このブログは「おやじ」に向けてのものであるが、最近jazzコンサートなどにでかけてみて、心配なことがある。それは、観客=聴き手が、ほとんどシニアの皆さんであり、若い人をほとんど見かけないということ。こんなんでJAZZの将来は大丈夫だろうか。この世界は、作り手だけでは成り立たない、聴き手と両方あっての世界。
作り手は、上原ひろみ、松永貴志、矢野沙織、Coco d’Or(元speedのhiro)など新しい若い人も出てきているのだが・・・。そこで、きょうは「ジャズはおやじの音楽か?」という話題。答えは、「いまの日本においては、ほとんどイエス」。
もっとも、シニア、或いは団塊の世代のjazzファンは、jazzが勢いを持っていた1950~60年代当時、アヴァンギャルド、反体制の匂いに魅かれて、ジャズ喫茶あたりでたむろした学生時代を送った世代であろう。私も含めて、その熱い思いを呑み込んで、社会に出たシニア世代が、定年時期に差し掛かった今、それを吐き出しているかのように見える。そのことが、日本では、jAZZを小難しい、ひょっとしたらシニアにしか通じない、あるいは共感を呼ばない特殊な音楽に仕立て上げてしまったかも知れない。
ジャズの発祥の国アメリカは「ジュリアード音楽院」などに代表されるように、継続して、jazzアーティストを育て、送り出していくシステムが確立しているし、ヨーロッパはこのブログでも紹介しているように、北欧を中心に、新人女性jazzシンガーが毎月のようにデビューしているし、「澤野工房」の仕事振りを見れば、ヨーロッパでのjazzの隆盛ぶりは推測できる。
中国は、プレーヤーも聴き手もほとんどが20代か30代の若者。この国では、最もホットな音楽がjazzである。
日本でも、レストラン、蕎麦屋、喫茶店へ行ったときに、ちょっと気をつけてば、BGMにjazzが流れていることに気がつく。また、あれだけ「ノラ・ジョーンズ」が売れたのだから、jazzがもう特殊な音楽ではなく、すでに、一般に受け入れられている音楽になっているのは間違いないと思う。
したがって、若い積極的にJAZZを支持するファン層の獲得がどれだけ出来るかに、この業界の命運がかかっているといっても言い過ぎではない。また若い女性を中心にジャズに人気が出始めてるとも聞く。
そこで、私jazzおやじが、臆せず、もしかして見ているかもしれない、若いこのブログの読者のためにあえて、日本若手グループのオススメを・・・。
「エゴ・ラッピン/EGO-WRAPPIN’」。何年か前、永瀬正敏主演のTVドラマ「私立探偵濱マイク」の主題歌「くちばしにチェリー」を歌っていたのが、「エゴ・ラッピン」。古いジャズやブルースを中心とした音楽を主体に取り組んで、若い人たちにも人気だという。ボーカル「中納良恵」が官能的に歌う「色彩のブルース」は、中森明菜もカバーしているほどの今様ジャズ歌謡ともいえる名曲。
色彩のブルース
EGO-WRAPPIN’ / / インポート・ミュージック・サービス
ISBN : B00005HMAN
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息子から教えてもらった「PE’Z(ペズ)」というグループ。う~~~ん。おじさんにとっては評価が多分分かれるであろうが、いわゆるアメリカ製のスタンダード・ナンバーではなく、日本のJAZZを目指す姿勢や、日本の音楽、たとえば、和製ジャズ(鈴懸の径、銀座カンカン娘)、歌謡曲 (雪國、ともだち、また逢う日まで )、童謡 (おもちゃのチャチャチャ)、民謡(ソーラン節)までも彼らなりにJAZZ化しようというチャレンジする姿勢には共感が持てる。
PE’Z BEST 1ST STAGE「藍」
PE’Z / / 東芝EMI
ISBN : B000E6GD1K
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日本のジャズ-SAMURAI SPIRIT-
PE’Z / / ロードランナー・ジャパン
ISBN : B000FPWX5U
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若いジャズ・ファンを獲得していかなければ、日本のJAZZの将来はないわけで、「歌う吉本」こと、あの綾戸智絵のコンサートで、いつも感ずる「世代を超えた集客力」にヒントがあるかもしれない。芸術性のみを追求するのではなく、幅ひろい世代にアピールする「エンターテイメント」としての多様な試みを、作り手側も聴き手側も企画してみることも、裾野をひろげるひとつの方法であろう。
私は、兵庫県に住んでいるが、NHK神戸では、夜7時前のローカル・ニュースの時間に、神戸放送局のオープンスタジオから、応募によって選ばれた、地元のJAZZグループの演奏をライブで放送している。まだ観客はシニアが多いが、若いアーティストの参加も多く、なかなかのレベルの演奏である。日本のJAZZ発祥の地、神戸にふさわしい試みであるが、こんなNHK神戸放送局の試みを、私は高く評価します。