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大屋地爵士のJAZZYな生活

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コンピ・アルバムの新しい可能性 ~松田優作が愛したJAZZ~  

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朝刊を読んでいて、ふと広告のコピーに気がついた。

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~松田優作が愛したJAZZ~
松田優作。 ひとりの男が愛した時間と音楽。
いつもの店、いつもの席に座って、ひとり 静かに耳をかたむけた JAZZのフレイバー。
松田優作 本人が足繁く通ったJAZZ BAR、 LADY JANE。
時には、くつろぎ、また 俳優として、制作者として、アイデアをひらめかせ、新しい創作活動の源になった、彼にとっては特別の場所。特別な時間。
このCDは、素顔の松田優作と接していたLADY JANEのオーナーが、初めて 彼が好きだった音楽を選び、とっておきのエピソードとともにコンパイルした、まさに、松田優作という男のサウンドトラック。

松田優作が愛したJAZZ
オムニバス チャールス・ミンガス オーネット・コールマン 古澤良治郎とリー・オスカー ニーナ・シモン ローランド・カーク 浅川マキ / ワーナーミュージック・ジャパン
ISBN : B000IJ7IV2
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聴いてみた。このアルバムがコンピ・アルバムのひとつの新しい方向性、可能性を示唆していることに気がついた。今までのアルバム、良くも悪くも作り手側のコンセプト、譲ってもあのアーティストにこんな曲を演奏させてみたいみたいなコンセプト、コンピアルバムにいたっては、お徳盤みたいなコンセプトで作られていた。このアルバムは違う。「松田優作」という、才能と個性あふれる特定の俳優に焦点を当てて、彼の心のひだを、映画からでなく、プライベートなJAZZくらぶという空間で垣間見られた好きだった音楽を通じて、聴き手に感じてもらうというコンセプト。

取り上げられた曲、アーティストもまた渋い。「チャールズ・ミンガス/ハイチの戦闘の歌 」、「オーネット・コールマン/ロンリー・ウーマン」、「ニーナ・シモン/エヴリシング・マスト・チェンジ 」、「浅川 マキ/セント・ジェームス 病院」、「アストル・ピアソラ/天使のミロンガ 」 、「井野信義&レスター・ボウイ/紙ふうせん」 などフリーJAZZあり、タンゴ、フォークあり意表を突かれる。まさかビアソラがでてくるとは、思いませんでした。この選曲には、「ビアソラに魅せられていた彼は、あるときCMの撮影で訪れたベルリンからバンドネオンを買って来た。バンドネオンはドイツでしか製造されておらず、成田空港から店にやってきて、でかいバックから取り出してみせた。」というようなエピソードが添えられている。

注)1989年11月6日は松田優作の命日。享年40歳。没後17年。それにあわせてリリースされたのだと思うが、このブログをリリースしたあとTVをつけたら、奇しくも「スマステ6」で彼の特集をやっていました。

追記 11月11日) NHK教育TV、ETV特集で「よみがえる松田優作」を放映していた。番組の最後にJAZZ BAR、「LADY JANE」のマスター大木氏の語る怖い話。「LADY JANE」にはいまも松田優作の「Early Times」のキープボトルが残されていて、そのボトルナンバーは「116」。彼を偲んでつけたのではなく、ずっと最初から「116」であったという。

「浅川マキ Maki Asakawa / セント・ジェームス病院 St. James Infirmary (1973)」

          


このアルバムから、何をどう感じるかは聴き手の皆さんに任せるとして、このような、映像、本、からではなく、その人が聴いていた音楽から、人となりを浮き彫りにする、こんなCDはなかったような気がする。ひとつの可能性を提示された思いだ。
たとえばJAZZファンとしてつとに有名で、最近惜しくも他界された、名脇役「藤岡琢也」。彼が愛したJAZZ。或いは、これまたJAZZファンとして有名な「タモリ」。かれはデビューの頃、「中洲音楽大学教授」に扮し、JAZZの歴史を語るパフォーマンスを芸のレパートリーに持っていた。
聴いてみたいですねえ。「TAMORIの愛したJAZZ」。殺す気かと怒られそうですが。
全くの仮定の話ですが、彼らがJAZZファンだったとして、たとえば、「司馬遼太郎の愛したJazz」、「高倉健~我がいとしのJAZZミューズたち」なんて聴いてみたいなあ。

さらに もうひとつの可能性を示唆するアルバム。「海辺のカフカ」でカフカ賞を受賞した「村上春樹」。彼の小説には特定の歌にちなんだタイトルを持つ作品が多いのだが、彼の長編、短編のタイトルに使用された欧米のポップ・ロック&ジャズを集めたコンピである。
「アメリカから届いた10のオマージュ」。 ジャズファンにもお馴染みの村上春樹の作品一つ一つに「Chick Corea」、「Michael Brecker」、「Ron Carter」らが捧げた10曲。スーパースターによる全曲新録音は異例!カフカ賞受賞、ノーベル賞有力候補の村上春樹ならではか!

「中国行きのスロウ・ボート/ソニー・ロリンズ ⇔ 短編『中国行きのスロウ・ボート』」 
「エンド・オブ・ザ・ワールド/スキーター・デイヴィス ⇔  長編小説『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』」 
「ノルウエイの森/ザ・ビートルズ ⇔ 長編小説『ノルウエイの森』」 というような趣向。
これも、村上春樹の描きたかった世界を、タイトルに使われた曲を、実際に読者が聴くことによって、村上ワールドに近づくことが出来るかもしれない。また、演奏をしている村上に共感するアーティストたちは、どう村上ワールドを表現しているのか などの新しい楽しみをもたらしてくれるCDである。

アメリカから届いた「10のオマージュ」
オムニバス / バウンディ
ISBN : B000HD1B9O
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前回触れた「ちょい不良(わる)JAZZ」なんて薄っぺらな企画でなく、こんな知的興奮をもたらしてくれる企画を我々シニアは期待しているのですよ!
by knakano0311 | 2006-11-04 22:37 | おやじのジャズ | Trackback(2) | Comments(0)