大屋地爵士のJAZZYな生活

我が家の歳時記  ~ 梅の香、潮の香 ~

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小雨模様でしたが、この機会を逃したら、多分雨で散ってしまうと思われる梅の花を観に、播磨灘へドライブ。行く先は、「播州・綾部山梅林」。兵庫県たつの市御津町黒崎の海に面した24ヘクタールの丘陵の斜面を彩る、十数種・約2万本の梅の花。白、ピンク、薄紅色、小梅、八重梅が満開で、ほんのりとした甘い香りが潮の香りとともに一杯でその見事なこと。いくつもの梅林を見たが、この梅林に匹敵する見事なものは見たことがない。さすが、「ひとめ2万本」、西日本随一の梅の里と称されるのも納得がいく。

観梅期は紅梅の開花とともに始まり、やがて山全体が紅白の梅の花で埋めつくされて、「ひとめ2万本」といわれる見事な盛りを迎え、今がその最盛期。あいにくの雨混じりであったが、菜の花の黄色との鮮やかなコントラスト、中国から職人を呼んで建てたという中国風の建物との調和、小雨に煙る風景、一幅の南画を見る想いであった。

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そして、古来から天然の良港として知られている室津へ。「播磨風土記」によると、「風を防ぐこと室のごとし」なので「室津」と名づけたとあるそうだ。三方をを山で囲まれた港はいまも、当時の面影をわずかに、しのぶことができる。

パンフレットによると、奈良時代の高僧、行基は摂津と播磨の両国のなかで海上交通の良港として五つの港を定めたと言う。いわゆる摂播五泊である。東より、河尻(尼崎)、大輪田(兵庫)、魚住(明石) 、韓(的形)、室津の五泊であるが、これ以後、瀬戸内の海の駅として室津は栄え、そして、歌人などに詠まれ、その名を全国に知られていくのである。万葉集に「山部赤人」の詠った有名な歌がある。「山部赤人」が室津沖の「辛荷島を通ずる時」に作った歌である。

    玉藻刈る辛荷の島に島廻する
          鵜にしもあれや家思はざらむ

この歌は、危険かつ緊張をともなう当時の船旅の途上で、わが家を思いつつ詠んだ旅愁の歌で、難波津を旅立ち、この島の名前(辛荷島)が、歌人・赤人に家を離れた辛い気持ちを喚起させたらしい。

万葉集の歌碑がたつ万葉の岬、金ヶ崎。そのこじんまりとしたホテルのラウンジで、小雨に煙る播磨灘をみながら、ゆっくりとCoffeeを飲む。穏やかな、ゆったりと過ぎる時間に身をまかす贅沢。そして今ひとつの贅沢は、昼食のあなご丼と、土産にもとめた、この時期だけが旬の「炭屋」の「いかなごのくぎ煮」と室津の「牡蠣」。


お供のCDは、かってANAの機内で買い求めた特製のCD、ANA Slow Music Styleシリーズの「Urban And Resort」、「Sunshine Breeze」であるが、残念ながらAmazonにもHMVにもデータがなさそう。そのリリース元の「aosis records」は、良質なフージョン、Jazzyな音楽を提供することで知られているので、そのなかから同傾向のアルバムをおすすめしておこう。

HPの宣伝コピーから・・・・・。
「良い音楽ほど見えてくる光景は、より鮮明なものとなる。音楽は、ハートを一時のツアーに連れて行ってくれる“心の旅”である。このコンピレーションに収録されている楽曲は、美しいメロディー、シンプルなサウンド、心地の良いビート、そして耳に優しい歌声や楽器の音色。どれも上質で贅沢な音によって作られている、珠玉の逸品とも言える楽曲ばかり。」

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ANA Selection #1
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# by knakano0311 | 2008-03-19 23:21 | 我が家の歳時記 | Trackback | Comments(0)

読むJAZZ(5) ~ もうひとつの鳥類学者のファンタジア ~

いやあ、びっくりしました。Amazonから送られてきた「おすすめ商品メール」にコミック版「鳥類学者のファンタジア」があるではありませんか。まさかコミックになっているとはまったく知りませんでした。出版日は (2008/3/13) とあるから、出版後まだほやほやらしい。

「鳥類学者のファンタジア  下 (3) (KCデラックス) (コミック) /望月 玲子 (著), 奥泉 光 (著);講談社 」

「上」、「下」、(3)とか書いてあり、全何巻のシリーズかは分からないが下記にあげた出版社からの内容紹介を読むと、紛れもなく前回とりあげた「奥泉光/鳥類学者のファンタジア」のコミック版のようである。表紙のイラストから推察すると、どうも若い女性向けのコミックのようであるが・・・・・。少し気恥ずかしいが、機会をみて書店で立ち読み、品定めでもしてみようと思う。多分オカルト的趣向が前面に出た作品だと思われる。さて、奥平原作には溢れていた、そのJAZZYなテイストは、いかなる表現がなされているのであろうか? 興味津々!

