かって、JAZZプレイヤーといえば、「チェット・ベイカー」、「リー・モーガン」などの例を挙げるまでもなく、酒・麻薬・賭博と退廃的芸術家の代名詞であり、総じて「早死に」というのが相場であったように思う。しかしながら、ジャズ・ピアニストに「ご長寿ピアニスト」と呼べるピアニストが何人かいます。勿論、彼(彼女)らも、ストイックな生き方ばかりをしてきたわけではないだろうが、ご長寿でいまだ現役、我々を楽しませてくれていることはご同慶の至りである。
まず、「ハンク・ジョーンズ/Hank Jones」。1918年7月ミシシッピ州の生まれというから、今年御年90歳(ひえ~~~~っ)を迎える。「生ける屍」、失礼!歩くジャズの歴史・生き証人みたいなスイング時代から活躍するミュージシャンである。「ハンク・ジョーンズ」、「ザ・グレイト・ジャズ・トリオ」で検索すると、あわせて400件を優に超えるアルバムがリストアップされるから驚き。まさに「ジャズの歴史・生き証人」である。
ドラムのエルヴィン・ジョーンズ、トランペットのサド・ジョーンズは実弟であるが、いずれも兄より早く、すでに他界している。
拙稿、「ハンク・ジョーンズの思い出~初めてのニューヨーク」で記した様に、ハンク・ジョーンズには忘れられない想い出がある。初めてニューヨークを訪れたとき、JAZZ CLUB「Fat Tuesday」でみたハンクのエピソードである。客席にいたJAZZを志す学生に、「ステージへあがっておいで。さあ、一緒にやろう。」と声をかけ、セッションを始めたのである。そのときの彼の学生を見るまなざしと演奏に暖かいものが感じられました。そんな彼の人柄があまたのミュージシャンとの共演・コラボをしている理由でもあり、ケイコ・リー、安則真実、ガンバリーニ、ティファニーなど孫のような新人女性シンガーとの共演が多いのも、その人柄のゆえんであろう。
「ハンク・ジョーンズ・The Great Jazz Trio」。結成30年を超える超ベテランJAZZトリオによる、ニューヨークのにおいプンプンのアルバム「ザ・クラブ・ニューヨーカー」。
結成当時の、ロン・カーター(B)、トニー・ウィリアムス(Ds)という超豪華メンバーから、メンバーは結構入れ替わっているが、スイング感、グルーヴ感、都会感は少しも変わっていない。本アルバムは、Bassはエディ・ゴメス、ドラムスにジミー・コブ、ゲストとしてヴァイオリンにルイス・エリーを加えたGJTの異色作で、ガーシュインの曲を中心に、心のこもったプレイを聴かせてくれる。1983年5月NY録音。
名盤JAZZ25選~紙ジャケ2300 ザ・クラブ・ニューヨーカー(紙ジャケット仕様)
ザ・グレイト・ジャズ・トリオ ルイス・エリー / コロムビアミュージックエンタテインメント
ISBN : B000BU6OQI
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シンプルなピアノトリオによるスタンダード集。冬の夜長にお酒でも呑みながら過ごすのにぴったりのスイング感あふれる好アルバム。2004年録音で、この時のメンバーは、Bassはジョン・パティトウッチ、ドラムはジャック・ディジョネット。
ス・ワンダフル
ザ・グレイト・ジャズ・トリオ / Village Records
ISBN : B000666WT6
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「LOVE FOR SALE -THE GREAT JAZZ TRIO」
女性JAZZピアニスト、「バーバラ・キャロル/Barbara Carroll」。現在御年80歳。何回となくこのCDを聴いたが、そんな歳や老いを露とも感じさせない。しかし、切れのいいタッチや音色に彼女の重ねてきた年輪が醸し出す「円熟」が自然に滲み出す。このアルバムはそんな彼女が自然体で演奏しているスタンダード曲のアルバムであるが、「Fly Me To The Moon」、「As Long As I Live」の2曲だけ(この2曲という按配がまたいいのだが)、弾き語りが入っている。これが実にいい。とても80歳とは思えない艶と想いが込められた、これこそ「粋」といえる歌い方である。ジャケットの写真を見てもとても素敵な女性。絶妙のサポートは、Bassは名手ジェイ・レンハート、Drumsはジョー・コクーゾ。
センチメンタル・ムード
バーバラ・キャロル・トリオ / / ヴィーナス・レコード
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弾き語りも何とも言えない味 ・・・。
「Barbara Carroll - Old Friends, Live at the Algonquin Hotel」
さらなるご長寿、ご健康をお祈りいたします・・・・・・・。