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大屋地爵士のJAZZYな生活

2007年 06月 29日 ( 1 )

梅雨の一日に   ~環境音楽としてのクラシックJAZZ~  

うっとうしい梅雨の一日。スカッと爽やかになりたいのであれば、「バロックJAZZ」、「クラシックJAZZ」を聴くのもオススメ。また、「クラシックがいい。JAZZなんて、分からん」なんて方にも、JAZZ世界への入り口として、一度聴いてみてはいかがでしょうか。

「バロック・JAZZ」。聞いた当時は不思議な言葉であった。1960年代に、スキャットでバッハを演奏したアカペラ・コーラス・グループ「スイングル・シンガーズ」の「Jazz Sebastian Bach 」。かたや、「Play Bach」のタイトルで、バッハの名曲をピアノ・トリオ・ジャズで演奏、バロックの旋律をモチーフにして、鮮烈なモダン・ジャズを創り上げ、世界的なセンセーションを起こした先駆的ピアニスト、「ジャック・ルーシェ」。この2組のアーティストを聴いたときの鮮烈な印象は今でも忘れない。バロック音楽とJAZZの相性のよさ、ヨーロッパのJAZZを初めて知った。今から言えば、「クロスオーバー」か。以後、彼らの後に続いて、クラシックを取り上げるJAZZアーティストは今でも多い。また、ルーシェらもバッハにとどまらず、いろいろなクラシックの作曲家に取り組んでいる。今回は、ほんの「さわり」であるが、わたしのオススメのクラシックJAZZ・ミニ・リストを作ってみた。

まず、「ジャック・ルーシェ」。この人を取り上げないわけにはいかない。1934年生まれ。パリ国立音楽院をトップの成績で卒業後、50年代の終わりに「Play Bach Trio」を結成したが、その後、この「Play Bach」シリーズで15年間で600万枚を超えるレコードを売り上げるほどの大成功を収めた。70年代の終わりに、一度演奏活動から引退し、プロヴァンスに引きこもり、作曲活動やレコーディング活動をしていたが、1985年のバッハ生誕300年を期に、再び脚光を浴び、音楽活動を再開することとなった。以後バッハだけでなく、「ヘンデル」、「モーツアルト」、「ラベル」、「サティ」、「ショパン」、「ベートーベン」、「ドビッシー」、「ビバルディ」など精力的にアルバムを送り出している。
何を差し置いても、「Play Bach」であるが、当時、たしか第1集から6集まで出されたが、初期作品よりオススメはデジタル録音版の「デジタル・プレイ・バッハ」。’84年12月に録音したこの作品で、見事にジャズのバッハ弾きのトップ・アーティストとしてカムバックした。初期の「Play Bach」に比べ、より端麗で、JAZZYに洗練されたアルバムになっている。50歳を迎えてリリースしたこのアルバム、まさに「バッハ弾き」の真骨頂が味わえる。

「ドビッシー/月の光」、ソロでショパンのノクターン全曲21番に挑戦した「インプレッションズ・オン・ショパンズ・ノクターンズ 」。甘く華麗だがJAZZYの基本を損ねることはないこれらのアルバムもオススメしたい。

デジタル・プレイ・バッハ
ジャック・ルーシェ / / キングレコード
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月の光
ジャック・ルーシェ / / ユニバーサルクラシック
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インプレッションズ・オン・ショパンズ・ノクターンズ
ジャック・ルーシェ / / ユニバーサルクラシック
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もう一方のバロックJAZZ創始者、「スイングル・シンガ-ズ」の1963年のデビュー・アルバム「ジャズ・セバスチャン・バッハ」。粋なアルバム・タイトル、ジャズのリズムに乗せたスキャットで、ジャズとバッハ、バロック音楽の相性のよさ、ノリのよさに、みんな目からうろこが落ちる思いをしたはず。結成は、今をさかのぼること45年前の1962年。パリで「ダブル・シックス・オブ・パリス/Les Double Six」というジャズコーラスのメンバーだったアメリカ生まれのミュージシャン、ウォード・スウィングルという人が、ジャズのスキャットを用いてバッハの曲を演奏するというアイディアを実現するために結成した8人編成のヴォーカル・グループ。このデビュー・アルバム「Jazz Sebastien Bach」は、バッハのフランス語表記である「Jean Sébastien Bach」をもじったものであることは有名ですね。 バッハ以外にも「モーツアルト」、「ビバルディ」、「パッヘルベル」、「テレマン」などにも取り組んでいるが、なんといってもデビューアルバムのこれがイチオシ。