鳥類学者のファンタジア 上 (1) (KCデラックス)
望月 玲子 / / 講談社
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 【出版社 / 著者からの内容紹介】

「オルフェウスの音階」と猫が導くめくるめく冒険ファンタジー!
ジャズピアニスト・フォギーこと希梨子は演奏中、柱の陰に1人の聴き手の存在を感じる。彼女の前に現れたその不思議な女性は、昔ベルリンで亡くなったはずの祖母・霧子だった!謎の「オルフェウスの音階」と猫に導かれて、ナチス支配下のドイツにタイムスリップした彼女は……!?

時空を超えた壮大な冒険旅行の意味がついに明らかに……!
1944年のベルリンで「神霊音楽協会」という謎の組織に深く関わることになったフォギー。降霊会で「水晶宮」へトリップしてしまった彼女が見た「宇宙オルガン」の正体は!?そして霧子の演奏による前代未聞の「実験」とは!?時空を超えた壮大な冒険旅行の意味が、ついに明らかに!
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# by knakano0311 | 2008-03-16 11:30 | 読むJAZZ | Trackback | Comments(0)

観るJAZZ?(3)  ~健在なり!山下洋輔~

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(写真は朝日新聞より;防火服に身を包み燃えさかるピアノを演奏する山下洋輔さん=8日夕、石川県志賀町で )


3月9日の朝日新聞朝刊に以下のような記事が載っていたので、全文を引用してみよう。
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能登半島の西側、石川県志賀町の海岸で8日夕、ジャズピアニストの山下洋輔さん(66)が、燃えるグランドピアノを演奏する「ピアノ炎上2008」を開いた。
日本海をバックに砂浜に置かれたピアノは数十年たった廃棄寸前の古いもの。午後5時すぎに共鳴板に点火され、集まった450人の観衆は、夕景の中で燃えさかるピアノとその調べに魅入られた。 山下さんが燃えるピアノを弾くのは、グラフィックデザイナー粟津潔さん(79)の映像作品の中で演奏して以来35年ぶり。今回は山下さんの希望で再現した。
消防団の防火服姿で即興演奏した山下さんは、炎が身に迫るまで、6分間にわたって鍵盤をたたき、演奏後も山に日が落ちるまで、ピアノが燃えるのを見つめていた。
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山下 洋輔(やました ようすけ、1942年2月26日 - )は日本のジャズピアニスト、作曲家、作家、大学教員。東京都生まれ。麻布高校卒、国立音楽大学作曲科卒。「佐藤允彦」とならんで日本におけるフリージャズの草分けであり、旗手である。ひじで鍵盤を鳴らす独自の奏法を交えながらピアノを弾くことが有名。また、『ジャズ大名』『ファザーファッカー』『カンゾー先生』などの映画音楽を手がけていて、『ジャズ大名』では自ら出演している。( フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』一部参照)
彼のエッセイには、名エッセイの定評があり、ユーモア一杯のJAZZエッセイは特にJAZZフリークならずとも読んで面白いと思う。このブログでも度々登場してていただいている我がブログにとっても貴重な存在である。(「読むJAZZ(3)~筒井康隆の世界~、読むJAZZ(4)~鳥類学者のファンタジア~、観るJAZZ(2)~我が愛しのJAZZシネマ~」 参照)

前述の記事は、観るJAZZピアニスト、「山下洋輔」の真骨頂。健在なり!!山下洋輔。

JAZZを自己表現の最高の極みまで高めた男・山下洋輔と、歌う吉本といわれJAZZファン層を世のおばちゃんたちにまで拡げた浪花女・綾戸智絵(智恵)とが驚くべきというか、信じがたいというか、二人の組み合わせによるコラボが2001年に行なわれた。
私は、NHKのBS放送でそのコンサート録画放送を見ていたのだが、浪花の「おばはんパワー」全開の綾戸と、それを正面から、がっちり受け止めた山下洋輔(多分そんなことは山下しか出来ないだろうが)、前代未聞の魅力あふれるライブに仰天した。

彼の数あるエッセイでも分かるように、人を楽しませる語り口・文章の才のある山下、いわずと知れたしゃべりの綾戸。とことん人を楽しませるというふたりの共通点。そして、元来、ライブコンサートのステージのほうが、CDなどよりはるかに面白く、魅力があるという二人ならではのそのコンサートがDVDでリリースされている。「綾戸智絵 meets 山下洋輔」。2001年3月2日、すみだトリフォニーで行われた夢の共演である。

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LIVE!*III~DVD Video Edition
/ ewe records
ISBN : B00015UBLW
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山下洋輔の音楽に取り組む姿勢とそのコンセプトがよく分かる2枚のCDがある。ピアノソロで、バッハ、ショパン、ガーシュウインなどクラシックの名曲に取り組んだ「ラプソディ・イン・ブルー」。さあ山下がこれらクラシック有名曲をどう料理するか、興味津々・・・。

ラプソディ・イン・ブルー
山下洋輔 / / ユニバーサル ミュージック クラシック
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そしてもう一枚は、トリオでスタンダードに取り組んだ「プレイズ・ガーシュウィン」。1989年、録音はNYで行なわれた。4ビートからフリージャズまで山下洋輔のエッセンスが味わえるアルバム。

プレイズ・ガーシュウィン
山下洋輔 / / ユニバーサル ミュージック クラシック
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【追記 2009.9.25.】
本日のNHKスタジオパークに山下洋輔氏が出演。「ピアノ炎上」という芸術パフォーマンスのいきさつを話してくれた。今回が2回目で最初は、グラフィック・デザイナーの粟津潔氏の依頼で行ったが、今回は自ら企画したとのこと。消防団やピアノを供養する坊さんまで来たとのこと。弦が焼き切れ、音がならなくなった時点でピアノから離れたという。その作品としての映像が一部放映されていた。(金澤21世紀美術館提供) 鍵盤に間からも煙が噴出し、煙くて仕方なかったという。
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# by knakano0311 | 2008-03-15 18:28 | 観るJAZZ | Trackback | Comments(0)

実録・男たちの美学

先回のシネマ特集は、女性の強さを強く印象付ける最近の映画三作を紹介したが(「いもたこなんきん」なシネマ  ~ああ母は強し!~」参照)、今回は男の生きざま、それも実在の人物、実話を基にした最近の映画を、紹介したい。

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最初は、『グラディエーター』の名匠、リドリー・スコット監督、二大オスカー俳優の「デンゼル・ワシントン」、「ラッセル・クロウ」主演の「アメリカン・ギャングスター」。切れ者で、絶対に尻尾をつかまれない黒人麻薬王を無頼の刑事が追い詰めるという、1970年代のニューヨークを舞台に、実在した伝説のギャング、「フランク・ルーカス」の半生をモデルにした骨太の男のドラマ。

「デンゼル・ワシントン」扮する、ストイックで、家族を大切にし、求道者のような生活をおくる麻薬王。一方、女好きで、妻から離婚訴訟され、家庭生活はまったく破綻し、ワイロをもらわなかったため警察組織からもつまはじきされている、「ラッセル・クロウ」扮する一匹狼的刑事が麻薬王を追い詰めていく。最後は家庭、ファミリーを最も大事にする信条をもつ、麻薬王がそれが弱点となり、逮捕され証言により、組織は崩壊する。麻薬ビジネスの新システムの構築や、当時のベトナム戦争真っ只中のアメリカの情況、世相にリアリティと説得力があり、さすが「リドリー・スコット」と感じさせる骨太の見ごたえのある作品である。

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次の作品は、「潜水服は蝶の夢を見る」。「ジュリアン・シュナーベル」が監督を務め、主人公を演じるのは『ミュンヘン』の「マチュー・アマルリック」。
フランスのファッション誌「エル」の編集長として活躍する人生から一転、脳梗塞(こうそく)で左目のまぶた以外の自由が効かなくなってしまった男の実話を映画化。

「ジャン・ドミニク・ボビー」。「エル」誌編集長、42歳、3児の父親。突然倒れ、体の自由を失い、動くのは左目のみ。意識を取り戻した男の眼。その視界の映像から映画はスタートする。全身麻痺の主人公の狭い視界を映した映像は、窮屈と思いきや、詩情が溢れ、斬新で効果的。唯一自由になる左目の瞬きでコミュニケーションをとる術を覚えた彼は、自伝を書き上げようと決意し、20万回を越える瞬きで自伝「潜水服は蝶の夢を見る」を書き上げる。不自由なカラダを「潜水服」に閉じこめられたようだと喩え、その想像力と記憶の自由な羽ばたきを「蝶」と喩えた彼の自伝は、世界31カ国(日本でも講談社から出版されている)で出版され、フランスでは大ベストセラーとなった。人間の持つ可能性と素晴らしさ、生きることへの愛情と讃歌。カンヌ映画祭、ゴールデン・グローブ賞、2008アカデミー賞などいくつもの映画祭でノミネート、受賞をした感動の映画。これも奇跡とも言える一つの「男の美学」の形か。


