毎月1日は映画が安くなる日。近くのシネ・コンへ行くと、ウイークディとあって、結構、女性やシニアのカップルで一杯。日本映画に隆盛と活気が戻ってきたと最近の新聞にもあったが、全く実感。本日の映画は、阪本順治監督、風吹ジュン主演の「魂萌え!(たまもえ)」。ごくごく普通の世間知らずともいえる、59歳の専業主婦の主人公「敏子」。定年退職した夫が、3年後に急死、愛人の発覚、フリーターの娘、子供たちとの遺産相続問題、友達とのいさかい・・・など、次々と、シニアだったら、誰もが直面するであろういろいろな出来事の中で、「女」として変わりたい、「女」でありたい、という欲求に目覚め、自立していくという、まさに「魂が芽ぐんでいく」様を描いた作品である。原作はいつも意欲的な問題作を書く「桐野夏生」。小説で読んでいたときから面白いと感じていたが、映画も原作の意図をよく反映した作品になっていて、風吹ジュンはじめ、脇の三田佳子らが、「平凡な主婦」が直面せざるを得なくなった現実を、リアリティのある演技で好演。愛人を演じる三田佳子が線香を手向けるために、敏子を訪れてくる初対面の場面で愛人はペディキュアをしている。敏子は女として負けたと感ずる。このあたりの感覚、その後の対決の場面は男の私にも、「迫真の演技」と感ずる演出であった。音楽は「Coba」が担当、これも敏子のこころの揺れを映すようなちょっと不思議な音楽。
魂萌え!〈下〉
桐野 夏生 / / 新潮社
ISBN : 4101306346
スコア選択:
映画が原作と違うのはラストシーン。あのビットリオ・デ・シーカ監督、ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ主演の名画「ひまわり」のラストシーンと「ヘンリー・マンシーニ」作曲の、あまりにも有名となった、その美しいテーマ曲がスクリーンに流れる。
ひまわり《デジタルリマスター版》
/ ビデオメーカー
スコア選択:
ひまわり
サントラ / / ビクターエンタテインメント
スコア選択:
また、私は見逃してしまったが、この小説は、「NHK土曜ドラマ」でもドラマ化された。
NHK土曜ドラマサウンドトラック「魂萌え!」
Spanish Connection / / ビクターエンタテインメント
ISBN : B000HXE34E
スコア選択: