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大屋地爵士のJAZZYな生活

タグ:ジョバンニ・ミラバッシ ( 5 ) タグの人気記事

寒壱百日の大荒行

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 地域の鉄道会社、能勢電鉄が行っている「のせでん悠遊セミナー」、今回は、『「寒壱百日の大荒行」~北極星に抱かれて ~』と題し、関西身延真如寺 能勢妙見山 住職 「植田観樹」師のお話。

 能勢妙見山は日蓮宗の霊場ですが、日蓮宗では、千葉県市川市にある大本山の「正中山法華経寺」で、毎年11月1日から翌年2月10日までの寒壱百日(かんいっひゃくにち)の間、大荒行(だいあらぎょう)が行われるという。志をもった荒行僧が、早朝2時に起床し、3時から夜11時まで、睡眠時間わずか3時間足らずの日課で、一日7回の水行と読経に明け暮れるという過酷な修行の日々を送る。食事は朝夕2回、梅干1個を添えた白粥と味噌汁だけという。

 講師は、この大荒行を5回も経験した「植田観樹」師。このような厳しい修行が「いつ始まったのか」、「そして何のために修行するのか」、荒行は結界の中での秘儀なので詳細は語ることができないらしいが、自身の修行体験を踏まえて、現代における修行の意義を改めて考え、先人の智慧とその継承・実践ということについて話を聞く。

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 修行に入ってから30日くらい経つと、幻覚、幻聴が現れ、精神的な辛さがつのり、やがて初めに抱いていた「修行に挑戦」という気負いは消え、「修行させていただいている」という想いを抱くようになったという。やがて、師の守護神である北極星、妙見さまに抱かれ、生かされているという感謝と悦びを感じるようになり、満願の100日明けには、終わったというより、ここから真の修行が始まるという心境であったと語る。

 最後に紹介してくれたのは、荒行堂の左右に掛かった楠木に書かれた二句。「寒水白粥凡骨将死 ~かんすいびゃくじゅくぼんこつまさにかれなんとす~」。「理懺事悔聖胎自生 〜りざんじげしょうたいおのずからしょうず〜 」。前句の意味は、「寒中冷水を浴び、僅かに命を繋ぐに過ぎない白粥をすすり、死ぬほど厳しい修行をする」。後句は、「厳しい懺悔の修行を一心にすることにより、遂に生まれ変わったように御仏とちがわない尊い身と成る」という意味だという。(日蓮宗HP参照、写真も)

 世の大半の人はそうではないかと思うのだが、日頃、安逸な生活に流され、葬式、法事くらいしか宗教的行事、まして過酷な修行などを体験したことのない私にとって、なかなか興味深い新鮮な講話であった。

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 さて、「ジョバンニ・ミラバッシ/Giovanni Mirabassi」待望の新アルバムは、ソロ・ピアノ・アルバム、「Live In Germany」。

 「エラ・フィッツジェラルド/Ella Fitzgerald」、「メルセデス・ソーサ/Mercedes Sosa」、「エディット・ピアフ/Édith Piaf」の3人の偉大なるシンガーに捧げたトリビュート・アルバム。彼女たちにゆかりの曲を中心に選曲、それに3人のアーティストそれぞれに捧げたミラバッシのオリジナル曲、「06.Mercedes」、「09.Ella」、「12.Edith」を加えた13曲で構成。演奏は、2014年9月16日、ドイツ南西の都市、ルートヴィヒスブルグにあるバウアー・スタジオのコンサートホール。使用ピアノは、1923年製の「Steimway Grand Concert」ピアノ。

 「パリの空の下」をオープニングに、フランス・シャンソン、アルゼンチン・フォルクローレ、アメリカ・ジャズと3つの異なる大陸の音楽を甘美と憂愁に満ちたミラバッシの独特の響きで描き上げている。

Live In Germany

Giovanni Mirabassi / Cam



 最近の彼のアルバムにはちょっと首をかしげていたが、この新アルバムでは「ミラバッシ節」は健在であった。しかしながら、最初に聴いたソロ・アルバム、「AVANTI!」の衝撃、感動には残念ながら及ばなかった。

AVANTI!

ジョバンニ・ミラバッシ / 澤野工房



 まだ、YOUTUBEにアップされていないので、さわりが聴けるサイト、「Giovanni Mirabassi Live In Germany」
を紹介しておきます。

 そして、初めて聴いて衝撃を受けたアルバム、革命歌、反戦歌ばかりで構成されたアルバム、「AVANTI!」から、「El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido(団結した人民は決して敗れない)」を。

「Giovanni Mirabassi - El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido」

          

  


  
by knakano0311 | 2017-02-24 09:53 | 音楽的生活 | Trackback | Comments(0)

雑踏の中の静けさ

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妻の用事のため、梅田までお付き合い。完全リタイアしてからは、ほとんど梅田へも出かけなくなってしまったが、それでも年に数回?都会の空気や活力に触れるために出かけてはいる。高速を走れば、我が家から梅田まで30分とはかからずに着いてしまう。電車で行けば、片道1時間弱、往復一人千円だから高速料金などを入れても、まあトントンというところか。今回はエコに逆らって車で出かけた。梅田はちょうど昼時、昼食をとるために行き交うビジネスマン達。久しぶりに味わう雑踏。なんとはなしに懐かしい感覚がよみがえる。5年前までは私もあの一人なんだった。しかし現役を離れ、暮らしは万事スローペースになったためか、あのせわしなさにはもうついていけなくなっている。そんな中にホッとするような静かな一角が目に付いた。行き交うビジネスマンたちは、まったく目もくれない空間。しばらくの間そこにたたずんでいたら、少し落ち着いて馴染んできた。

日中は夏に戻ったかのような暑さであったが、やはり夜になると秋を感じさせるひんやりとした夜気。今日、十六夜の月は空気の透明度があまり高くなく、少しかすみがかかったような月であった。

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さっ、今宵のピアノは、このうえもなく甘美であるが、硬派の魂が込められた「ジョバンニ・ミラバッシ/Giovanni Mirabassi」のソロ・アルバム、「AVANTI!」から。「AVANTI」とはイタリア語で「前進」という意味であったように思うが、このアルバムに収められた曲は、すべて革命歌、反戦歌である。

「響け!魂の歌よ。こころの叫びを調べにのせて、静かに、そして強くピアノが歌う。」 そんなコピーに魅かれて手に入れたアルバムだったと思う。しかし何の知識もなくこのアルバムを聴けば、その甘美さが故に、反戦歌のコレクションだとはだれも思わないであろう。それくらい甘美さにあふれているのである。

このCDに添付されている分厚いブックレットを見ると、20世紀の重要な政治的メッセージに満ちた写真と共にミラバッシ自身の曲ごとへのコメントが記されている。しかし、これはライナーノーツや解説などでは決してない。あのチェ・ゲバラも写っているように、これは革命を希求し、そして倒れていった多くの戦士たちへの鎮魂歌&写真集であることに気が付く。

冒頭の曲は、「El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido」。この曲はチリの圧政に対して抵抗したレジスタンスのリーダー「セルジオ・オルテガ/Sergio Ortega」によって書かれた曲。奇しくも1973年9月11日、ピノチェト軍事政権が誕生したチリのクーデターの時に虐殺された犠牲者たちをトリビュートして書かれ、その後、抵抗の歌として南米だけでなく世界に広がった歌だという。「The United People Will Never Be Defeated/団結した民衆は決して負けない」(邦題;不屈の民)という英語タイトルが記されている。この哀切に満ちた情感と魂とをこめて、ミラバッシにより演奏される抵抗の歌が見事なピアノ・ソロに昇華している。ミラバッシ入魂のソロ・ピアノ・アルバム、「Avanti!」。

中東、リビア、エジプトの反独裁のニュースが流れるたび、この曲が浮かぶ ・・・ 。

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AVANTI!
ジョバンニ・ミラバッシ ピアノ・ソロ/澤野工房


 





「Giovanni Mirabassi - El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido」。 入魂のライブから。
 
          
 
 
 
 
by knakano0311 | 2011-09-14 09:43 | おやじの遠足・街歩き | Trackback | Comments(0)

今年最後の山遊びは

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本年最後の山作業である。午前中は、来年明けてからすぐに始まる炭焼きでつかう、「バイタ」とよばれる薪(たきぎ)づくりと炭の原木である窯木降ろしを行った。写真でごらんのように、クヌギ林の斜面はすっかりきれいになり、やがて台場クヌギの切り株からは新しい枝が再生し、10年ほど経つとちょうど手頃な太さに成長するのである。里山ボランティア活動を始めてちょうど一年。この短い間に、多くの仲間ができ、多くのことを学び、そして何よりこの山に楽しく遊ばせてもらった。感謝!!