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「明日への遺言」。第二次世界大戦終了後、B級戦犯裁判をたった一人で戦い抜いた岡田資(たすく)中将の生涯を描く感動作。大岡昇平の「ながい旅」を原作に、『博士の愛した数式』、『雨あがる』の小泉堯史監督が構想15年をかけて映画化。敗戦直後の混乱の中で自身の責任と信念を貫き通した岡田中将を、「藤田まこと」が熱演する。

最初は、連合国=戦勝国による一方的な戦争裁判の不条理さを告発する類の映画かと危惧していたが、見始めてそんな心配は吹き飛んでしまった。ストーリーは、戦争末期に名古屋を無差別空襲し、撃墜され落下傘で降り立った米軍捕虜を処刑した責任を問われ、B級戦犯として裁判にかけられた岡田資中将。この裁判を彼は、「法戦」と定義し、「一般民衆への無差別爆撃の責任は誰が負うのか、命令により処刑を実行した部下の責任は誰が負うべきなのか」と堂々と信念を主張し、戦勝国アメリカによる法廷を戦い抜き、すべて一人で責任を負い、甘んじて死刑判決を受ける。その毅然とした態度や真摯な人間性に米人の判事、検事、弁護士も心をうたれ、「復讐は罪にならない」という米軍規律を持ち出して救いを差し伸べるが、「復讐でなく処罰である」と一蹴する。最近壊れかけている日本人を見るにつけ、また表面上の平和や豊かさを甘受している日々の生活を思うにつけ、襟を正して見るべき映画である。「月がきれいだなあ」とつぶやいて、淡々と刑場に赴くラストのシーンにながれる「加古隆」の音楽も秀逸であった。


「男の美学」と聞くと、男の専売ではないのだが、どうしてもこのアルバム、この曲が脳裏に浮かぶ。「ビリー・ホリディ」作詞、「マル・ウォルドロン」作曲、「Left Alone」。

ジャズ・ヴォーカル史上最高の女性歌手といわれたビリー・ホリディ。彼女のピアノ伴奏者をきわめた「マル・ウオルドロン」が、ホリディの死後に彼女が好きだった詩に曲をつけ、捧げた追悼アルバムだ。
タイトル曲の痛切な情感の表現は、ジャッキー・マクリーンの名演奏としても高く評価されている。録音されてから半世紀を経ていまなお「レフト・アローン」が日本のジャズファンに、愛され続けてきたのも、マルの哀しみをジャッキー・マクリーンがサックスで奏でるこの名演奏による。マルが、ビリーの死に捧げた追悼曲、その哀しみが「男の美学」として切々と伝わってくる。

レフト・アローン
マル・ウォルドロン・フィーチャリング・ジャッキー・マクリーン / / EMIミュージック・ジャパン
ISBN : B00005GKG6
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私がこの曲に傾倒した青春の一時期への挽歌でもある。

「Left Alone - Mal Waldron」

          
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# by knakano0311 | 2008-03-13 17:30 | シネマな生活 | Trackback | Comments(0)

もしもピアノが弾けたなら(3)   ~ ご長寿ピアニスト (2) ~

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前回に引き続き、「ご長寿ピアニスト」の第2弾です。

最初は、「ジーン・ディノヴィ/Gene Dinovi」。たしか、このピアニストを知ったきっかけは、「Amazonオススメ商品」ですすめられて何気なく買った事からであった。買ったアルバム「ゴールデン・イアリング」が、聴いてびっくり大当たり。それ以来、最近の私の愛聴盤となっている。(「こいつは春から縁起がいいわい!」参照)
 
ヨーロッパのピアノ・トリオを思わせるような流麗さ、上品さと、アメリカのモダンな都市感覚、粋さを兼ね備えている屈指のピアニストだとおもう。1928年ニューヨーク生まれの白人で、80歳になるという。同年代のジャズ・ピアニストは、ほとんど故人になっていよう。匹敵するのは、「ハンク・ジョーンズ」くらいか。一体どんなキャリアの持ち主なのか? ライナーノートによれば、1940年代に「チャーリー・パーカー」や「ディジー・ガレスビー」といったビ・バップの開祖たちと共演をしており、いまやビ・バップを身をもって体験した伝説的なピアニストの中の数少ない現役だそうだ。レスター・ヤングとも共演したことがあるベテラン。しかも、リーダーアルバムを出したのが、50歳を間近にしたころというから、大変な晩生(おくて)である。華麗にして踊るようなタッチ、流れるような指使いから紡ぎ出される旋律。そして甘美な艶と甘さ。このピアノタッチの心地よさは何だろうか。まさに「酔いしれる」とはこのこと。

