次は、将来の「艶女 アデージョ」を予感させる「Lyambiko/So Close to You」。シルキーで官能的で、ジャケもなかなかの優れもの。「秘密の花園」編に入れてもよかったのですが。ボサノバも混ぜた新人らしからぬ渋いアルバムの選曲。「シャイニー・ストッキングス」なんて。昔はパンストと違って、ストッキングは片足づつ分かれていたので、「・・・s」と複数形になっているのですよ。お分かりかな?小娘たちよ。
しかし、こんな新人は入ってきたら、おじさんどもはたちまち騒然、パニックるでしょうな。
ライフログのデーターは、輸入盤はジャケのみで曲名リストはないし、日本盤は曲名リストはあるがジャケがない。amazonさん、なんとかならないの?すみませんが、両方見てください。
「安富祖貴子」。沖縄出身にしてデビュー作「魂 KON」。いやすごい新人が出てきたもんだ。日本人の新人女性JAZZ歌手数あれど、どの歌手も歌はうまくても、声の豊かさというか、露骨に言えば、声が共鳴する「胸周りの豊かさ」を感じさせる歌手がいないと感じていた。いわゆる「薄っぺらい」のである。この「安富祖(あふそ)」はちがう、腹の底から湧いて、響く声である。1曲目「ワークソング」からノックアウトされるが、2曲目のラブバラード「I'm A Fool To Want To You」の切なさはどうだろう。深く響くといって過言ではない。面構えもなかなかのもので、今後が大期待。
「Nicole Henry/Teach Me Tonight」。相も変らぬ叙情あふれる演奏を聴かせる、エディ・ヒギンズ・トリオのバックにのって歌う、白人かと思うようなさらりとして、知的なスタンダード集。ジャケが可憐で、かわいい。5曲目は「あなたはしっかり私のもの」なんていうわけの分からん日本語訳のタイトルになっているため、聴いてみるまで分からなかった、「I've Got You Under My Skin」。有名な「ダイアナ・クラール」の歌ったものよりアップテンポのボサノバも心地よい。でも、ダイアナもそうだったが、やはりサビの「・・・・・・・・Stop。」にくると、ブレイクするんだなあ、という妙な感想をもったりして。時々お世話になっている村尾陸男氏の「ジャズ詩大全 2巻」では詩の部分はこんな風に訳されている。「・・・・・・まるで君が僕の体の一部になったみたいに君を肌の内側に深く取り込んだ。」
タイトルの訳は大意としてはあっているかも?私はもっとエロチックな想像をしていたのだが。
ウフッ・・・・・。
ティーチ・ミー・トゥナイト
ニコル・ヘンリー・ウィズ・エディ・ヒギンズ・トリオ ニコル・ヘンリー エディ・ヒギンズ・トリオ / ヴィーナスレコード
ISBN : B0007N3606
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次は、久々に取り上げる、私お得意のロリータ・ボイス。「Erin Bode(エリン・ボウド)/Don't Take Your Time」。彼女のデビュー盤で、タイトルは彼女の自作曲。いくつかのスタンダード曲に加え、「シンディ・ローパー/Time After Time」のカバー。そのほか、レノン&マッカートニー、ディラン、S.ワンダーなどの曲も取り上げて、ナチュラルで初々しい、癒し系のロリータボイス。私は、Jazzバラードの香りが色濃く漂う、「I Walk A Little Faster」に惹かれる。
不埒なことを想像しないでください。永い間探していた1枚のアルバムが見つかったというだけの話。少し前の「我が心のギターラ」という章で紹介した、「Heloisa Raso/Samba,viola e eu」へのコメントに、「・・・・・・・・・バーデン・パウエルの陰に隠れて目立たなかった感があるが、速弾きのギターの名手「セバスチャン・タパジョス」との共演で・・・・・・・・(中略)・・・・・・・タパジョスの自在な速弾きのギターもさることながら、・・・・・・・」と書いた。このコメントは実はある1枚のアルバムを念頭において書かれたものであった。そのアルバムこそが「セバスチャン・タパジョス/Sebatiao Tapajos」の「Brasil-El Arte de la Guitarra」(「ブラジル-ギターの芸術」とでも訳すのか?)であった。いまから30数年前LPレコードでもっていて、その当時はバーデン・パウエルを凌ぐ技量の持ち主と思っていた。いつしかそのLPは私の手元から離れたため、その後ずっとCDを探していましたが、ShopでもAmazonでもまったく見つからず、CD盤は半ばあきらめていました。そんな時、最近眼にとまった、「Heloisa Raso/Samba,viola e eu」のCDに「タパジョス」の名を見つけたのでした。このCDも1975年ごろに録音されたものの復刻版で私が探しているCD(LP?)と多分同じ時期にオリジナルはリリースされたものと思われる。そんなわけで復刻版が出ている可能性があると思って、昨日、「Tower Records」のラテンのコーナーで探したらあったんですよ!!
