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大屋地爵士のJAZZYな生活

読む「流行り歌」  ~年甲斐もなく恋唄綴りに・・・・・~

「島村洋子」の恋愛小説が好きである。彼女の著書には、せつなかった別離、苦しかった逢瀬を、オールディーズにのせた連作小説「マイルストーン めざめるまでに」や、「The dock of the bay」「上を向いて歩こう」など、あらゆるジャンルの26曲の歌にのせて、想いを綴る、エッセイ集 「もう一度、聴かせて」など音楽に関連した著作が多く、等身大の現代女性の恋や性愛を描く。そのなかで、かってヒットしたなつかしのラヴ・バラードをタイトルにした短編集、「あんたのバラード」が、私は好きである。「あんたのバラード(世良公則&ツイスト)」、「哀しい色やね(上田正樹)」、「星屑のステージ(チェッカーズ)」、「帰れない二人(井上陽水)」、「少しは私に愛を下さい(小椋佳)」「アイ・ラヴ・ユー,OK(矢沢永吉)」など、懐かしのラヴバラードにのせて贈る、哀しくせつない8編の物語である。

我々の世代には、懐かしい「流行り歌」が各編のタイトルになっていて、またその歌の歌詞までついている。主人公の女たちは、生活や男たちに、傷ついていたり、疲れたり、諦めていたりしているが、心の奥に自分なりのソウル・バラード、「恋唄」をもっていて、それが読者、特に女性の読者の共感を呼ぶのだろう。いや私のようなオヤジでも十分に共感できますよ。ストーリーは解説すると野暮になりますので、しませんが、多分、読み終わったら、すぐに「TSUTAYA」にいきたくなりますよ。いや、カラオケかな ・・・。

あんたのバラード
島村 洋子 / / 光文社
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「世良公則 - あんたのバラード」

          


わが奥さんの「いもたこなんきん」アルバムでもある、女性シンガーの名曲ばかりを取り上げた、「ボーカリスト1,2」に続く徳永英明の最新作「ボーカリスト3」。46歳の徳永英明のカバーアルバムが、オリコンチャートの1位を飾ったのもびっくり。 かっての演歌は隅に追いやられ、CDショップは若者の音楽、いわゆるJ-POPやヒップホップ系の音楽があふれ、中高年が聴く音楽はなくなり、結果的に音楽業界の衰退にも繋がった情況のなかで、熟年アーティストの活躍、とくに徳永英明、桑田圭祐、小田和正らの活躍は喜ばしい。

徳永英明。「ボーカリスト1,2」もそうだったが、かすれた高音で、女性歌手以上に想いあふれる「女心」をバラードに、歌いこめられる歌手。カバー曲を唄うことについて、「100%の徳永色は出さない。歌わせてもらっているという意識でうたっている」と彼は言う。だからオリジナルの恋唄のコンセプトや雰囲気、情念はそのままに、彼の思いをそれにかぶせた歌い方になっているのであろう。しかし男性歌手という分、どこかからっとしているし、一種突き放した感じもする。新アルバムも、「恋におちて」、「PRIDE」、「桃色吐息」、「まちぶせ」、「わかれうた」、「迷い道」など我々世代が感情移入できそうな名曲ばかり。

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VOCALIST3
徳永英明 / / UNIVERSAL SIGMA(P)(M)
ISBN : B000RY433E
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「中島みゆき」を歌わせたらこの人以外にはいないという歌手がいる。「研ナオコ」である。彼女のオリジナルの歌かと思わせるくらい、自分の歌に見事に消化してしまっている。いずれもカバー集「中島みゆきを唄う」、「恋愛論」。「徳永英明」と同じ気分や空気を感じさせるが、彼女が女性歌手である分、徳永と違って幾分湿った空気が漂う。が、彼女の声質(風貌もあるかな?)が、湿らさせすぎない適度な湿度にとどめている点が見事。「時代」「わかれうた」「かもめはかもめ」を徳永と聞き比べて見るのも面白い。
「恋愛論」は、セルフカバーを含む、研ナオコの「昭和の恋歌綴り」。なんと言ってもアルバム名がいいし、ジャケットもいい。

中島みゆきを唄う
研ナオコ / ポニーキャニオン
ISBN : B00005FQ0S
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恋愛論
研ナオコ / ポニーキャニオン
ISBN : B00005FQ0R
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こんなCDを聴きながら夜更けに読む、「島村洋子」の「あんたのバラード」がいい。
by knakano0311 | 2007-09-06 18:31 | おやじのジャズ | Comments(0)
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