タイトル曲「ゴールデン・イヤリング」は、最初ソロでメロディを弾き始め、あの美しい旋律を生かした、絶妙華麗なアドリブを聴かせる。同傾向の「ソー・イン・ラヴ」もおすすめ

ゴールデン・イヤリング
ジーン・ディノヴィ / / エムアンドアイカンパニー
ISBN : B00008BDHT
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ソー・イン・ラヴ
ジーン・ディノヴィ / / エムアンドアイカンパニー
ISBN : B00005NJPF
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70年代にカナダに移住し、現在はトロントに住んでいるそうであるが、彼の家からは夜な夜なピアノを弾く音が、隣の家まで聴こえるそうで、隣家の住人は、ジーンがいい演奏をすると、拍手で応じるのだという。なんという「うらやましい暮らし」であろうか。素敵な音楽と暮らし方。御年80歳に脱帽!

2004年来日時の録音によるアルバム「フラワー・オブ・ザ・ナイト」の1曲目のブルース「赤レンガ・ブルース」が秀逸。さすが、ビ・バップの生き証人の片鱗を感じさせる演奏。


フラワー・オブ・ザ・ナイト
ジーン・ディノヴィ / / インディーズ・メーカー
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「Golden Earrings - Gene DiNovi Live In Yokohama 2010」

          


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そしてなんといってもはずせないのが「エディ・ヒギンズ/Eddie Higgins」でしょう。ヴィーナス・レコードの看板ピアノ・トリオ。 甘すぎる、ファンに迎合しすぎる・・・といった批判を聞くこともままあるが、「甘くて何が悪い」と開き直りたい。彼のピアノからJAZZの世界、ピアノトリオに導かれた人は多いと思うし、ファンの裾野を広げたその功績は大きい。
彼は、年をとって渋みも加わり、その甘さ加減がたまらないものになってきた。最初に魅かれたアルバムはタイトルもその名の通り、「Bewitched/魅惑のとりこ」であったと思う。メンバーは、エディ・ヒギンズ(p)、ジェイ・レオンハート(b)、ジョー・アシオーネ(ds)。「枯葉」、「エンジェル・アイズ」、「時のたつまま」などスタンダード満載。これからJAZZピアノをという人にも、ぜひおすすめの一枚。ちなみに、エディ・ヒギンズ(ピアノ)は1932年生まれ、ジェイ・レオンハート(ベース)は1940年生まれである。

魅惑のとりこ
エディ・ヒギンズ・トリオ / / ヴィーナス・レコード
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最新作をあげよう。御年76歳にして、なんと一回の録音でラブ・ソングばかり50曲を録音、それを4枚のCDにして順次一年かけて発売するという企画が昨年スタートした。こんな企画が成立するのは日本での超人気ピアニストゆえだろう。「恋に過ごせし宵」、「素敵なロマンス」、「秘密の恋」とつづいて、そのシリーズ最終第4作、「美しすぎるあなた」が昨年末リリースされた。

美しすぎるあなた

エディ・ヒギンズ・トリオ / ヴィーナスレコード



この4枚のシリーズ、JAZZを完全に体得した超ベテランがリラックスした中にも、こうあってほしいという演奏をJAZZ心一杯に歌い上げる。決して枯れてはいない、生き生きとした躍動感と色気あふれる演奏で、これからもまだまだ衰えはしないであろう活躍をも十分に予感させる。脱帽!!乾杯!!ご長寿祈念!!

「Historia De Una Amor-eddie higgins trio」

          
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# by knakano0311 | 2008-03-10 23:10 | もしもピアノが弾けたなら | Trackback | Comments(0)

我が家の歳時記  ~ 古都・奈良の早春散策 ~

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奈良・東大寺二月堂の修二会(しゅにえ、お水取り)が始まったという記事を新聞で読み、天候もいいので、早春の古都を味わいに、奈良へ出かける気になった。

お水取りというと、「大たいまつ」が有名であるが、本来は三月一日~十四日にわたって行われる練行衆とよばれる篭りの僧によって行われる法要のことであるという。奈良時代の752年に始まって以来、絶えることなく続けられ、今年で1257回目を迎えるという超・伝統行事である。有名な「たいまつ」は、宿舎から法要の行われる二月堂へ向かう練行衆のための道明かりにすぎないのだが、近年、たいまつが「火祭りのショー」みたいに思われ、最近はそのたいまつを撮影するために、デジカメや携帯のストロボが無数にたかれ、連綿と続いてきた「秘儀」が台無しになっているという、関係者からのマナーの悪さを嘆く声も掲載されていた。