暗闇の中に浮かび上がるタパジョスの顔とギター。まぎれもなく、昔持っていたLPのジャケットと同じでした。うれしくて飛ぶように帰ってきて早速聴きました。バロック・ジャズかと思うような曲調をもつ「Alemande」が端正に弾かれる。甘美なメロディをもつパウエル/モラエスの「Samba em Preludio」。ジョピンの「Amei Demais」。まさしく30数年前と同じ感動が湧きあがる珠玉の12曲。今聞いてもパウエルを凌ぐのでないかとやはり思う。ジャケも曲リストもないが以下にデーターを掲載。
しからば、女性JAZZボーカリストの、さわやか新人をあげてみましょうか。
最初は、誰でも知っている「You are My Sunshine」「サークルゲーム(イチゴ白書)」などが入っているのでJAZZになじみのない人でも聴ける「サラ・カザレク/Yours」。本当にさわやかな、まろやかな歌声、休日の朝のひと時や手仕事のバックに流すのに最適。
「リッキー・リー・ジョーンズ」。初めて聴いたが、不思議なシンガーである。
20年以上我が道を歩み続けてきた知る人ぞ知る、孤高の女性シンガー・ソングライターだが、残念ながら私は、彼女、リッキー・リー・ジョーンズの名前は知りませんでした。
「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」。有名なスタンダード曲をタイトルに持ってきているが、原題は「Girls At Her Volcano」。このタイトルではJAZZアルバムだとは誰もわからなかっただろうし、まして知る人ぞ知るリッキーでは。多分日本発売にあたって、レコード会社の人もタイトルに苦労しただろうことは十分に察することが出来るが。おなじみのタイトル曲と「ラッシュライフ」から渋めの曲まで、しっとりと聴かせてくれる、一風変わったライヴアルバム。
次は、「ポップ・ポップ」。文字通りPOPなジャケットで、これほど中身と落差があるジャケットも珍しい。彼女自身が好きな歌、という基準でセレクトされたカヴァーアルバム。かわいらしくも艶のあるヴォーカルも印象的だ。バックを務めるのは、チャーリー・ヘイデンやジョー・ヘンダーソンなど、ジャズ界の大物やベテランぞろい。 彼女ならではの声と歌の解釈で、ジャズのスタンダードをリッキー流に消化した傑作。彼女の独特の声質でうたわれるこのアルバムは、ゆっくりと静かな夜を過ごしたい人にぴったり。
たまたま2枚ともイラストのジャケットなので彼女の顔は分からない。どうしても見たい人は他の作品で確認をどうぞ。
マイ・ファニー・ヴァレンタイン
リッキー・リー・ジョーンズ / ワーナーミュージック・ジャパン
ISBN : B00000718W
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ポップ・ポップ
リッキー・リー・ジョーンズ / ユニバーサルインターナショナル
ISBN : B00005GS0X
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「007シリーズ主題歌」などPOPS界では、BigName「カーリー・サイモン」のこちら側のアルバムから、「ムーンライト・セレナーデ」「トーチ」の2枚。
「ムーライトセレナーデ」は、ご存知のスタンダードな名曲ばかりをカーリー・サイモンの独特な低めの声でセクシーに聴かせてくれるお奨め盤。所詮POPSシンガーという声もあるが、私は「なかなかやりますなあ」と感心しました。
「トーチ/Torch」とは「たいまつ、トーチランプ」の意味であるが、もう一つの意味は「燃えるような恋心」という意味である。ここでは無論二番目の意味である。彼女の離婚直後に録音されたアルバムだというから、その彼女の想い、情念、未練・・などが切々とつたわってくる。「Body and Soul」など、ある種の凄みさえ感じさせるできばえ。
Torch
Carly Simon / Warner Bros.
ISBN : B000002KMN
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「シンディ・ローパー」。彼女もビッグネームですね。ヒット曲「Time After Time」はたくさんのJAZZ歌手にカバーされています。「At Last」は、シンディローパー初のカヴァーアルバム。スタンダードナンバーを集めた作品集。取り上げているのは、エディット・ピアフ、バート・バカラック / ハル・デヴィッド、スモーキー・ロビンソンの名曲など、幅広い。ピアノ、チェロなどのシンプルな音をバックに、「Unchained Melody」、「Don’t Let Me Be Misunderstood」、「Walk on by」、「La Vian Rose」などをこれほど情感込めて聴かせるとは、彼女のボーカリストの力量が並々ならぬことを認めざるを得ない。
「原田知世」。一般のオーディションから抜擢され、大林宣彦監督の「時を駆ける少女」でデビュー。アイドル歌手としてもかなりの人気でいくつものCDも出しているし、確かABBAか、カーディガンズをプロデュースした、スエーデン人と音楽製作をしている話は聞いていた。関心はまったくなかったが、何かの拍子にこれから紹介する「Summer breeze」を知ってビックリした。よく知っている洋楽曲のカバー集であるが、単なる女優さんのお遊びなんぞという域は充分超えている出来ばえである。聞けば、あの「ゴン・チチ」がプロデュースしたという。よくぞ彼女のかくされし特長を引き出したものだと感心する。「You've got a friend」「Sunny」、シンプルな響きの中で、ゆったりとした安心感につつまれる、まさしく癒し系のアルバム。
Summer breeze
原田知世 Patti Austin Bobby Hebb RANDY VANWARMER Barry Robin Maurice Gibb David Gates Paul Simon Arthur / フォーライフミュージックエンタテインメント
ISBN : B00005L9K1
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