1970年生まれ。4歳の頃からピアノを学しんだニッキは、その後フルートを経て、15歳の時にはもうベースを手にし、シドニーの音楽院でジャズを学んだ後、CDデビュー。1994年に渡米し、N.Y.の有名なジャズ・クラブ、「イリディウム/the Iridium Jazz Club」で、「レス・ポール・トリオ/Les Paul Trio」のベーシストを務めるなど、ウッド・ベースを弾きながら艶やかにシルキー・ヴォイスで歌うスタイルで、注目されたという。デビュー後、日本でもジャケ買いしたくなるほどのそのキュートな愛らしさが人気を集め、多くのファンを獲得している。
ニッキのニュー・アルバムは、「コーヒー・ルンバ/Moliendo Cafe」、「キス・オブ・ファイアー/Kiss of Fire(原曲:エル・チョクロ/El choclo」、「ある恋の物語/Historia De Un Amor」など、タンゴ、マンボ、ルンバなどラテン・ジャズ・サウンドが満載の「Papa loves Mambo/パパはマンボがお好き」(2019)。
かって中学生の頃、洋楽に目覚めたきっかけの一つがラテン音楽であった。ラジオから流れてくる「ナット・キング・コール/Nat King Cole」、「トリオ・ロス・パンチョス/Trío los Panchos」、「ペレス・プラード楽団/Pérez Prado And His Orchestra」、「ザピア・クガート楽団/Xavier Cugat Orchestra」 ・・・などに夢中になったものでした。このアルバム、そんな昔の想いが蘇るような懐かしい曲、14曲。いや、これは楽しい。
さて、今宵のボーカルは、スウェーデンの女性ボーカル、「ジャネット・リンドストレム/Jeanette Lindstrom」。彼女は、ストックホルムから車で数時間北にある街、エステルスンドで生まれ育った。「ルンド大学」で学んだ後、「ストックホルム王立音楽アカデミー」で学位を得たのは1995年、23歳の時で。この年、隣国デンマークのコペンハーゲンで、アルバムを録音し、歌手デビュー。そのデビュー・アルバム、「Another Country」は、「Jazz In Sweden」賞を受賞したという。
今宵の曲は、「Leaf」。アルバムは、「In the Middle of This Riddle ~この謎解きの途中で」(2005)。1曲を除いてすべて彼女の作詞、そしてすべて曲の作曲・アレンジは彼女の手になるものであるという。そんなオリジナル曲で構成されている「JAZZ」と言えるかどうかわからないアルバムではあるが、少しハスキーで、か細くて繊細で、しかも透明感あふれる声にすっかり魅せられてしまう。
【 Leaf 】 by Jeanette Lindstrom
「♪ Lightly,close to me 軽やかに近づいてきて I agree We might have met before 前に会ったことあるよねなんて言う One look apparently ちょっと見ただけで Got to Thee 君が運命の人なんて言う Sad to be on my way 私の人生の途中だけなんて悲しいわ It's too bad you can't stay もう行ってしまうなんて最悪よ Just to talk,take a walk 話しましょうよ、歩きましょうよ Down Robson Robsonまで
【 True Colors 】 作詞 / 作曲: Billy Steinberg , Tom Kelly
「♪ You with the sad eyes なんて悲しい目をしてるの Don’t be discouraged 落ち込むことないわ Oh I realize 私はちゃんとわかっているから It’s hard to take courage 勇気を持つことの難しさを In a world full of people たくさんの人々に囲まれても You can lose sight of it all その人の全てを見ることはできない And the darkness inside you あなたの心の中のダークネスもね Can make you feel so small 自分を未熟だと感じさせるその心もね
But I see your true colors でも私は見えるの あなたの「本当の色」が Shining through 輝いている「本当の色」が I see your true colors 私は見えるの あなたの「本当の姿」が And that’s why I love you それがあなたを愛している理由 So don’t be afraid to let them show だから自分をさらけ出すことを恐れないで Your true colors あなたの「本当の色」 True colors are beautiful, あなたの「本当の色」は美しいのよ Like a rainbow まるで虹のように