我々は、夜の修二会を見るのは時間的にも大変なので、散策も兼ね、昼に行ってみることにした。週日なので、道路も空いていて、我が家から1時間ほどで、奈良公園に到着。久し振りの東大寺・大仏殿、正倉院、二月堂、三月堂、春日大社と若草山、奈良公園近辺の散策を楽しんできました。さすがに、何回見ても大仏殿、大仏はでかい。あの時代に、これだけの技術が確立ししていたとはと、あらためて感心させられました。

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二月堂では、昼の「修二会」を垣間見ることが出来ましたが、「堂内の写真撮影禁止」、「ストロボ禁止」の注意書きもどこ吹く風、我々世代のいい歳の大人が、何人も注意されていました。若者だけでなく、我々世代も含め、日本人全体が壊れかかっているという兆候をまた一つ見たようなせっかくの気持ちのいい散策に、水を注された気がしました。
この「修二会・お水取り」の儀式に使われる、大松明の竹など様々な物品は、古来「講」の寄進に頼っているらしく、この面でも近年苦労が絶えないらしい。そんな思いを抱きながら、夜の修二会のために、それは美しく見事に組まれた竹矢来を見ながら、春日大社へと向かいました。


ドライブのお供は、少し華やいだ雰囲気のアルバムを、ということで。異世界からのミューズが歌う「カーリー・サイモン/Moonlight Serenade」を選びましたが、アルバムジャケットの華麗さもさることながら、曲目もゆったりとした、大人のためのスタンダード集というおしゃれな選曲で、優雅な上に心地よいこと、この上ないアルバム。


Moonlight Serenade
Carly Simon / Sony
ISBN : B0009PLM4Y
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「MOONLIGHT SERENADE - Carly Simon」

          
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# by knakano0311 | 2008-03-08 23:23 | 我が家の歳時記 | Trackback | Comments(0)

あちらの世界からようこそ・・・・

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あちらの世界からこちら、JAZZYな世界に、気が向けば遊びに来てくれるミューズたちがいる。例えば、原田知世、川原亜矢子、吉田日出子など(異世界から舞い降りたミューズ(2)参照)。そうそう、驚くかもしれないが「美空ひばり」などもそうであった。

また、あちらの世界からこちらの世界に遊びに来て欲しいミューズたちもいる。例えば、「ちあきなおみ」、「高橋真梨子」など。その歌唱力とJAZZの素養に、遊び心を発揮して、こちらの世界にあそびに来て欲しいと願うのは私だけではあるまい。もちろん、「リアル・ジャズ・ファン」といわれる人からすれば、異端、軟弱、論外と言われるかもしれないが、JAZZを人生の「BGM」として聴き、齢60を超えると、耳に優しい軟弱な音楽もまたいとおしくなるものなのです。

そんなミューズの一人でもある、「今井美樹」が新作アルバムをリリースした。「I Love A Piano」。今井美樹と、小曽根真、武部聡志、大野雄二、塩谷哲など、日本を代表するジャズ・ピアニスト7名とのコラボレーション・アルバム。曲はスタンダードではなく、「PRIDE」など彼女のヒット曲のセルフ・カバーである。従って、厳密には「こちらの世界」とは言いがたいが、彼女の透明な声、雰囲気が、ピアノとよくマッチしたオシャレで素敵なアルバムに仕上がっていると思う。

「バレンタイン・ディのお返しに何か」と考えている方にはおすすめの一枚かなとおもう。

I Love A Piano

今井美樹 / EMIミュージック・ジャパン




こちらの世界から彼女の歌をカバーしたアルバムもあります。「今井美樹ソング集」。彼女の曲を海外のシンガーが英語でカヴァーする「逆カヴァー」。参加しているのは、「ジェーン・モンハイト」、 「ジョイス」、「 パティ・オースティン」、「ケヴィン・レトー」など実力派揃い。ボサ・ノヴァ風のJAZZYな雰囲気でドライブのお供などに最高のBGM。


テイク・ミー・トゥ・ザ・サンシャイン~今井美樹ソング集
オムニバス / / ビクターエンタテインメント
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「pride - jane monheit (今井美樹のカバー)」

          
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# by knakano0311 | 2008-03-06 23:40 | ミューズたちの歌声 | Trackback | Comments(0)

