もう九月。あの暑さも一段落して、近づく秋の気配。そんな秋の夜長に、はまってみたいと思うJAZZYな音世界がある。アーティストは、だれでも自分独自の音世界を作ろうと思って創作活動をしているが、その中でも特に際立った女性アーティストたちがいる。TVなどのマスメディアの歌番などには、まず露出しないし、オリコンのヒットチャートにも載ることはない。しかし、ライブチケットはいつもソールドアウト、きっと深いファンがいるのであろう。キーボードの弾き語りのアーティストが多いのは偶然だろうか? 弾き語りライブでしか、その独特な世界が体験できないのかも知れない。
まず、このブログでも紹介した「浜田真理子」、「沢知恵」。浜田真理子の場合はTVドキュメンタリー番組「情熱大陸」で観てから注目するようになり、何回かコンサートも聴きにいってます。
松江というごく普通の地方に住んでいるおばさん。OLし、子育てもしながら、年数回のコンサートを開く。そんな彼女がTV番組をきっかけにしてブレーク。「愛、恋、純粋、純愛、永遠、死・・・・」、少し照れくさくなるような言葉を紡いで、今までに日本の歌手では聞いたことのない深い静けさ、情念に満ちた独自の世界を作りだす。コンサートでは、CDではほとんど伝わってこない、恐らくライブでしか味わうことの出来ない、独特の雰囲気に満ちた静謐な空間が作り出される。(拙稿「松江・宍道湖のほとりから~浜田真理子の世界」、「化学反応」参照)。ひとつだけアルバムをあげるとしたら、やはり「月の記憶」か。
Mariko Live~月の記憶~ 2002.11.9 at Bunkamura Theatre COCOON
浜田真理子 / インディペンデントレーベル
ISBN : B00008PT9X
スコア選択:
「浜田真理子 あしくび (Live) 」
「沢知恵(さわ・ともえ)」。彼女を知ったのは、Amazonのマニアリストからのおすすめであったと思う。最初に聞いたCDは、「いいうたいろいろ5 英語のいいうた」。 しかし、そのときは印象に残ることはなかった。あるとき何気なく聴いたとき、大げさだが、その彼女の世界に衝撃を受けた。 その歌はアルバムラストの「ウィル・ユー・スティル・ラヴ・ミー・トゥモーロウ」。タイトルどおり、いろいろなジャンルの歌のシリーズCDを出しているが、演歌、童謡、フォーク、POPS、賛美歌、校歌などのほか、オリジナルを交えて彼女の弾き語りの世界に引きずり込まれる快感は一度経験したら忘れられない。一度ライブを聴いてみたいアーティストの一人。(拙稿「雨の日に聴くオーガニック・ヴォイス」参照)
いいうたいろいろ5 英語のいいうた
沢知恵 / / コスモスレコーズ
スコア選択:
「高田みち子」。 出自などよく知らなかったが、彼女もAmazonのマニアリストからのおすすめで知ったと思う。ライナーノーツなどによると、70~80年代のポップスとジャズのテイストをミクスチャーした噂の新宿系シンガーソングライターで、女性からの支持が多いらしい。ヒットした前作『Night buzz』につづくセカンド作品が「TALEA DREAM」。
「CDジャーナル・レビュー」にいわく、「いい声。そして、いい曲を書く人。だが彼女はいわゆるジャズ・シンガーではない。ただし、彼女には音楽を感受する鋭い感覚、高レベルの演奏者と同じ土俵に立って自身の表現を完遂する音楽性、そして何より音楽家としての器の大きさが備わっている。」
あるカスタマーレビューの言。「彼女の歌う「TALEA DREAM」の穏やかで伸びやかな歌唱が私の車の中に安らぎを充満させ、40男の心の中の欠けたピースを1つずつ埋めていった。・・・」
TALEA DREAM
高田みち子 / / ソニーミュージックエンタテインメント
スコア選択:
「中山うり」。まず名前からして只者ではない。アコーディオンの弾き語りという特異なスタイルと、独特の歌詞世界で、ジャズ、シャンソン、ボサノバ、ジプシー音楽などを思い起こさせる音世界を築いてみせる。CDデビュー前に、音楽配信ストアで異例の売り上げをあげ、さらに、2006年のフジロック(アヴァロン)にも出演したという、従来にない新しいプロセスで音楽シーンに登場してきたアーティストである。アコーディオンと、時折ポケットトランペットを演奏しながら歌うというスタイルで、既にワンマンライブも10回以上をソールドアウトさせているという。
ノスタルジックでありながら、どこか陽気。また、メランコリーで異国の香りにも満ちたその魅力ある歌声は、一聴しただけで心をぎゅっとつかまれてしまう魅力に溢れている。
遂にメジャーデビューしたCDが、「DoReMiFa(ドレミファ)」。
DoReMiFa
中山うり / ソニーミュージックエンタテインメント
現代の「イタコ」、「巫女」、「琵琶法師」ともいえる彼女たちの醸し出す、その「One and Only」の世界の魅力に、幻惑されながら浸ってみる秋の夜長はいかがでしょうか。