人気ブログランキング | 話題のタグを見る

大屋地爵士のJAZZYな生活

活きのいいのが取り柄・・・  ~ビ・バップの新しき系譜~

最近、このブログは、ピアノを中心としたヨーロッパ・ジャズについて書きついできた。いくらボージョレ・ヌーヴォーの季節とはいえ、甘いワインばかり続くと、読者もいささか食傷気味になったのでは無いだろうか。そこで、内向きになった精神に活を入れるというか、JAZZが本来的にもっているポジティブな面、お祭り的な明るさを楽しむために、たまったストレスをぶっ飛ばすために、かってMJQ(マンハッタン・ジャズ・クインテット)以来、最近あまり新しいスターが出ていないが、現代に生きる「痛快ハード・バップ・グループ」を紹介したいとおもう。
というのも、私は、週一のペースでトレーニング・ジムへ通っているが、そのときのヘッドホンで流すBGMは、いくらヨーロッパ・ジャズが好きな私といえども、ラテン・ジャズ、フュージョン、ハードバップ、ファンクなどホーン・セクションが吼えまくるバンドを聴くのに限ると思っています。筋トレやウォーキングをしながら、「北欧の詩情が・・・」、「哀愁きわまるピアノの音色が・・・」といっても、これはやはり気分が高揚せず、筋違いや肉離れを起こしかねません。

活きのいいのが取り柄・・・  ~ビ・バップの新しき系譜~_b0102572_2252535.jpg

「ハイ・ファイブ/High Five」。名門ブルーノートが満を持して放つ、イタリア発の新世代JAZZ集団。イタリアを代表する二人のホーン奏者、ファブリッツィオ・ボッソ(トランペット、フリューゲル・ホーン)とダニエル・スカナピエコ(テナー・サックス)が率いる5人組。2002年にハイ・ファイブ・クインテットを結成以来、瑞々しくキレのある演奏で瞬く間に評判になり、今回ブルーノートからのメジャーデビューとなった。ファブリッツィオ・ボッソについてはこのブログでも一度取り上げたことがありますね。(「いにしえのトランペッター ~夏が来れば思い出す・・~」参照)彼がリーダーというからには、きっと期待できるというもの・・・。最高のプレイヤー二人が繰り広げる2管のアンサンブルによる哀愁のメロディと熱いソロ。まさに、胸のすくような痛快な演奏である。
最近は少なくなったとはいえ、このグループは、まちがいなくビバップの系譜に連なるグループといえるだろう。サポートする他のメンバーは、ルカ・マヌッツァ(piano)、ピエトロ・チャンカリーニ(double bass)、ロレンツォ・ツゥッチ(drum)の一騎当千のつわもの達。これもまたあたらしいヨーロッパ・ジャズの幕開けか・・・。

ファイヴ・フォー・ファン(6ヵ月限定スペシャル・プライス)
ハイ・ファイヴ / / EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
ISBN : B001G6RBN6
スコア選択:

注目のきっかけとなったのが「Jazz Desire」。ほとばしる若さ、才気がまぶしいくらい。

Jazz Desire
ハイ・ファイブ・クインテット / / stride
ISBN : B000BV7WLI
スコア選択:

「Five For Fun」

          


「One For All/ワン・フォー・オール」。時によってメンバーが入れ替わるが、エリック・アレキサンダー率いる、3管フロント・バンド。まさに「ビ・バップ」を継ぐ正統派コンボで、現代版「ジャズ・メッセンジャーズ」といっていい。最初のおすすめアルバムは「危険な関係のブルース/No Probrem」。
アルバム冒頭の曲は「Our Father Who Was Art Blakey」で、「アート・ブレーキー」へのトリビュート・アルバムであることがすぐ察せられる。エリック・アレキサンダー(ts)、ジム・ロトンディ(tp)、スティーブ・デイヴィス(tb)のフロント三管編成で、「ジャズ・メッセンジャーズ」の十八番、「危険な関係のブルース」、「モーニン」、「ウィスパー・ノット」、「Ugetsu」などの我々団塊の世代ジャズ・ファンが心のどこかで待ち望んでいたプレイが続く。2003年に録音されたアルバムなのに、我々が若かった時代、モダン・ジャズ黄金期のなつかしい香りが全編に横溢する。
デヴィッド・ヘイゼルタイン(p)、レイ・ヂラモンド(b)、ジョー・ファンズワース(ds)を加えての6人によるセクステット「One For All」のヴィーナス・レコード第二弾。

危険な関係のブルース
ワン・フォー・オール / / ヴィーナス・レコード
スコア選択:


「ワン・フォー・オール」の企画は、オールド・ジャズ・ファンの心をくすぐることにかけては、素晴らしい企画力を発揮する「ヴィーナス・レコード」の発案。80年代に大ヒットし、今でも人気の高い「マンハッタン・ジャズ・クインテット」の2番煎じのような気がしないわけでもないが、痛快さ、快調さこの上ない見事なプレイが、そんなわだかまりを一気に吹っ飛ばしてくれる「キラー・ジョー」。三管は同じく、エリック・アレキサンダー(ts)、ジム・ロトンディ(tp)、スティーブ・デイヴィス(tb)の3人。サポートはDavid Hazeltine(p) 、ベースは代わってDavid Williams(b)、 Joe Farnsworth(ds)の3人。

ベニー・ゴルソン作の名曲、「キラー・ジョー」をはじめ、「クリフォードの思い出」、その昔の名曲のストレート・アヘッドなプレイは、まさに現代版「ジャズ・メッセンジャーズ」の異名に恥じない。

キラー・ジョー
ワン・フォー・オール / / ヴィーナス・レコード
スコア選択:

「One For All - Manteca」

          
by knakano0311 | 2008-11-24 01:17 | おやじのジャズ | Comments(0)
<< USA・JAZZY紀行 (10... 追悼 阿部克自さん >>