弥生のいもたこなんきん  ~ おひなまつり ~

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隣町に住む妻の趣味のお友達が、古民家で「おひなまつり」の開催のボランティアをしているということで早速お出かけ。隣町の旧家に伝わる「雛人形」を集めて、わらぶきの古民家に展示し、併せて「創作雛人形展」や「お点前」のサービス、「筝曲」、「フルート&ギター」のミニ・コンサートが開催されていました。どのくらい古い「雛人形」かわかりませんが、とにかく古民家の座敷に一杯の見事な展示。

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内裏様、お雛様も、古風で柔和なお顔。人形の着物や小道具の箪笥・ぼんぼりなどの細工も確かな職人技。今と違って、娯楽や遊びの少ない昔のお金持ちの子供の雅な遊びだったろうが、お点前を頂き、フルート&ギターのデュオを聴きながら、雛人形を眺めて過ごす今の一時も極めて優雅。



そしてその後は、春の気配が濃厚になった北摂の里山を久し振りの陽光を浴び、ゆっくりとドライブ。こんな陽気のいい春のドライブのBGMとして流す私の定番は、ジャケットもほほえましい「ハリー・アレン/アイ・キャン・シー・フォーエヴァー」。
西海岸特有の陽気なヒスパニックな空気を濃厚に感じさせる「ハリーアレン」の、明るいおなじみのボサノバのナンバーが、こんな春の兆しを感じさせる自然の中のドライブに本当によく似合う。
  

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アイ・キャン・シー・フォーエヴァー

ハリー・アレン ギルヘルム・モンテリオ ジェイ・バーリナー ロン・カーター グレディ・テート ジョー・アシオンBMG JAPAN





「Harry Allen - Wave (Antonio Carlos Jobim)」

          
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# by knakano0311 | 2008-03-02 16:23 | いもたこなんきん | Trackback | Comments(0)

我が家の歳時記  ~ 梅は咲いたか?ちりとてちん ~

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ここしばらく続いていた雨や雪がすっかり遠のき、今日(2/29)は、ぽかぽか陽気のお天気。さればと、五分咲きの大阪城公園の梅林に出かけてみました。しばらく悪天候が続いていたため、陽気に誘われてか、結構な観梅の人出であった。90数品種、1400本の梅が薄紅色の花をつけ、すっかり「春気分、Touch Of Spring」の一日であった。

そして、大阪城近くのNHK大阪放送局の1Fのアトリウムでは、私が大のご贔屓の朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」の収録が終わり、そのスタジオ収録に使用したセットを、今日から展示されているということで、これまた、ミーハーしてきました。徒然亭草若師匠の家と居酒屋「寝床」のセットが展示されており、TVでみる草若邸とまったく同じであることに感激。(あたりまえやがな・・・)

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草若師匠の屋号「徒然亭」は、彼の本名が「吉田仁之助」であることから、「徒然なるままに、日暮らし(ヒグラシ)硯に向かいて・・・・」という吉田兼好の「徒然草」にちなんだものであり、さらに徒然亭一門の紋は、この「ヒグラシ」をもじって、蝉の蜩(ヒグラシ)としています。この蜩の紋がセットいたるところに見られ、またいろいろの小道具も昭和の雰囲気をさりげなく感じさせる凝り様で、セットの細部まで演出の配慮が行き届いていることにすっかり感心しました。


そしてお供は、日本を代表する1947年生まれの、団塊の世代・フルーティスト、「中川昌三」を佐藤允彦など達者なJAZZメンがバックアップしたアルバム「タッチ・オブ・スプリング」。
東京藝術大学卒業後、クラシック畑だけでなく、内外の数々のJAZZアーティストたちとも共演し、JAZZ界にもその実力を十分示している。本作は、デビュー作「プレリュード・フォー・オータム」に続く、第2作である。チャイコフスキーの表題曲のほか、フォーレの「夢の後に」、リストの「愛の夢」など、有名なクラシック曲をベースにした瑞々しく、心地よいクラシック/JAZZのフュージョン・アルバム。このアルバム以後も、「サマー・スケッチ」、「ウィンター・モーメンツ」をリリースし、四季のアルバムが完結した。


タッチ・オブ・スプリング
中川昌三 / / ビクターエンタテインメント
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# by knakano0311 | 2008-03-01 00:24 | 我が家の歳時記 | Trackback | Comments(0)