ジャズ・セバスチャン・バッハ
スウィングル・シンガーズ / ユニバーサルクラシック
ISBN : B00004XQVT
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「禁じられた遊び」、「アランフェス協奏曲」、「アルベニスのタンゴ」などスペインものに出色の出来ばえの「恋するガリア」もおすすめ。

恋するガリア~スキャット・オン・スウィングル・シンガーズ
スウィングル・シンガーズ / / ユニバーサルインターナショナル
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ジャック・ルーシェが「端麗」ならば、辛口、いや「華麗」の代表は「オイゲン・キケロ」。ルーマニア出身のピアニスト。バッハやスカルラッティなどをジャズ化した華麗な作品集「ロココ・ジャズ」。その速弾き、指捌きの華麗さ、優雅に即、魅入られてしまった。
そのほかでは、メンデルスゾーン、パガニーニ、スメタナ、ショパンなどを取り上げた「春の歌」がいい。宮廷のラウンジでBGMを聴きながら過ごす気分。ジャケットはマリー・ローランサンの絵。

ロココ・ジャズ
オイゲン・キケロ ピーター・ウィッテ チャーリー・アントリーニ / ユニバーサルクラシック
ISBN : B00008KKUT
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春の歌 (紙ジャケット仕様)
オイゲン・キケロ / / BMG JAPAN
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この辺が、バロックJAZZとして一世を風靡したアーティストたちであるが、その後もMJQの「ジョン・ルイス」による平均率クラヴィーア曲集「プレリュードとフーガNo1~4」、「ロンカーター/プレイズ・バッハ」などJAZZ界のビッグネームが取り上げた名盤も多い。

この流れは、フュージョンにも押し寄せた。ブラジルの恐るべき鬼才「デオダート」が20代でリリースした映画「2001年宇宙の旅」で有名になった曲「ツァラトゥストラはかく語りき」、タイトル曲と「なき王女のためのパヴァーヌ 」が収録されている「ラプソディー・イン・ブルー」。縦横無尽に駆け巡るベースとパーカッション。強烈なブラジリアンビートにあのおなじみの旋律が、エレキサウンドでソウルフルにかぶる。バロックJAZZとはまったく違うが、これぞクラシック+JAZZ+ロックのクロスオーバーの名盤。

ツァラトゥストラはかく語りき
デオダート レイ・バレット ロン・カーター スタンリー・クラーク ジョン・トロペイ ジェイ・バーリナー マービン・スタン ヒューバート・ロウズ ビリー・コブハム アイアート・モレイラ / キングレコード
ISBN : B00005F7D6
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ラプソディー・イン・ブルー
デオダート / / キングレコード
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フルーティスト、「ヒューバート・ロウズ/春の祭典」。クラシックの名曲をベースに、縦横無尽、奔放に繰り広げられる即興演奏。疾走する「豹」をジャケットにした、CTIのフージョンの名盤のひとつ。フォーレの「パヴァーヌ」、ストラビンスキーの「春の祭典」など。

