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大屋地爵士のJAZZYな生活

鬼の居ぬ間に・・・・・

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高さ5m、重さ10t の日本一の大鬼瓦

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盂蘭盆会、墓参り、盆踊り、花火、五山送り火、地蔵盆、万燈会。いつもながら夏休みは、日本の伝統を感じさせてくれる行事が続く。そんな感傷に誘われてか、夏休み最後の日は、酒呑童子でしられる丹後・大江山の「日本の鬼の交流博物館」周辺へドライブ。

古来、日本の鬼は、西洋の悪魔やデビルを違って、「恐れ」だけでなく「畏れ」の対象でもあった。「仕事の鬼」、「鬼の目にも涙」、「鬼に金棒」などの常用句や「おにゆり」、「鬼やんま」などの動植物の形容、「鬼ころし」という酒のブランド、昔話や民話、民俗芸能、子供の遊びへの登場など、人間に敵対する存在という概念では括ることが出来ない。現実に日本各地の祭りや行事に登場する「鬼」には災厄をはらい福をもたらす「鬼」も数多く存在する。家を守る「鬼瓦」もそうである。また、昔話や民話に登場する鬼には、ユーモラスな反面、なにかしら、哀切、祈りといった人間の心の深い部分に触れてくる一面も感ずる。

昔から漠然と気になっていた存在、「鬼」。「鬼」とは何者なのか? そんな私の疑問に、いくばくかの答えを出してくれた今回のドライブであった。

博物館の資料を読むと、「鬼(き)」という漢字は中国から伝わってきたものであるが、その鬼(き)と日本古来の「おに」の観念が日本書紀編纂の頃一体化したのではという考えが述べられていた。大和朝廷による国家成立期の頃、地方の「皇威にまつろわぬもの」の賎称であり、被征服者に対し、成敗することへの正当化を与えた言葉だったかもしれないと結論付けている。征服された鬼はそれまでのその地域の長であったのだから、敬意や思慕の念が消えるわけはない。むしろいっそう強まったかもしれない。「鬼」とは滅びていった我々の祖先・祖神なのかもしれない。近畿より辺境の地に「鬼」伝承が残っていることは、それを裏付けているのかもしれない。

館内に入ったとたん、運良く外は、強烈な雷と雨。その稲妻と大音響に包まれた館内には日本全国から集められたおびただしい鬼の資料。これほど日本人の暮らしが「鬼」と係わって来たのかと感心してしまった。想像上の存在なのに実在するかのように日本人の暮らしと関わってきた「鬼」。怒る、笑う、泣く、集められた鬼の人間くさい様々な表情。いっとき鬼と遊びながら、古来の日本人の鬼に対する思いを考えて時間を忘れてしまうひとときを過ごした。

帰路は、江戸時代は200軒以上あったといわれるが、いまはこの地方にたった一軒だけ残る「丹後和紙」の紙漉きの家「田中製紙」とその横の「大江町和紙伝承館」を訪れ、和紙を求めた。貴重な地方の文化や技術が近代化、効率化の名の下に、これ以上衰退していかないことを願わずにはいられない。最後は「鬼ケそば」で締めた「和魂」の一日。

和、神、鬼、雷から連想されるのは? そう、雷様といえば、鬼、太鼓。ヨーロッパを旅していたとき、よく「和太鼓」のコンサートのポスターを見かけたのを思い出す。林英哲であったか、「神鳴り」と言う字が、墨刻鮮やかにポスターの上で躍っていたのを思い出す。

鬼太鼓座(おんでこざ)。和太鼓のパフォーマンスを国際的な音楽にまで高めた最初のグループ。鬼太鼓座は佐渡で結成されたプロの創作和太鼓集団であり、1969年に田耕の発案により結成。1975年のアメリカデビューを皮切りに、現在までに世界中で活躍している。全米3年間、350公演のマラソンツアーをやりぬいた。当初は佐渡島に在住し活動を行っていたが、国際的に有名になるにつれ、2000年より静岡県富士市の合宿場を活動拠点に移し、座員も外国人をいれ、国際的に受け入れやすいパフォーマンスに変化していった。

しかし、和太鼓のもつ音楽性、精神性、芸術性を国際的に高めた功績はきわめて高く評価される。地鳴りのように体を揺り動かす和太鼓のパフォーマンスは実際に聴かないと絶対に分からないが、せめてCDをヘッドホンで大音響にして聴けば、臨場感は少しは伝わるかも・・・。

「伝説」
鬼太鼓座 / / ビクターエンタテインメント
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富獄百景
鬼太鼓座 / / ビクターエンタテインメント
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和太鼓の奏者が友人にいるが、彼によると、和太鼓奏者五つの基本とは「心・技・体・気・品」であり、拍子は宇宙のリズムである4拍子が基本だそうです。(ブログ「和太鼓のススメ」

鬼太鼓座と並ぶ、人気の世界的に有名な太鼓ユニットが「鼓童」。限りなく静寂に近い音から、稲妻のようにとどろく衝撃音までを自由自在に繰り出しながら、世界中でプリミティヴな力を見せつけている。80年の結成以来、和太鼓のみでなく、西洋のリズムや音楽様式を取り入れたスタイルでもレコーディングしており、新境地の開拓にも余念がない。
坂東玉三郎の演出による佐渡の和太鼓集団・鼓童の公演を収録したライヴ盤。

佐渡へ~鼓童 ワン・アース・ツアー スペシャル
鼓童 / / ソニーミュージックエンタテインメント
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シンセサイザーの富田勲氏との共演。あの「ナスカの地上絵」のあるペルーの大地と宇宙を感じさせる「鼓童」としては異色のアルバム。

ナスカ幻想
鼓童with冨田勲 / / ソニーミュージックエンタテインメント
ISBN : B00005G6QL
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by knakano0311 | 2007-08-23 18:00 | 音楽的生活 | Comments(0)
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