「エヴァ・キャシディ」とくれば、もうとどめはこの曲でしょう。「枯葉/Autumn Leaves」。皮膚がんで急死するほぼ1年前の1996年1月3日、ワシントンDCにある老舗のジャズ・クラブ、「The Blues Alley」で行われたライブが最期の絶唱となってしまった。その模様は、「LIVE AT BLUES ALLEY」(2006)、完全版は「Nightbird」(2015)に収録されている。
今宵も、「ジョー・サンプル/Joe Sample」と「レイラ・ハザウェイ/Lalah Hathaway」とのコラボ・アルバム「ソング・リブズ・オン/The Song Lives On」(1999)から「One Day I'll Fly Away」。
この曲は、やはり「ジョー・サンプル」とのコラボ・アルバムもある、「ランディ・クロフォード/Randy Crawford」のアルバム、「Now We May Begin」(1980)で歌われた歌であり、作曲は「ジョー・サンプル」、作詞は「ウィル・ジェニングス/Will Jennings」である。「♪ いつか 私は飛び立つわ あなたとの愛は 昨日に置き去りにして ・・・・ ♪」と前へ前へと進んでいく女性の心境を歌った希望が湧いてくる美しいバラード。「いつの日にか ・・・」とでも訳しましょうか。そして、「ニコール・キッドマン/Nicole Kidman」が、映画「ムーラン・ルージュ/Moulin Rouge」の中で歌っていたのも強く印象に残っている。
【 One Day I'll Fly Away 】 by Joe Sample , Will Jennings
「♪ I make it alone 私 一人で生きていくわ When love is gone 愛は終わったいま Still you made your mark でも、まだあなたの面影が私の心の中に Here in my heart 深く刻みつけられているわ
One day I'll fly away いつか 私は飛び立つわ Leave your love to yesterday あなたとの愛は 昨日に置き去りにして What more can your love do for me もうこれ以上 どうしようもないわ When will love be through with me 愛は私を通り過ぎてしまったから
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One day I'll fly away, fly away, fly away いつか 私は飛び立つわ One day I'll fly away, fly away, fly away きっと、きっと ・・・ One day I'll fly away, fly away, fly away いつの日にか ♪」
今宵のピアノ、「ミシェル・ペトルチアーニ/Michel Petrucciani」の「Training」。フランス出身のジャズ・ピアニスト。先天性疾患による障害を克服し、フランス最高のジャズ・ピアニストと評価されるほどの成功を収めた。その彼が1997年来日した時の「ブルー・ノート/Blue Note」でのライブの模様を収録したアルバムが、「Michel Petrucciani Trio In Tokyo」(1999)。その冒頭の曲である。フルアルバムがアップされていた。パーソネルは、「Michel Petrucciani - piano」、「スティーヴ・ガット/Steve Gadd - drums」、「アンソニー・ジャクソン/Anthony Jackson - bass」。
1. Training (4:39) 2. September Second (5:19) 3. Home (9:19) 4. Little Peace in C for U (7:30) 5. Love Letter (9:07) 6. Cantabile (7:49) 7. Colors (10:49) 8. So What (7:32)
そして、「エラ・フィッツジェラルド/Ella Fitzgerald」や「ペギー・リー/Peggy Lee」など、スウィング全盛時代の女性ジャズ・シンガーへのトリビュート・アルバム、「Swing Ladies, Swing! A Tribute to Singers of the Swing Era」(1998)から「Black Coffee」。
今宵の曲は、夏の終わりの定番、「ニューヨーク・トリオ/New York Trio」の「過ぎし夏の想い出/The Things We Did Last Summer」。同名のアルバム(2002年)から。私のお気に入りのアルバム、そして演奏のひとつ。「いそしぎ/The Shadow of Your Smile」も ・・・。