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大屋地爵士のJAZZYな生活

2008年 07月 03日 ( 1 )

男唄に男が惚れて(2)  ~アタウアルパ・ユパンキ インディオの魂を聴く ~

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「アタウアルパ・ユパンキ/Atahualpa Yupanqui」。「遠くから来た物語る人」という意味らしいインカ帝国の皇帝の名を、自らなずけたユパンキを知ったのは高校生のときであった。当時のラジオのリクエスト番組に、「ツクマンの月」をリクエストしたほどであるから相当に好きだったのであろう。1908年1月30日アルゼンチン、ブエノス・アイレス州の田舎町生まれというから今年生誕100周年ということになる。子供の頃家にあった一本のギターにとりこになった彼を、父親はブエノス・アイレスに先生を見つけ、ギターを習わせてくれたという。しかし、父を早くに亡くした彼は独力で歩み始め、農夫、肉体労働者から新聞記者、学校の先生、時にはギタリスト、旅芸人といういろいろな仕事を経験したという。そして、アルゼンチン全土をくまなく放浪した彼の体なかに、各地の人と暮らした生活に根ざすフォルクローレが、音楽地図として蓄えられていった。やがて1929年「インディオの小路」を発表してから、次第にギタリスト兼歌手として認められ、発表の場を、吟遊の世界からレコード録音へと移して行くが、広く認められるまでには相当な苦労をしたという。一時期、作品が反政府的と目され、フランスに亡命したこともある。
広大な草原に生きるインディオの生活、祈り、愛、心の内面をギターにのせて弾き語る。スペインの文化、音楽がやがて、スペインに侵略され、殺された、この地のインディオたちに同化し、独自の文化に育てられていったインディオの音楽「フォルクローレ」が、哀愁のギターの調べに乗せて語られる。

牛車、月、こうろぎ、雨、種蒔き、子守唄、風、祈り、夜、光、雪、太陽・・・・・。このアルバムの中で歌い演奏される音楽世界、その題名にちりばめられた言葉と世界を見ただけで、古き日本、日本の民謡に通づるような懐かしさを覚えてしまう。何枚もアルバムが出ているが、私がもっているのは、レコードからCDに変わったがたった1枚、20曲が収められたCD。この一枚でアルゼンチンの草原に吹きわたる風や、牛を追うインディオの姿が脳裏に鮮やかに浮かぶ、インディオの魂が聴こえる。

アタウアルパ・ユパンキ
アタワルパ・ユパンキ / 東芝EMI
ISBN : B000064TVX
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南アメリカの音楽を代表する最高の巨匠と讃えられ、「歩く大地」と呼ばれたが、1992年5月23日84歳でこの世を去った。

「 ♪ 午後の半ばを過ぎると   私には死がやってくる
      私は影になりたくない   私は光になりたい
        そして、そのままとどまりたい  ・・・・・・・・ ♪」

           (「私は光になりたい」 ダニエル・レゲーラ作詞作曲 訳者不詳)


代表曲「ツクマンの月」 ・・・。 「Atahualpa yupanqui - Luna tucumana」

          
by knakano0311 | 2008-07-03 00:13 | おやじのジャズ | Trackback | Comments(2)