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大屋地爵士のJAZZYな生活

映画の想像力(2) ~最近のばば映画はおもしろい~

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前回のシネマな生活では、ことしのじじ映画は、現実に映画の想像力がついていけなくて、面白くないと評したが、それに反して、ばば映画のいくつかは本当に面白い。

長崎俊一監督「西の魔女が死んだ」。
梨木香歩のロングセラー小説を映画化した、祖母と孫のひと夏の暮らしを描いたファンタジー。まずキャスティングがいい。西の魔女ことイギリス人のおばあちゃんを大女優「シャーリー・マクレーン」の娘の「サチ・パーカー」が演じ、ともに過ごす少女「まい」に新人の「高橋真悠」が好演。そして、初めて演技を見たが、しんの強いまいの母親を好演した「りょう」にも強い印象を受けた。

中学生になったばかりで登校拒否になり、母親の言葉にも傷ついた「まい」は、「西の魔女」とよばれる日本に長年住むイギリス人のおばあちゃんの住む田舎で一夏を過ごすことになる。、まいは、おばあちゃんから魔女への修行を課せられ、何でも自分で決めるということを教わる。自然と共生しながらゆったりと暮らしてきて、まもなく生を終えていく老女が孫娘に伝えたかった「魔女になるための修行」とは、早起き、洗濯、庭仕事、料理・・・・人間として生きていくための日常的な営みをきちんと繰り返し、こなしていくという事であった。そのなかから自分を取り戻し、再生していく「まい」・・・。これは家族の再生の映画である。

生きていくための知恵を「魔女修行」という形で孫に伝授する「サチ・パーカー」が本当にいい。1956年生まれの51歳。シャーリー・マクレーンと映画製作者スティーヴ・パーカー氏との間に生まれ、12歳まで日本で暮らしたという。この美しい完璧な日本語をはなす「サチ・パーカー」を得た時点でこの映画の成功は半分が決まったのではないかと思える。最初、シャーリーの方に出演のオファーがあったが、スケジュールの都合で娘のサチがチャレンジしたという。初めての日本映画出演、しかも実年齢より20歳は上の老け役。しかし「孫娘のすべてを受け入れ、ごく自然に導いていく。親とは違う余裕のある接し方。私と祖母のことを考えながら、この映画のせりふに教えられながら役に没頭した」と語るサチ。

西の魔女が死んだ (新潮文庫)
梨木 香歩 / / 新潮社
ISBN : 4101253323
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ラストに流れる主題歌はピュアな高音がどこまでも伸びる「手嶌 葵(てしま あおい)」の「虹」。


手嶌葵 / / ヤマハミュージックコミュニケーションズ
ISBN : B0017LF6L4
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二つ目は、ラホス・コルタイ監督「いつか眠りにつく前に(原題;Evening)」
主演は「クリア・デインズ」。そして、「ヴァネッサ・レッドグレイヴ」と「メリル・ストリープ」の2大アカデミー賞女優が見事な競演をみせる。

重病で人生の最期を迎える母親「アン」を枕元で見守る二人の娘。現在と過去が混在するもろろうとした意識の中でアンは、娘たちの知らない男性の名前「ハリス」、「バディ」を何度も口にする。漂うアンの記憶は、40年前、1950年代のある週末の出来事へと遡っていく…。 歌手になる夢を持った若きアンは親友ライラの結婚式の介添えをつとめるために、ロングアイランドにある海辺の別荘に向かう。そこで出会う運命の恋とそれがもたらす悲劇に遭遇する。

結ばれなかった恋、仕事を抱えて十分に注げなかった子供への愛情、かなえられなかった有名歌手になる夢、後悔の数々・・・・。「人生には過ちなんてない。過ちだったと思っていても、それはいつか人生の糧となる。」 二人の娘に自分の人生を死の床にありながら、うつつのなかに過去をたどることによって、自信と希望をもって生きていくこと教えていく母とその娘たちとの心の交流を描いた感動作。

ほとんど寝たきりの「ヴァネッサ・レッドグレイヴ」の演技。「つぐない」の最後に出てくるその存在感にも感心したが、この演技も素晴らしい。そして「メリル・ストリープ」が最後の「決め」のシーンにライラとして登場するが、彼女の存在感も決してヴァネッサに劣らない。
アンの長女のコニー役にはヴァネッサの実娘の「ナターシャ・リチャードソン」が、若い頃のライラの役はこれまたメリルの娘の「メイミー・ガマー」が演じていることも話題を呼んだ作品。 

いつか眠りにつく前に
クレア・デインズ / / ショウゲート
ISBN : B0019W79R0
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アンが親友ライラの結婚式で歌う歌は「Time After Time」。かって「マイルス・デヴィス」が取り上げて話題となった、「シンディ・ローパー」のものとは同名異曲の歌で、この映画の背景とほぼ同時代のころに「シナトラ」が歌ってヒットしたスタンダードである。「何度でも何度でも自分に言い聞かせる。あなたを愛することが出来て私は幸せ・・・・」という結婚式にふさわしい曲。

恋多き女「カーリー・サイモン」の「トーチ」に続く2番目のスタンダード・アルバム、「マイロマンス」中で歌われ、感動的な熱唱で終わるラストの曲が「Time After Time」。

My Romance
Carly Simon / / Arista
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「Carly Simon- Time After Time」

          

二つの映画。母親から娘への「人間としての生き方」のさりげない伝授がテーマ。母親あるいは祖母から娘、孫にという立場の違いはあるが、団塊の世代の父親から息子に伝えられるものは果たして何があるのだろうかと凄惨なニュースを前に立ちすくむ・・・・・。
by knakano0311 | 2008-08-05 00:26 | シネマな生活 | Trackback | Comments(0)
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