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公園には、もうミツマタ(三枝、三又)の花が咲き始めていた。和紙の原料としてよく知られるミツマタは、その枝が必ず三叉、すなわち三つに分岐する特徴があるため、この名があり、あたかも一足先に春を告げるように、淡い黄色の花を一斉に開く。まだ冬が始まったばかり、春の訪れを告げるというにはまだ早いような気もするが、この寒々とした空の下でに咲く花を見るのは、心が和む。

そして午後は、センターに設置されている薪ストーブの当番。 今日は来園者も少ないかったので、ストーブの赤々と燃える火の傍らで読んだ本は里山を撮りつづけている写真家として知られている「今森光彦」氏の写真集、「里山の道」。カタクリ咲く雑木林、闇に流れるホタルの炎、軒下の干し柿、霜をつけたノバラの葉…。棚田が広がる湖国・滋賀県、琵琶湖周辺の里山の四季を撮った写真集で、その自然や人々の暮らしが見せる静かなドラマには心を奪われる。

里山の道

今森 光彦 / 新潮社



そして、i-pod に詰め込んだ曲の中から選んだのは、「ジョバンニ・ミラバッシ/Giovanni Mirabassi」の最新作「Live At The Blue Note,Tokyo」。かってこのブログでも取り上げたことがある、イタリア生まれ、パリ在住のピアニスト。(参照「もしもピアノが弾けたなら(19)~たどり着いた一里塚から~」 、もしもピアノが弾けたなら(22)~一里塚から再び・・・~) 自身が「これまでで最高のトリオ」と評する「ジャンルカ・レンジ/Gianluca Renzi (b)」、「レオン・パーカー/Leon Parker (d)」とのコンビネーション。「新作はこのトリオのライヴ録音を最高の場で・・・」ということで選んだのが「ブルーノート東京」。2010年の4月21日~23日の3日間の公演をすべて収録し、その中から選んだ曲で構成したアルバム。澤野工房の看板ピアニストから他レーベルへ移籍後の2作目?であるが、その充実ぶり、気迫には目を見張るものがある。

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ライヴ・アット・ブルーノート東京

ジョバンニ・ミラバッシ・トリオ / ビデオアーツ・ミュージック




私がミラバッシに強く魅せられたのは、ソロ・アルバム「Avanti!」である。「進め!」を意味するイタリア語らしい。しかし、真っ赤なアルバム・ジャケット、付属のブックレットに載っている写真やコメントを読むと、このアルバムは、単なるJAZZピアノアルバムではなく、このアルバムに収録された美しい詩情溢れる曲は、実はすべて革命歌であり、反戦歌である。その冒頭の甘美このうえない曲は、「El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido」。この曲はチリの圧政に対して抵抗したレジスタンスのリーダー「Sergio Ortega」によって1973年に書かれた歌。「The United People Will Never Be Defeated/団結した民衆は決して負けない」という英訳タイトルであることが記されている。

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AVANTI! ジョバンニ・ミラバッシ ピアノ・ソロ



国民の期待を請けて、歴史的な政権交代が行われたが、改革は遅々として進んでいない。むしろ後退しているようにも思える。来年こそ政治の「前進」と、微々たる速度でもいいから私自身の「前進」を祈りたいものである。

アルバムとは別バージョンであるが、Giovanni Mirabassi - El Pueblo Unido Jamas Sera Vencidoを聴いてみますか?

          

 
 
by knakano0311 | 2010-12-25 10:37 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

もしもピアノが弾けたなら(22) ~ 一里塚から再び・・・ ~

「・・・ そして、たどり着いた一里塚・マイルストーンは、ジョバンニ・ミラバッシであった。・・・」と書いていったんシリーズを休んだのは1年ほど前のことであった。(参照もしもピアノが弾けたなら(19) ~たどり着いた一里塚から ~) 前よりはゆっくりとした足どりではあるが、再び歩き出してみたいと思う。

どういうわけか、今年、「澤野工房」から「ビデオアーツ・ミュージック」にレコード会社を変えて「ジョバンニ・ミラバッシ」がリリースしたアルバムに「新世紀~Out of tracks~」がある。澤野のような小さくても、良質のJAZZを提供するレコード会社から変ったことで、クオリティが下がらなければいいが・・・。その中の2曲目の「ピエラヌンツィ」という曲は、ヨーロッパJAZZピアノの偉大な先駆者でエバンス派の筆頭にも挙げられる「エンリコ・ピエラヌンツィ」に捧げられた曲である。レーベルを変えての再出発に際し、最も強い影響を受けた「エンリコ・ピエラヌンツィ」への想いからオマージュとしてアルバムに入れたのであろう。やはりヨーロッパにおけるエバンス派の大先達は「エンリコ・ピエラヌンツィ」のようである。

