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大屋地爵士のJAZZYな生活

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ザ・サムライ・チェリスト 「吉川よしひろ」

b0102572_2330176.jpg吉川よしひろオフィシャルサイトより




隣町の文化ホールから送られてきた一通のダイレクトメール。「吉川よしひろチェロ独奏パフォーマンス」の案内状。そこにはこんな一文がありました。

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山形県出身。ニューヨークを拠点に活躍する日本唯一のJAZZチェリスト・吉川(きっかわ)よしひろ。レコーダ内臓のブラックボックスを足で操作し、スタンディングでチェロを演奏。生演奏の即興録音と再生を繰り返しながら、さらに生音を重ねていく独奏的な奏法はまさにマジック!国際的なチェロ大会や、ウエスト・ニューヨークで行われた9.11追悼式典などで大絶賛を浴びる。独奏による重奏、躍動と静寂をテーマにジャズマインドあふれるハーモニーで聴衆を魅了し、国内外で高い評価を得る≪ザ・サムライ・チェリスト≫

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「JAZZチェリスト」、「ブラックボックス」、「独奏による重奏」、こんないささか不思議なキーワードに魅かれてコンサートに行ってきました。コンサートホールではなく、そこのロビーでのコンサート。それでも70人ぐらいの席は満席。演奏が始まって本当にびっくりした。彼はJAZZというジャンルを超える「チェロ・パフォーマー」というのが正しい評価であろう。「最上川舟歌」に始まり、オリジナル曲3曲のほか、「サティ/ジムノペディ」、「ピアゾラ/リベル・タンゴ」、「パッフェルベル/カノン」、「竹田の子守唄」、「ソニー・ロリンズ/DOXY」、「ロドリーゴ/アランフェス協奏曲」、アンコールは9.11追悼式典でも演奏したという「アメイジング・グレイス」、そして「千の風になって」、ラストの「サッチモ/What A Wonderful World」まで、一気通貫、休憩なしのあっという間のステージであった。

もともと人間の胴体サイズの共鳴箱を持つチェロ。そのためバイオリンやコントラバスより、人間の声に近い音域を持つ。そのチェロを立ったまま、足でブラック・ボックスを操り、弓だけでなく、フィンガー・ピッキングで、まるでギターのように、ベースのように弾きこなす。時には足首に巻きつけた鈴を響かせ、弓が空をきる時に発する音、胴を叩く音や自身の肉声までも演奏と一体化させる。そのパフォーマンスとブラック・ボックスが生む「独奏による重奏」が初めて聴く不思議な「音体験」と感動を創り出していた。

「竹田の子守唄」。日本民謡ではあるが、中央アジアのシルクロードの街にたたずんでいるかのようなエキゾティックな感覚。曲の最後の電子エフェクトによる消え入るような音は、キャラバンが砂漠のはるか彼方に消えていくよう感傷をもたらす。彼の演奏の最大の特長は、再生と多重録音が可能なハード・ディスクであるブラック・ボックスを操ることによって創り出される「重奏効果」。例えば「アランフェス協奏曲」では最初に、アルペジオから演奏されるが、それをHDレコーダに録音することによってテンポ、コード進行が決まる。それを再生し、そのアルペジオにかぶせて、あの有名なテーマが通奏され、またHDレコーダに録音される。そして再び再生された「アルペジオ+通奏テーマ」のうえで、今度は自在なアドリブが展開される。ここに「独奏による重奏」ライブが展開される。重奏による効果は「万華鏡」を思わせるくらい、音空間の広がりときらめきを爆発的に助長し、一気にラストの静寂へ突入する。70人ほどの聴衆であったが、全員がその圧倒的な演奏に感動していたと思う。

「吉川よしひろ -Life in NewYork- リベルタンゴ」

         


そして、すべての演目が終わったあと、彼は生まれつき片耳が聞こえない「聴覚障害者」であることを明かし、そのハンディキャップと、クオリティとともに、常にアーティストとしてのオリジナリティを要求するニューヨークの音楽界と観客の厳しさが、マイクを装着したチェロとHDレコーダによる多重演奏という独創的なアイデアを生み出したと語る。

これこそ独創、感動を生む比類なきパフォーマンス。また一人のアーティストに出会えたことに感謝・・・・。



注)AmazonなどにはCD情報が一切ないが、当日会場で買ったCD「Moon」は大阪のJAZZインディレーベル「おーらいレコード」発売であった。


ムーン

吉川よしひろ / 有限会社おーらい



見上げてごらん夜の星を

THE CELLO ACOUSTICS / 力塾



「Concierto de Aranjuez - The Cello Acoustics」

          
by knakano0311 | 2007-09-22 23:20 | おやじのジャズ | Trackback | Comments(0)