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大屋地爵士のJAZZYな生活

「薪能・おもろ能」 幽玄の街興し・・・

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川西市HPより 昨年の演目「半蔀(はしとみ)」

わが住まい、川西市の同じ市内のすぐ近くの住宅街の公園で、毎年この時期に市民主催の「薪能」が開かれます。名づけて「おもろ能」。観覧希望者が多く、観覧募集には毎年、定員(800人)をはるかに超える応募があるそうだが、運良く抽選にあたり鑑賞してきました。

今年は数えて17回目。人間国宝・重要無形文化財の金春流宗家分家・「金春欣三(こんぱるきんぞう)」さん(1925年生まれ、83歳)が、平成4年(1992年)の初回からずっと欠かさずに出演していることでも知られ、「おもろ能」は地元には欠かせない行事になっています。
川西は清和源氏発祥の地。その地にふさわしい「土蜘蛛(ぐも)」「船弁慶」といった源氏を題材にした能楽もあり、街おこしの一環として、関西淡路大地震も乗り越え、17年間も中断せずに地域の独自文化として定着させてきた関係者の努力には敬服いたします。


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能舞台は公園内にある石舞台「おもろ座」。世界的に有名な彫刻家、流政之さん(1923年生まれ)の作品。白御影石でできた一辺が5~6メートルもある正方形の床を二つ、互い違いに重ねた星形の石舞台。周囲を高さ2.7メートルの石垣が取り囲んだその作品には「おもろ座」の名前がついています。 完成は1991年。流さんは「鑑賞するだけではなく、ここに人が集うことを意図して作った」といい、こけら落としには能楽を考えていたそうだ。その思いを受け止め、関係者が奔走し、金春さんに無理を承知で出演を依頼し、やっとの思いで、手作りの舞台が整い、かがり火の中、荘厳な薪能が初めて上演されたのは1992年秋であった。流氏制作の石舞台と金春流・能楽という二つの芸術の融合が、見る人を魅了し、人気の行事として地域に定着したのだ。

10月4日、山の中腹に開かれ、周りを豊かな自然に囲まれた公園内の石舞台「おもろ座」で、今年の「川西おもろ能」が開かれました。開演は午後6時。演目は「狂言・柿山伏」、「仕舞・羽衣」、そして「そのとき義経少しも騒がず・・・・」という名文句で知られる「能・船弁慶」。
能を観るのは確か2回目であるが、「柿山伏」のユーモアや笑いは十分理解できたし、「船弁慶」にしても、謡の部分は分からなかったがせりふは十分理解できた。
それにしても、「シテ」を演ずる金春欣三翁、83歳。その乱れも揺らぎもない見事な所作と姿勢、発声。素人の私が観ても感嘆する見事な芸であった。

夕闇に沈んでゆく山の稜線を借景に、あかあかとしたかがり火とスポット・ライトに浮かび上がる幽玄の世界。能の世界を楽しんだ秋の宵の一時であった。


対極にあると思われている能とジャズを近づけるような試みのイベントも各地で行われているようだ。千葉県市川市でも、中山薪能が行われた能舞台をステージにして、「アキコ・グレース」のピアノ・トリオが演奏を行ったそうだ。大本山中山法華経寺で行われた「能舞台ジャズ&クラシックの夕べ」。このような試みが多く行われることで、とっつきにくいアートの代表ともいえる「JAZZ」、「能」への親しみが増せば、これにこしたことはない。

「アキコ・グレース」。バークリー音楽院を卒業し、上原ひろみと並んで人気を二分し、ニューヨークを舞台に活躍する若手JAZZピアニスト。彼女の「和」をテーマにチャレンジしたアルバムが、「Tokyo」。矢野顕子の「春咲小紅」やThe Boomの「島唄」をカバー、さらには童謡や藤原道山の尺八をフューチャーした「おぼろ月夜」など。さらに黒澤明監督にちなんだ曲や東京をイメージした曲などを演奏し、たしかに「和」というコンセプトが横溢しているが、果たしてJAZZとして成功しているかどうかファンの間でも評価が分かれている。

