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大屋地爵士のJAZZYな生活

欧州JAZZY紀行(5)  ~Dear Old Stockholm~  

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(写真はNETより拝借)

「スエーデン」。この国も仕事で何度も訪問した忘れられない国。皆さんは「スエーデン」というと、どんなイメージ、キーワードを思い浮かべるでしょうか? 私の世代の人なら、かって「11pm」などで興味本位で紹介されてから、間違ったイメージが定着した「フリーセックスの国」、「王制」、福祉政策の例によく出される「高負担・高福祉国家」、スイスと並ぶ「永世中立国」、ボルボ、サーブを生み出す「工業国」、童話「ニルスの不思議な冒険」、「ノーベル賞」・・・・などでしょうか。「フリーセックスの国」を除いて、ほかは断片的には、あたっているかも知れません。すこし垣間見ただけですが、これらのイメージ、特徴は、この国の歴史あるいは長年にわたるこの国のあり方・国家戦略と大きく関係しているように思われる。

人口約800万人。東京都の人口にも満たない人口、日本の約1.2倍の厳しい自然環境の国土で、他の欧州の列強と伍して、国家として生き残っていかなければならない。狭い海峡を隔てて対峙する隣国デンマークなどと、血を血で洗う凄惨な戦争を過去に繰り返したスエーデン。多分戦争によって、国力を消耗する「おろかさ」を悟ったのであろう、この国は、ここ300年間戦争をしたことがない。しかし徴兵制度はあるし、「ドラッケン」というジェット戦闘機や戦車を生産する武器製造大国でもあり、あの有名な「スエーデン鋼」はその武器ために開発された鋼(はがね)である。欧州の中でサバイバルしていくために持つ、戦力の意味を国民が分かっているうえでの「永世中立国」という選択なのであろう。

また、北欧はどこでもそうであるが、英語を母国語としない国の中で、スエーデンは、欧州随一の英語教育国であるという知られざる一面もある。多分、街のどこでも、大人でも子供でも、どんな田舎へ行っても英語がちゃんと通ずる国。「サバイバル」と「グローバル」という戦略の中で教育が、位置付けられているれている証拠。JAZZアーティストが、輩出してくるには、わけがちゃんとあります。

もうひとつの観点は、国の財産は「人、子供である」という考え方。よく知られる手厚い福祉は、「家庭」でなく「個人」になされるため、成人であれば、未婚であろうが、非婚であろうが各個人に対して適用される。子供であれば、嫡出、非嫡出の区別なく適用されるという。子供は、18歳になると、よほどの事情がない限り、親から離れて独立する。そのときに、互いに愛し、助け合う異性のパートナーとの同居が始まるという。また、女性の労働は当たり前で、子育てしながら働くためのインフラが整備されているため、結婚後育児を理由に、働くことを断念することはないという。また、結婚している、していない、離婚などによって、不利益をこうむることは一切ないとも言う。こういう状況の延長線上に、全くの誤解といえる「フリーセックス」ではなく、「セックスフリー、ジェンダーフリー(性差別からの脱却)」という概念が存在すると見たほうがいいと思う。スエーデン人の知人夫婦?は、25年間同居して、もちろん子供もいるが、いわゆる法律上の夫婦ではないという。彼らは、「結婚は宗教上の儀式にすぎない」というし、結婚の有無で国民として不利益をこうむることはないともいう。

このような政策を実施しようと思うと、当然ながら「高負担」になります。現実に税金は50%程度らしいし、消費税も高い。でも彼らはこんなことを言っていました。「確かに税金は高いし、高負担であるのは事実。でも老後にそれは100%自分に返ってくるし、この国が栄えていくためには必要です。」と・・・・・。つまり、国民が国の在り方に納得しているのです。
もう「少子高齢化社会日本」は、後戻りできない紛れもない事実。いつまでも、「美しい国」などという国家戦略と具体的政策のない標語をかざせばすむ話でないでしょう。

かって、洋画がハリウッド一辺倒ではなく、もっとグローバルな選択肢に満ちていた学生時代に見た、「イングマル・ベルイマン」監督のスエーデン映画「野いちご」に魅かれて、舞台となった美しい大学都市「ルンド」へ、冬にドライブしたことを思い出しました。若き「イングリッド・チューリン」の美しさは特筆。 ルンドから、狭い海峡越しの、すぐ間近にデンマークが見えるヘルシングボリへ廻り、途中、海辺の村の小さなレストランで北海からあがる魚のブイヤベースで暖まった思い出も懐かしい。

野いちご
ヴィクトル・シェストレム / / ハピネット・ピクチャーズ
ISBN : B00005LJYA
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ストックホルムは岩盤がフィヨルドに「中之島」状に残ったところ「ガムラ・スタン」を中心に発展した町。そこで、「焼酎のお湯割りあります」の看板に魅かれて入ったすしレストラン。北海から揚がる魚をすしネタに使い、結構おいしい。スエーデン・ウオッカのお湯割りもかなりいける。しばらく日本食から遠ざかっていたこともあって、がんがん行ったが請求書を見てびっくり。店のおやじいわく、「梅干しは日本からの輸入でして・・・・・・」。その「ガムラ・スタン」にも、いくつかのJAZZクラブがあり、夜が更けるまで異国の北国の夜をJAZZで過ごした想い出も懐かしい。

この国の印象、想い出は、あの「KOSTA BODA」のガラス細工のように、色鮮やかにきらめいて色あせない。

私の好きなヨーロッパとアメリカのピアノ・トリオの同名のタイトルのアルバムから。アメリカからは、1932年生まれの爺様、職人技ともいえる、この上なく甘い「エディ・ヒギンズ・トリオ」。ヨーロッパからは、初代の「ヨーロピアン・ジャズ・トリオ」のピアニストにして流麗にして華麗な「カレル・ボエリー・トリオ/Karel Boehlee Trio」。アルバムは「Dear Old Stockholm」。

懐かしのストックホルム~スイングジャーナル・リーダーズ・リクエスト~
エディ・ヒギンズ・トリオ / / ヴィーナスレコード
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ディア・オールド・ストックホルム
カレル・ボエリー・トリオ / / エムアンドアイカンパニー
ISBN : B00023GTCS
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「Eddie Higgins Trio - Dear Old Stockholm」

          
by knakano0311 | 2007-02-16 22:10 | JAZZY紀行 | Comments(0)
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