この夏に帰省したおり、このブログの読者でもある友人の山荘(ログハウス)を訪れる機会があり、友人の要請で私が持参したCDでのJAZZ談議が始まった。彼は山荘に立派なオーディオ装置を持っており、山の中の一軒家なので大きな音量で鳴らしても苦情が出ない。多分あんな大きな音量でJAZZを聴いたのは、かなり昔のJAZZ喫茶以来かもしれない。ちまちまとしたミニコンポや、ヘッドホンで聴く我が音楽ライフとは違って、久し振りにスカッとしたし、あんな音量で楽しめたらいいなと思ったりもした。そしてやっぱり、アーティストや再生装置から流れる音楽そのものは勿論のこと、友人、酒、静けさ、語らい、闇、雨の音、雷鳴、時間・・・・など、音楽以外の空間を構成する色々な要素が、音楽を楽しむ上でも重要なポイントであることをあらためて思った。
さて、CDショップで一枚の女性シンガーのCDを見つけたところから話を始めよう。
かってこのブログで、「
第10回 アジアの癒し姫たち 」というタイトルで、日本ではあまり知られてはいない女性歌手であるが、アジア系のもつ独特のまったりとした雰囲気によって、とても癒される歌手たちがいる・・・と絶賛したことがある。シンガポール出身の「Jacintha」(ジャシンサ或いはジャシンタと発音する)と、フィリピン出身で香港を音楽活動の地とする「Jheena Lodwick(ジーナ・ロドウィック)」である。ジーナのほうは香港で活躍しているので、中国のCDショップでアルバムがおかれているのを何回も見たが、ジャシンサは立て続けに何枚かのアルバムがリリースされたあと、マイナーレーベルというせいもあるのだろうか、ショップでは見かけることはなかった。そのジャシンサのCDを久し振りに見つけたのだ。
ジャシンサは、癒しの美声であることのほかに、リリースされたアルバムは、多分すべて「SACD(Super Audio Compact Disc)」とのハイブリッド仕様であることでも注目されてる。
「SACD(Super Audio CD」とは、CDと同じサイズの光ディスクに、オーディオ・データをCD以上の高音質で記録したものである。1999年にソニーとフィリップスにより、従来のCD規格の音に満足できないハイエンドユーザーを対象とした高音質追求音楽ファン御用達のフォーマット(サンプリング周波数は2822.4kHzと一般CDの約70倍)として規格化された。(原理はかなり技術的な説明になるので省略するが、興味ある方はネットなどで調べてください。)
発売されているソフトは、様々なジャンルあるが、最近はクラシック音楽・ジャズなどが発売されるソフトの大部分を占め、2008年6月現在で
約5300タイトル が発売されている。SACD仕様で再生するには専用機が必要であるが、DISCがSACD/CDの両方の仕様で記録されているハイブリッドタイプの場合は、普通のCDデッキで再生できる。
そして「我が癒し姫ジャシンサ」のハイブリッドCDは、SACD仕様のCDを多くリリースしている
「Groove Note Records」 から発売されている。
いろいろなカテゴリーの音楽ファンのなかに「オーディオ・ファン」と呼ばれる高音質を追求するハード系指向の音楽ファンがいる。百万円いや一千万円の大金をオーディオ・システムにかけ、なかには専用のリスニング・ルームを作ってまでも高音質を追求する人達である。いままでは「音楽は想像力と感受性が8割、ハードよりはソフトに金を」と、ずっと私は思っていたので、そんな大金をシステムかける心理が分からなかったのであるが、おなじCDを聴いたのに、私の装置で聴いたのとはまったく違った音世界が拡がったのを友人の山荘で体験したことをきっかけに、ちょっと見方が変わったのである。高級オーディオから得られる音世界とは何なのか少し興味をそそられたのである。
あるオーディオ・ファンによると、セットで30~50万円クラス以上のスピーカーで聴くと到底同じCDとは思えないほどのピュアーな音が得られるそうで、さらに、このピュアーなサウンドが脳内にアルファ波を満たし、そのアルファ波が「βーエンドルフィン」という快楽ホルモンを脳内に放出させ、「非常に強烈な幸福感と癒し感」がえられ、お気に入りの音楽を聴くだけで若々しい病気知らずの人生を送れるというのです。この「ミュージック・セラピー」というらしいが、効果、真偽のほどは分からないが、音楽には人を楽しくさせたり、元気付けたり、感動させたりするある種の力があることだけは確かだとおもう。
このようなオーディオ・ファンたちにモテモテのシンガーが、「ジャシンサ」なのだ。久し振りに再会したジャシンサをNETで調べてみて、彼女のファンにオーディオファンが多いことに驚いた。いわく、「・・・超官能的な歌声と豊かな声量、そして群を抜く音質のハイレベルさ・・・」、いわく「・・・全身の毛がゆっくりと逆立ち・・・」という絶賛振り。ジャシンサはオーディオファンにとって、オーディオ機器の実力を測るリファレンスCDとして重用されるほどの、まさにSACD界の「夢見る癒し姫」であったのだ。
再会のCDは、「Jacintha Goes to Hollywood」。スタンダードでもあるよく知られた映画主題歌 「Alfie」、 「Windmills Of Your Mind」、「 A Man And A Woman」などを歌う。
Jacintha Goes to Hollywood
Jacintha / / Groove Note
ISBN : B000TP5TAC
スコア選択:
「a man and a woman by Jacintha」
VIDEO
SACDでなく、普通のCDデッキで聴いても、かなりの高音質である今までのアルバムから、いくつかおすすめをあげると、まず「Ben Webster」に捧げた「Here's to Ben」。「The Look Of Love」、「Stardust」、「Tenderly」などのスタンダード曲が続く。とりわけ「Danny Boy」は鳥肌が立つほどの凛とした歌唱力に圧倒される。アルバム「Rush Life」、「Autumn Leaves~The Songs Of Johnny Mercer」もやはり同様のおすすめ。スタンダード曲満載のアルバムで女性ボーカルファンは、普通の再生装置でも十分に癒しの時間を過ごせるであろう。
Here's to Ben: A Vocal Tribute to Ben Webster
Jacintha / Groove Note
スコア選択:
Autumn Leaves: The Songs of Johnny Mercer
Jacintha / Groove Note
ISBN : B000040OJD
スコア選択:
これらのアルバムを再聴してみて、SACDデッキと高音質のオーディオ・システムで、彼女の歌を一度聴いてみたいと思ったが、システムにかける大金と家のつくりから考え直さなくてはということをおもうと、やはり夢のまた夢で終わりそう・・・・・。
もし、あなたが、SACDの互換機、高級オーディオをもっているリッチなオーディオ・ファンであれば、最近SACD仕様のみのジャシンサ・ベスト盤が発売されたようであるので、そちらで楽しむことも出来ますよ。
Best of Jacintha
Jacintha / / Groove Note Records
ISBN : B0017SZ3B0
スコア選択:
普通のCDデッキで聴けるもう一人の癒し姫、「Jheena Lodwick」の「All My Loving」に続く2作目「Vol. 2: Feelings」もおすすめしておきましょう。
Vol. 2: Feelings
Jheena Lodwick / / JVC
ISBN : B00068CVN0
スコア選択:
「Feelings-Jheena Lodwick」
VIDEO