さて、今宵の「お久しぶりピアニスト」は、先日の「umie」で思い出したイタリアの大御所、「エンリコ・ピエラヌンツィ/Enrico Pieranunzi」。「ジョバンニ・ミラバッシ/Giovanni Mirabassi」もリスペクトしているという巨匠です。彼を知る前は、ヨーロッパのジャズ・ピアニストで知っているアーティストといえば、「ジャック・ルーシェ/Jacques Loussier」、「オイゲン・キケロ/Eugen Cicero」、「ヨーロピアン・ジャズ・トリオ/European Jazz Trio(EJT)」ぐらいであったか ・・・。イタリアン・ジャズ・ピアニストも初めてであったし、ジャズ・ピアノに「エヴァンス派」、「パウエル派」というカテゴリーがあることも初めて知った。
そのアルバムは、「チャント・オブ・タイム/The Chant Of Time」(1997)、「ナイト・ゴーン・バイ/The Night Gone By」(1996)。そして、魅せられて曲は、前者に収録されている、「Un' Alba Dipinta Sui Muri/壁に描かれた夜明け」。切ないほど美しい。(参照拙ブログ「もしもピアノが弾けたなら(16)~ヨーロッパ・ジャズ・ピアノ・トリオ番外編(2)~」) 彼と20年以上組んで演奏をしてきたのは、「ビル・エヴァンス・トリオ/Bill Evans Trio」、最後のベーシスト、「マーク・ジョンソン/Mark Johnson」と、ドラムの「ジョーイ・バロン/Joey Baron」。
チャント・オブ・タイム
エンリコ・ピエラヌンツィ・トリオ / / ビデオアーツミュージック
ISBN : B0000C9VP9
多作なのでとてもすべてをカバーできないが、その中で渋いジャケットが光るピエラヌンツィの代表作の一つは、1995年のミラノ録音の「Seaward(海へ・・)」。彼独特のリリシズムを感じる美メロが溢れている。パーソナルは、Enrico Pieranunzi(p), Hein Van De Geyn(b), Andre' Ceccarelli(ds)。
なかでも、私の臨終のときに流れていてほしいと思う、「マイ・ラスト・ソング」の候補の一つでもあるのが、「Un' Alba Dipinta Sui Muri/壁に描かれた夜明け」。ピアノトリオ始め、いくつかのバージョンがあるが、一番のお気に入りは、このアルバムに収録されているバージョン。(参照拙ブログ「もしもピアノが弾けたなら(20) ~彼岸のBGMは・・・~」) 再掲 ・・・。
このところ、「レシェク・モジュジェル/Leszek Mozdzer」にどっぷりはまっている。「クリシュトフ・コメダ/Krzysztof Komeda」へのオマージュ的アルバム「Komeda」が、あれほどの出来映えだと知ってしまうと(参照拙ブログ「ふるさとエレジー(20) ~いつもの蔵通りにて~」)、もう一人のポーランドの国民的音楽家「ショパン (フルィデールィク・フランチーシェク・ショペーン)/Fryderyk Franciszek Chopin」を、彼がどう弾いているのか聴きたくなってくるのは、当然といえば当然のことである。アルバムは、ズバリ「Impressions on Chopin」。
ご贔屓「小曽根真」のアルバムに、「ロード・トゥ・ショパン/Road To Chopin」というアルバムがある。最初は、「アンナ・マリア・ヨペック/Anna Maria Jopek」を、彼女とは知らずに聴いていたアルバムである。このアルバムは、ジャズの世界から見たショパンへの小曽根のアプローチといった感がするのに対し、「Impressions on Chopin」は、モジュジェルが、ショパンをジャズという自由な空間へ解き放っている感じがする。ゆえに、JAZZの血が騒ぐという点で、モジュジェルに軍配をあげざるを得ないのである。
このアルバムで彼は、ベースだけでなく、チェロ、ギター、なんとピアノまでも弾くという才人ぶりを発揮している。そして、クラシック畑出身らしく、オーケストラ(DR Danish Radio Concert Orchestra)の使い方が素晴らしい。先日、ブログに書いたミラバッシの新譜とは大違いである。収録曲の半分ほどが、「ダニエルソン」自身の作曲であるが、いずれも抒情性に溢れた美メロで、期待に違わず作曲家、アレンジャーとしての才能にもすぐれていることを実証しているようだ。
そして、このアルバムには、ボーカルとして、デンマーク出身の「セシリア・ノービー/Caecilie Norby」が参加している。(参照拙ブログ「北欧美女シンガー図鑑(その7最終回)~デンマークを彩る個性的な歌姫たち~」) 北欧美女シンガーに始まり、それがきっかけで東欧美女シンガー、「アンナ・マリア・ヨペク/Anna Maria Jopek」に出会い、さらにそれが「クリシュトフ・コメダ/Krzysztof Komeda」につながり、「レシェク・モジュジェル」、「ラーシュ・ダニエルソン」に出会い、また北欧美女シンガーへと回帰した。音楽の連鎖がここに完結したのだ。
「レシェク・モジュジェル/Leszek Mozdzer」。あの「アナ・マリア・ヨペク/Anna Maria Jopek」のアルバムでピアノを弾いていた男。「Bosa」、「Barefoot」、「Nienasycenie」、「Upojenie」、「Farat」、「Secret」、「ID」とちょっと確認しただけでこんなアルバムのピアノを弾いていた。何としたことでしょう、その読者さんに示唆されるまで気が付きませんでした。やはり縁があったんでしょう。
【 Amarantine (アマランタイン) 】 作詞・作曲;Roma Ryan, Enya,Nicky Ryan
「♪ You know when you give your love away 愛を人に贈ると
It opens your heart, everything is new 心が開かれて、すべてが新しくなる
And you know time will always find a way そして時は、必ずそれが真実だと
To let your heart believe it's true あなたが信ずるように導いてくれる
You know love is everything you say あなたが口にする全てのものは愛
A whisper, a word, promises you give 囁きも、言葉も、交わす約束も
You feel it in the heartbeat of the day あなたは一日の鼓動にそれを感じる
You know this is the way love is 愛はそういうもの
Amarantine、Amarantine、Amarantine アマランタイン、・・・・・・・
Love is. Love is. Love.... 愛はそういうもの ・・・・ ♪」
アルバムにも収録されている「The Ancient Oak」。ソウルでのコンサート・ライブから。 Giovanni Mirabassi (p)、Gianluca Renzi (b)、Lukmil Perez Herrera (ds) with Bee String Orchestradirected by Lorenzo Pagliei
デビュー・アルバムは、「It had to be you (若しあなただったら)」。1920年代から40年代を中心とした、すこしレトロな時代のスタンダードのバラード集である。そのノスタルジックで甘い歌声は、あの早逝の美人女性歌手、「ビバリー・ケニー/Beverly Kenney」を思い起こさせる。上品で楚々たるスウェーディッシュ・ビューティ、「イザベラ・ラングレン」。