秋吉敏子、宮澤昭ら先達が、「和」+JAZZに挑戦し高い評価を得ている例はあるものの、JAZZで和を演出するのは、意外と難しいのかも ・・・・・・ 。

彼女を現在の彼女たらしめた今までの人生の歩み、影響を受けた音楽、映画、ジャケットにも記されている祖母への敬慕。ジャズというジャンルの枠を取り払ってみれば、彼女の私的なエモーションを凝縮した、いわばトリビュート・アルバムとみることができ、十分評価もできると思う。

Tokyo
Akiko Grace / / コロムビアミュージックエンタテインメント
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「Akiko Grace / Dozan Fujiwara - おぼろ月夜」

          
by knakano0311 | 2008-10-05 21:47 | 地域の中で・・・ | Comments(6)
Commented by carnival at 2008-10-05 22:43
今日はじめてブログを拝見しました。
私自身JAZZの事はあまりわからないのですが、素的な音楽をたくさん紹介してくださいね。

アジアの癒し系は早速手にいれて見たいです。
香菜の香りがして来そうで楽しみです。
Commented by knakano0311 at 2008-10-05 23:32
carnivalさんへ  
生活の中でBGMとしてJAZZを中心に聞いていますがあまりジャンルにはこだわっていません。私が出会ったいい音楽が参考になればと思っています。これからもよろしく・・・」。
Commented by うりずん at 2008-10-08 23:55
ネット検索中偶然こちらにたどり着き、興味深くブログを拝見させて頂きました。
小生も先日『おくりびと』を観ました。「死」に焦点を当てる事で「生」を描き出すのはよくある手法だと思いつつも最後まで観入ってしまいました。
今年の日本映画ベスト・ワンは『歩いても 歩いても』と迷うところであります。
音楽を聞くには絶好の季節になりましたね。今もマイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」を聞きながら書き込みをしています。
昔はROCK少年、50を過ぎてからはJAZZっぽい音楽が心地良く感じるようになりました。
芸術の秋、今週末は「佐伯祐三展」、今月末は「正倉院展」に出かけてみようと思っています。
JAZZYな生活の中の素敵な情報を楽しみにしています。
Commented by knakano0311 at 2008-10-09 09:11
うりずんさん
佐伯祐三展友人からも薦められている展覧会。ぜひ行きたいと思っています。JAZZが多いですが、ジャンルにあまりこだわらず生活の傍らに好きな音楽があればいいという思いで書いています。これからもよろしく。
Commented by うりずん at 2008-10-09 22:49
早々のレス、有難うございます。
今夜はノラ・ジョーンズのデビュー・アルバムを聞きながら書き込みをしています。
小生もJAZZは大好きですが、マニアックなJAZZファンではなくジャンルにもこだわりはありません。
音楽は生活の一部であり潤いであると思っています。好みの基準は美味しく酒が飲めるかどうかかな・・・(笑)
近頃は新譜を買う事も少なくなり、昔のアルバムを整理がてら引きずり出して聞く機会が多くなりました。最近のお気に入りトム・ウェイツ『クロージング・タイム&土曜日の夜』、フィービー・スノウのデビュー・アルバム、ウィリー・ネルソン『スターダスト』、カーリー・サイモン『トーチ』、ナタリー・コール『アンフォゲッタブル』等を楽しんでいます。
佐伯祐三展は今月の19日までなので急がれた方が良いと思いますが、
平日に行かれる事をお勧めします。
では、これからもよろしくお願い致します。
Commented by knakano0311 at 2008-10-10 00:41
うりずんさん
ウェイツ、ネルソン、カーリー、ナタリーのあげられたアルバムは私もよく聴くアルバムでブログにもとり上げたものもあります。佐伯祐三展、速攻本日行ってきました。30歳の若さで他界という惜しさもありますが、落ち着いた色調の中にもパリの雰囲気がよく出ている彼の絵に強く感じるものがありました。
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