春の祭典
ヒューバート・ロウズ / / キングレコード
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「ウインダム・ヒル」という一時期、彗星のようにきらめいた「ジョージ・ウィンストン」率いるJAZZ?レーベルがある。JAZZというジャンルで括ってしまうにはいささか抵抗もあるが、音楽界に衝撃的なインパクトを与えた。TSUTAYAなどではヒーリングのコーナーにおいてあるが、これもやや違和感がある。そのレーベルがリリースしたクラシックでもJAZZでもクラシックJAZZでもないクラシック・アルバム。ウィンダム・ヒル・アーティストたちによるJ.S.バッハ作品集。原曲の美しい風合いを損なうことない斬新な編曲が、300年以上も前の作品にまったく新しい息吹をもたらしている。たとえば、リュート組曲ホ短調ブーレはアイリッシュ音楽に編曲されているし、
「アヴェ・マリア」のハーモニカ&ハープによる演奏、「主よ、人の望みの喜びよ」はスティール・ドラム、「ガボット」はマンドリンとストリング・クヮルテットによるなど、クラシックの作法にとらわれず、自由に、しかし崩しすぎない演奏の数々は、まさしくこれも「クロスオーバー」のアルバムと呼ぶにふさわしい。
そのほか、ウィンダムからは、「エリック・サティ・ピアノ作品集(ビル・クィスト)」 、「印象派の世界とウィンダム・ヒル(ウィンダム・ヒル・アーティスト)」がリリースされている。

ウィンダム・ヒル:バッハ作品集
オムニバス / / BMG JAPAN
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ウィンダム・ヒル:モーツァルト作品集
オムニバス / / BMG JAPAN
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現代の、コンテンポラリーなアーティストたちのアルバム。まずは、よくこのブログで紹介する「ヨーロピアン・ジャズ・トリオ」。いろいろなアルバムに残したクラシックの曲を自身が選曲・監修した総集編「ベスト・オブ・クラシックス」。生誕250年を迎えたモーツァルトの曲を含むクラシック20数曲がCD2枚に収録。

ベスト・オブ・クラシックス
ヨーロピアン・ジャズ・トリオ / / エムアンドアイカンパニー
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「レイ・ケネディ・トリオ」の「モーツアルト・イン・ジャズ」。このアルバムは、「トルコ行進曲」、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」など、だれでも一度は耳にした事のある、モーツアルトの名曲をJAZZにしている。とにかく楽しいし、めちゃスイングしているし、そして何よりも優雅である。レイ・ケネディは原曲の持つ、美しいメロディ・ラインを出来るだけ崩さずに、演奏しているように思える。「シンプル、遊び心、優雅」のキーワードに満ちた一枚。

モーツァルト・イン・ジャズ
レイ・ケネディ・トリオ / / カメラータ東京
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「スティーブ・キューン/亡き王女のためのパバーヌ」、「ロマンティック・ジャズ・トリオ/ジャズ・モーツアルト」まだまだオススメのクラシックJAZZはありますが、少々疲れました。

最後は特定の作曲家の特定の曲。スペインの盲目の作曲家ロドリーゴの傑作「アランフェス協奏曲」。この曲はJAZZの世界でも、POPSの世界でも何回となく取り上げられている。JAZZで有名になったのはなんといっても、「マイルス・デイビス/スケッチオブスペイン」。
ギル・エバンスとのコラボにより、正面からスペイン音楽に取りくんだアルバム。16分余りにわたって演奏される「アランフェス協奏曲」は、あまりにも有名。

Sketches of Spain
Miles Davis Gil Evans / Columbia/Legacy
ISBN : B000002AH7
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かってデイブ・ブルーベック・カルテットのメンバーで当代随一のギタリスト、ジム・ホール。
これも、四つに「アランフェス」に取り組んだ名盤。哀愁に満ちたギターの音色がなんともいえない共感をよぶ。

アランフェス協奏曲

ジム・ホール ローランド・ハナ ロン・カーター スティーブ・ガッド チェット・ベイカー ポール・デスモンドキングレコード



「ミシェル・カミロ&トマティート/スペイン」。
ドミニカ共和国出身のジャズ・ピアニスト、ミシェル・カミロとフラメンコ・ギタリスト、トマティートのデュオ・アルバム。タイトル曲はチック・コリアが「アランフェス協奏曲」によってインスパイアされて作曲したというJAZZアーティストが好んで取り上げる人気曲。イントロ部分ににアランフェスが使われるのでも有名。
「響きわたる」という表現がぴったしのトマティーノのギターが凄い。

スペイン
ミシェル・カミロ&トマティート ミシェル・カミロ トマティート / ユニバーサルクラシック
ISBN : B00005FK6Z
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by knakano0311 | 2007-06-29 17:11 | 音楽的生活 | Trackback | Comments(0)