち、世界に通用するレベルの一流のアーチストがたくさん育ってきたのに、政治も経済もその世界の人たちは二流という感が強くする。「何故か?」。その答えを、「文芸春秋 1月号」の、「藤原正彦」氏の「国家の堕落」という一文に見出すことが出来る。
まさに藤原氏のいうとおり、バブル以後、「自己責任」、「規制緩和」に名を借りた、米国流競争原理、成果主義、株主最優先の会計制度、経済効率一辺倒の政治の行き着く先、悪しき「自己中心主義社会」が見えてきた感じ。バブルの化けの皮がはげた後は、「国家」そのものが二流化していくという恐ろしい予感。これも、我々の選択の結果の「レフレクション」である。

このアルバム、「リフレクションズ」、「リ・クール・リフレクションズ」に盛り込まれた世界は、25年経っても色あせないのに・・・・・・。

映画「硫黄島からの手紙」。名画である。彼の日本人の描き方に違和感は全く感じなかった。渡辺謙らのアドバイスがあったにせよ、米国人の監督に、ここまで日本人が描けるなんて。クリント・イーストウッドはやはり名監督。「和魂」を彼に教えてもらいますか?
彼の描く「栗林忠道」も、「和魂洋才、ダンディズム」を備えた人。

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もう日本では「死語」になってしまったかも知れない二つの言葉、「和魂洋才」、「ダンディズム」・・・・・・。

【追記】

1月2日NHK総合TV「SONGS」で、「リ・クール・リフレクションズ」の特集&ミニ・コンサートをやっていた。NHK・バージョンで「ハバナ・エクスプレス」、「二季物語」、「北ウィング」、「出航 SASURAI」、「ルビーの指輪」が演奏された。インタビューワー、小泉今日子の「前回と今回のリフレクションで気持ちの持ち方の違いは?」という質問に答えて、「前回は自分の歌が広く受け入れられる、言い換えれば、沢山のレコードが売れればいい、ということを考えていた。今回は、狭くてもいいから、リスナーの心に深く届けばいい、と願って録音した。」
by knakano0311 | 2006-12-29 00:34 | おやじのジャズ | Comments(2)
Commented by knakano0311 at 2006-12-30 14:12
歌詞の内容は今の若い人から見れば、アナクロのダンディズムかもしれませんが、感情移入できるんですね、こんな詩に。
Commented by Jordan at 2007-04-05 02:30 x
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