完成間近 全貌を現した「鳥の巣」こと、オリンピック・メインスタジアム
故宮(紫禁城)
オリンピックまで333日(9月10日)の北京でこのブログを書いています。定年後、「ちょこっと仕事」をモットーに、「半労半遊」の生活をしていますが、その「半労」の部分、中国での「省エネルギー事業」のお手伝をしているのですが、その関係で中国によく来ますし、ここ数年間中国のいろいろの人(そのごく一部ですが)に接しています。オリンピックが近づいてきたためか中国に関するいろいろな報道がなされています。しかし、なんとなく違和感を覚えるのです。2005年のときの、反日デモのときもそうでした。デモ当日は上海にいましたが、あのデモは、明らかに管理されて起こされたデモといってもいいデモでしたが、帰国すると、中国全土が反日で燃え上がっているかのような報道。TVの特性でもあるのですが、「木を見て森を見ず」というか、「TVのフレーム内の映像がすべてを代表してしまう」というか、そんな違和感を覚えました。その後も中国についてのいろいろ報道されていますが、「群盲象をなでる」の感を禁じ得ません。もちろんこの私のブログ記事もその範疇であることは十分承知しています。
偽もの・コピー問題、環境問題、食品問題、エネルギー問題、バブル、反日教育問題、マナー問題、少子高齢化・・・・・・などなど。多分報道されていることは、一面的には本当でしょう。ただし、それをみて、すべて中国人の国民性や特質と決め付けてしまうことは少し危険だと思います。「コピー問題」をとって、一例を挙げてみましょう。確かにコピーは悪いし、知財権に対する中国人の意識はまったく希薄、日本・欧米の企業は、コピー商品により多大な損害を受け、対策に頭を痛めています。その一方、大使館が集まっている地域に程近いところに、北京に詳しい人なら誰でも知っている、秀○市場という服飾商品を中心とする大きなマーケットがあります。ここには、中国製品は当然売っているのですが、バッグ、靴、時計、衣類・・・・など、欧米ブランド商品のコピーを堂々と売っていることでも有名な市場です。値引き交渉次第では1/10、1/20の安さで買えるとあって駐在員、日本人・欧米人観光客で大変賑わっています。しかし、その値段でも一般の中国人には二の足を踏む値段なのです。すなわち、服飾品に限っていえば、ブランド品のコピー商品のニーズを創り出しているのは欧米人・日本人です。それが世界中にばら撒かれているのでしょう、日本でも、ヨーロッパでも売っています。
陳腐かもしれませんが、先ほどのような問題について、中国を理解するうえで、国の大きさ、広さ、人口の多いさという基本的な問題と、文化大革命後の人材不足、急速な経済成長発展と資本主義経済の未熟さのアンバランス、などを総合的に視野に入れておく必要があります。
また、中国で会う企業関係者の若さにびっくりした方も多いのではないかと思います。私の経験ですが、国家指導者=50歳代、企業トップ=40歳代、企業の実質リーダー=30歳代、実務者=30~20歳代 という実感です。これも文化大革命後の人材枯渇を急速に補填していった結果だということを聴いたことがあります。私にも、顔が童顔のため、10代にしか見えない女性が、ある組織のNo2で、博士の肩書きを持っていたので大変びっくりした経験があります。
また、最近は背広・ネクタイ姿も見かけますが、企業トップから一般社員までセーター、ジャンパー、ポロシャツといった服装が一般的で、びっくりします。これも人民服の名残で、服装によって貴賎、上下が出ないようにしている知恵だと聴いたことがあります。
よくも悪くも、中国抜きにして世界も日本の経済も成り立たない時代になったし、中国もいま以上に国力をあげようとするなら、世界と調和していかなくてはならないことは中国が一番よく知っています。
それにしても、故宮(紫禁城)を観るたびに思うのですが、この国を治めるのに、漢民族を城外に追い出し、あれだけの巨大空間、人力、財力、時間、技術を費やした建物によって、守るべき「国」、「権力」とは一体何であったのかと思う。少なくとも国民ではなかったことは確かである。そして今、あの「鳥の巣」は現代の紫禁城たりえるのだろうか?
初の紫禁城の内部ロケにより、清朝の崩壊前夜を描いた名作、ベルナルド・ベルトルッチ監督「ラストエンペラー」によって紫禁城の生活を知ることが出来る。中国清朝最後の皇帝であり、その後満州国皇帝として時の侵略国・日本の傀儡ともなった溥儀の数奇な運命を描いた超大作。音楽はアカデミー賞受賞の教授こと、坂本龍一。
ラストエンペラー
/ 松竹ホームビデオ
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20世紀前半、中国の清王朝から中華民国へと移り行く時代の流れの中で育った宋家の三姉妹、靄齢、慶齢、美齢。長女、靄齢は財閥の御曹司・孔祥熙へ、次女、慶齢は後の国家主席・孫文へ、そして三女、美齢は国民党の指導者・蒋介石のもとへそれぞれ嫁いでいく。そして孫文の死後、夫の革命の遺志を継ぐ次女は三女と対立するようになり、姉妹のきずなに溝が生じていく……。
女性監督メイベル・チャン監督が、辛亥革命から新中国成立までの激動40年間。近代中国史の中で力強く生き続けた実在の三姉妹の愛と葛藤を捉えた感動の大河ドラマである。音楽は、喜多郎。
宋家の三姉妹
/ ポニーキャニオン
ISBN : B0000A4HTL
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所詮、人類の歴史は、我々の先祖であるかもしれない「北京原人」の時代から、同じことの繰り返しで、変わらないのかもしれない。ベーシストであるチャーリー・ミンガスの56年発表の代表作で、ジャズの名盤。タイトル曲でもある1曲目の直立猿人が、「ヒト」への進化から滅亡までを4パートに分けて描いた組曲になっている。聴いたのは大学時代。その強烈な音楽にただただ圧倒された記憶。
直立猿人
チャールズ・ミンガス / / イーストウエスト・ジャパン
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