読むJAZZ(4)   ~ 鳥類学者のファンタジア ~

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このブログの読者「堅気の勤め人@横浜」さんから、「読むJAZZ」へのコメントを頂きました。それは、「奥泉光/鳥類学者のファンタジア」のおすすめであった。この本、たしか4年ほど前に買ったが、あまりの超長編(文庫本で約750頁ほど)のため、躊躇したまま本棚にしまい込み、すっかりその存在を忘れてしまっていた。氏のコメントでそのことを思い出し、早速読んで見たが、JAZZファンにとっては、実に面白い、まさに「読むJAZZ」に値する本であった。

まず「タイトル」からして、うれしい。JAZZファンなら、「鳥類学者」の「鳥」が、かのビ・バップの創始者「チャーリー・“バード”・パーカー」を指していることは容易に想像つくであろうし、主人公である女性JAZZピアニストの「フォギー」こと池永希梨子は、「バド・パウエル」を敬愛する「ビ・バッパー」を自認しているが故の「鳥類学者・・・」というタイトルであることも納得がいく。さらに、パーカーの曲に「鳥類学/Ornitholgy」と言う有名曲があり、タイトルにも三重の仕掛けが施されている。

ストーリーはといえば、フォギー・希梨子が国分寺のライブハウスで演奏中に、「柱の陰に誰かいる・・・」という不思議な感覚にとらわれ、1944年冬、ナチスの敗色濃厚なベルリンにタイム・スリップして大冒険が始まる。そして「フィボナッチ数列」、「オルフェウスの音階」、「ピタゴラスの天体」やら、キリストを刺したといわれる「ロンギヌスの聖槍」などが彩る、オカルト色一杯のファンタジーが展開される。やがて最後は、舞台は1945年のニューヨーク、ハ-レムのビ・バップ発祥の地といわれる伝説のJAZZクラブ「ミントンズ・プレイハウス」へと移り、マイルス・デイヴィス、セロニアス・モンク、マックス・ローチらが集う、ビ・バップが誕生するJAZZの歴史の瞬間に立会い、「フォギー」もセッションに参加し、最後はなんと「チャーリー・パーカー」の演奏を聴いて、JAZZの本質を確証し、気がつけば国分寺のライブハウスへ戻る・・・。 

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このブログでJAZZを文章で語ることの難しさと未熟さを痛感していたが、この小説を読むにいたって一層その想いが強まった。
いわく、「アイデアや閃きを間髪をいれず腕と指の動きにもたらす瞬発力は反復練習によってしか鍛えるしかなく・・・」といった音楽への姿勢や、「右手と左手の打鍵のずれでもってリズムをつくりだしながら・・・・」というようなライブハウスでの演奏の描写に生き生きとしたプレイヤーの内面が見事に描かれている。これも実際にJAZZバンドでフルートを演奏するという奥泉氏のジャズ感が随所に垣間見られる。終章「ミントンズ」でのビ・バップの立役者たちによる白熱のセッションの描写も、実際に演奏が眼前で展開されているかのような錯覚さえ覚える。
そして最後の解説は、あの「山下洋輔」。山下洋輔をして「この作品をジャズとジャズマンと柱の陰の聴き手への壮大なオマージュとして受け取る喜びを分かちあいたい。」と最大級の感謝と賛辞を贈らしめ、あまつさえ、主人公フォギーのバンドのテーマ曲である「Foggy’s Mood」を作曲・献曲させ、その楽譜が記載されている。
また、この曲は、奥泉光オフィシャルサイト「バナール主義」の作品リストで、本人のフルートを含むカルテットで聴くことが出来る。

国分寺のライブハウスから始まって、そこへ戻って終わるという、リアルタイムで言えばステージとステージの休憩のほんのつかの間の壮大なファンタジー、「鳥類学者のファンタジア」。山下洋輔氏も言っているように、「ただ一度のアドリブ・ソロの中に、プレイヤーたちはこれだけの夢を見ているのだ」というその壮大な夢とJAZZの本質に迫る「読むJAZZ」。これぞ、JAZZファンにおすすめの「読むJAZZ」書である。

鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)
奥泉 光 / / 集英社
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チャーリー・パーカーに憧れてジャズ・ミュージシャンになったという、現代っ子「矢野沙織」のアルバムから。日本のハイティーンの女の子が、ニューヨークのJAZZクラブで,アルトサックスを絶好調で吹きまくるその痛快さ。これもある意味で、一夜の「鳥類学者のファンタジア」ともいえると思う。

PARKER’S MOOD~Live in New York
矢野沙織 / / コロムビアミュージックエンタテインメント
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「SAORI YANO - I Got Rhythm」  Live On 25th July 2005 At SMOKE Jazz Club, New York

          
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# by knakano0311 | 2008-02-29 00:15 | 読むJAZZ | Trackback | Comments(0)