新世紀~Out of tracks~

ジョバンニ・ミラバッシ・トリオ / VIDEOARTS MUSIC( C)(M)



さて、私にとって、ピアノトリオの今年一番の収穫は「トルド・グスタフセン・トリオ/Tord Gustavsen Trio」であった。ノルウェーの若手ピアノ・トリオ。ちょうど一年ほど前、たまたま寄ったCDショップで手に取ったアルバムが「ビーイング・ゼア」であった。そのはかないくらいのロマンティシズムにすっかり圧倒されてしまったのだ。(参照 「もしもピアノが弾けたなら(15)~ヨーロッパ・ジャズ・ピアノ・トリオ番外編(1)~」 )

そこから遡って聴き出したのだが、デビュー作「チェンジング・プレイセズ」は、ECMの過去10年間の新人作品のなかで最大のヒットを記録したという。そのデビュー作を聴いて、完全にはまってしまったのだ。全編オリジナル。なにゆえこれほどまでに美しいのか。儚いのか。それにしても「トルド・グスタフソン」の音の美への耽溺ぶりは尋常ではない。それくらい凄い。だからといって決して華美、華麗な演奏ではなく、むしろ音使いはシンプルで少な目といってもいい。だからこそ曲の持つ間、静けさが一層際立つ。「もののあわれ」というよな「無常の美」に通ずるのかもしれない。夜の闇の中で静かに散りゆく櫻のイメージが頭に浮かんだ。JAZZ、クラシックを問わず、ピアノ好きは聴くべき、おすすめの一枚。

チェンジング・プレイセズ

トルド・グスタフセン・トリオ / ユニバーサル ミュージック クラシック



セカンド・アルバム、「ザ・グラウンド」。このアルバムも全曲トルドのオリジナル。デビュー作同様、最少の音だけでメロディ・ラインをきらりと浮かび上がらせる、まるで純度の高い結晶のようなトルドのピアノである。

ザ・グラウンド

トルド・グスタフセン・トリオ / ユニバーサル ミュージック クラシック



初めて、私がトルドに魅せられてしまった3作目のアルバム、「ビーイング・ゼア」。冒頭の「At Home」に惹きこまれてしまったのだ。3作目にしても、その音楽のクオリティは少しも変わらない。むしろもっと余分なものがそぎ落とされて純化していっているような気がする。

ビーイング・ゼア

トルド・グスタフセン・トリオ / ユニバーサル ミュージック クラシック




ヨーロッパのJAZZピアニストたちに受け継がれ、進化し続けている「エバンスの魂」・・・。

「At Home - Tord Gustavsen Trio」

          
by knakano0311 | 2009-12-21 09:48 | もしもピアノが弾けたなら | Trackback | Comments(0)

もしもピアノが弾けたなら(19)   ~ たどり着いた一里塚から ~

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「ジャック・ルーシェ」に触発され、「ヨーロピアン・ジャズ・トリオ」を聴いてから、魅入られたジャズ・ピアノの世界。このシリーズで、ずっと書き綴ってきたジャズ・ピアニストたち。そして、たどり着いた一里塚・マイルストーンは、「ジョバンニ・ミラバッシ/Giovanni Mirabassi」であった。

現在のヨーロッパのジャズシーンを代表するピアニストであり、日本で絶大な人気を得る「澤野レーベル」の看板ピアニスト。1970年イタリア・ペルージャ生まれ。ピアニスト、アルド・チッコリーニ(クラシック界で有名なフランス在住のイタリア人ピアニスト)と衝撃的な出会いを経て、92年パリに移住後、96年アヴィニョン・フェスティヴァルで大賞を受賞したという経歴。

彼をどう評したらいいだろうか。私がJAZZピアノに望むすべてのものを持っていると言ったらいいだろうか。寺嶋氏のいう「哀愁とガッツ」は勿論、それに加えて心の奥にせまってくる熱く力強い思い、豊かな詩情、ロマンチシズム、気品と典雅、スイング、強さ・・・・・。小難しい曲をとりあげたり、超絶技巧を用いるわけではない。きらびやかに音数を多く重ねる訳でもない。 和声の響きを大切にしながら、ただひたすら曲の持つ情感を美しさへと高める演奏を展開させるだけである。

その特長はピアノ・ソロによく表われている。傑作、ミラバッシ入魂のソロ・ピアノ・アルバムである「Avanti!」。2000年11月録音。このアルバムに収録された美しい詩情溢れる曲は、実はすべて革命歌であり、反戦歌である。そのことを知って、私は驚くと同時に、革命歌をこれほどまでに情感込めて歌い上げられるピアニストを初めて知った。
CDに添付されている分厚いブックレットには、20世紀の重要な政治的メッセージに満ちた写真と共にミラバッシ自身の曲ごとへのコメントが記されている。しかし、これはライナーノーツや解説などではない。あのチェ・ゲバラも写っているように、これは、革命を希求し、そして倒れていった多くの戦士たちへの鎮魂歌&写真集である。

冒頭の甘美このうえない曲は、「El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido」。この曲はチリの圧政に対して抵抗したレジスタンスのリーダー「Sergio Ortega」によって1973年に書かれた歌。「The United People Will Never Be Defeated/団結した民衆は決して負けない」という英訳タイトルであることが記されている。もともとアメリカの黒人にルーツを持ち、抑圧と差別の歴史の中で市民権を得ていったJAZZを、ミラバッシは、あらためて近代世界史のなかで抑圧や暴力に対する抵抗・解放の普遍的なメッセージとして位置づけているように思えるのだ。その意図は、ダコタ・アパートの前で逝った「ジョン・レノン」の「Imagine」を取り上げていることでも読み取れる。
そしてラストの曲は「ポーリュシュカ・ポーレ」。ノンポリ学生であった私であるが、当時の学生運動に参加した友人やデモに参加した思い出が、かすかな傷みとともに甦る。

この哀切に満ちた情感をこめて、ミラバッシにより演奏される抵抗の歌々が見事なピアノ・ソロに昇華しているアルバムである。アルバム・タイトル「Avanti!」とは、たしか「進め!」という意味の言葉であったか・・・。

Avanti!

Giovanni Mirabassi / Sketch



「Giovanni Mirabassi ― El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido」

          

ベースの「Daniele Mencarelli」、ドラムの「Louis Moutin」をくわえてのピアノ・トリオのライブ・アルバム。いずれもオリジナルな曲であるが、ラストの曲は、やはりあの甘美極まりない「El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido」。トリオになってもその情感豊かなピアノは変わらないミラバッシの屈指のピアノ・トリオ・ライブ。

Dal Vivo!

Giovanni Mirabassi / Sketch



トリオのメンバーを一新して臨んだ澤野リリースのミラバッシ最新作、「Terra Furiosa」。入水して果てたアルゼンチンの女流詩人「アルフォンシーナ・ストルニ」を偲ぶA・ラミレス作曲、フェリックス・ルーナの作詞、メルセデス・ソーサの歌によって知られ、サンバの最高傑作といわれる「アルフォンシーナと海」からこのアルバムは始まる。このアルバムは、痛みを知り、傷を抱く者たちへの、妙なる救済の調べであるというコピーは、これら収録曲のタイトルからも窺える。

Terra Furiosa

Giovanni Mirabassi / Discograph



以上のアルバムは、いずれも澤野工房からリリースされている。

書き綴ってきたこの「もしもピアノが弾けたなら」シリーズ、「ジョバンニ・ミラバッシ」というマイルストーンにたどりつたところで、いったん筆をおこうとおもう。そして、すべてのジャズ・ピアノ・トリオの祖といっていい「ビル・エヴァンス」へ遡る旅をいつかはじめたいと思う。
ジャズ・ピアノ・トリオの祖、「ビル・エヴァンス」の至高のアルバムから1枚あげておこう。「ワルツ フォー デビー」。

ワルツ・フォー・デビイ+4
ビル・エヴァンス / / ユニバーサル ミュージック クラシック
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「彼岸の薄明かり」とは、ピアニスト「南博」氏が「ビル・エヴァンス」の音楽を評した言葉。彼に彼岸の先にある何かを見せるために彼の廻りの人々が命を断っていたのでは・・・という。たしかにエバンスの晩年の演奏の中には、長い苦悩や不幸な体験を経て、彼岸を感じさせるような危ない哀愁、美感が漂っていると感じるのは思い入れが過ぎるだろうか・・・・。
by knakano0311 | 2009-01-11 00:11 | もしもピアノが弾けたなら | Trackback | Comments(0)